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厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
最終章「其の末は破滅か、或いは平和か」
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68・・・「愛人よ、側に居て」


ルルは刺し貫かれた腹から血を流しながら唖然として動けなかった。


何故…?


「なんで…らんた…?」


自分は好きな人にこうやって…。


「おいルル!!」


突然大声が響いて引っ張られ、剣が抜けた。ブラッディアンによるものだ。


「おいしっかりしろ!ルル・イーリア!」


血肉の能力をもつブラッディアンによる瞬間再生能力で貫通傷は治されたが、ルルは未だに状況が掴めていない。


「なんだ?状況を受け入れるのがそんなに拒絶されるか?ルル・イーリア」


瘴気を纏い、ルルへの追撃を行おうとする蘭太の動きををバインド弾で封じながらアクネルは問いかける。


「………?」


「本能で拒むか。ならば俺が言葉にして突きつけてやる。ネイルの心を全部封じたんだよ。そして代わりにお前を殺すという指令だけを植え付けた。まあ実質洗脳だ。この弾丸はそういうことができてな」


言いつつアクネルは先程使用した黒い弾丸をちらつかせる。


「私を…殺す?」


絶望色に染まるルル。


「そうだ。()()()()()()()ネイルがお前を殺しにかかる。楽しみな計らいとは思わないか?」


「てめぇ…!」


ブラッディアンは憎々しげに呻く。

今迂闊に蘭太を攻撃することができない。

かといって放置するわけにもいかない。


誤って蘭太を殺してしまえば未来の希望が潰えることになり、逆に放置してルルを死なせてしまえばいつか元に戻った蘭太が再起不能な精神傷を負うことは明らかだ。


「1ついいことを教えてやろう。この状況を打破できる可能性を秘めているのはお前だけだ、ルル・イーリア。…だからー?」


元よりエンチャントソニックで加速付与を受けているアクネルは音も無くブラッディアンの前に現れ大鎌を薙ぐ。

ブラッディアンは反射的に盾を生成して防ぐが、体勢を整えられていなかったため体ごと飛ばされる。


アクネルはルルとブラッディアンの間に立った。


「戦闘用妖精、二重妖精(デュアルフェアリー)、お前らは引き続き俺と遊ぼうか?暇なのは嫌だろう?」


「…上等だ」


アクネルを睨んでブラッディアンは立ち、隣には雷花が立つ。


「悪趣味なことばっかしやがってクソ野郎が。一回叩いてやらねぇといけねぇみてぇだな?」


「殺意でてるわよ」


「しゃーねぇだろ。あんな仕打ちされて大人しくいられっか?」


「同意。いくよ」


「サンクス。震血変身!」


雷花と同化し、赤と黄色の装甲を纏ったブラッディアンはすぐにアクネルへ突っ込みは…しなかった。


「あぁそうだ。ルル・イーリア!護身程度でいい、これ持っとけ!」


ブラッディアンは演算能力も駆使し、空気中から金属剣を作り出し、ルルへ投げる。


「じゃあ、お遊びしようかァ!?(あに)さんよォォ!!」


アクネルとブラッディアンはもつれ合い、ルルと蘭太から離れていった。

同時に蘭太を拘束していた効果が切れた。


「……!」


黒く染まった目でルルを捉えるや否や蘭太は剣を振りかぶって斬りつけてくる。

それをブラッディアンから渡された剣で防ぎながらルルは叫びかける。


「やめて!目を覚まして蘭太!」


【無駄だ。こいつの魂そのものが封じられている。余の遺伝子を介した干渉も受け付けん】


ルルも持つ遺伝子からラ・アクニリディアが話しかける。


【デュ・ネイルを捨てよ。こいつは助からん】


「ちょっと黙っててよ」


無慈悲なことを提案するアクニリディアの案を切り捨てる。というか元より組み込む気がない。


「こうなったのは私のせい。だから私がどうにかする!」


だが、絶望的に戦闘力の差がありすぎた。

蘭太が内包する3人のうちルルだけが実戦経験がない。戦闘に参加したことはあるのだが全てサポートに回っての参加である。


初めこそすれなんとか攻撃を弾いてはいたがだんだん追いつけなくなる。


「はぁ…速い…!」


このままでは斬られる。

そんなことは許されない。


「見ろ…!よく見ろ……!!」


自分に言い聞かせ、視線を鋭くする。

ルルはただ蘭太の戦いを後ろからサポートしていたのではない。ちゃんと蘭太の戦いを見て、攻撃パターンを分析していた。


蘭太が横薙ぎに剣を振る。防ぐ。

返しにこちらも横薙ぎにすると蘭太は翼で飛んで逆さまになりながら下から切りつけてくる。それをバックステップとともに防ぎ距離を取る。


完璧に対応していた。

実戦経験の無いルルは動きを最小限にすることで体力を温存し、蘭太には動かさせることで体力の消耗を誘う。


そしてついにルルの剣が蘭太の剣を捉えノックバックさせて大きな隙を生み出した。


「ここ…!!」


剣を振りかぶったその時。


『斬っちゃうの?違うんじゃない?』


心の内の自分がそう問うた。


違う。

斬ってはいけない。元も子もない。

助けたいのだ。傷つけたくないのだ。


戦場は残酷だ。その一瞬の躊躇が命取りになる。


動きを止めたルルはまさに的。蘭太がそれを見逃すことはなく、ルルを斬りとばした。


【あーあ、やっぱり何も出来ないんじゃん。さすが不純な混血】


血を出しながら宙を舞うルルの脳裏に大昔の記憶が再生される。


『私は…何も…』


【出来るわけないじゃん。むしろ何で出来ると思ったの?バーカ。アンタは何も出来ない。せいぜい1人で死んで、誰ともかかわらないでおけば?アンタに好かれたやつとかロクでもないことになるんだからさー?haha】


それは追放される前にいた龍界のルルの生まれ故郷。忌まわしくて仕方がないあの場所での記憶を何故か今思い出す。

ドサっと地面に落ちる。


これはきっと罰。

龍族の遺伝子をその身に宿してしまった少女への辛い罰。


私はこのまま…死ねば良い…。


『違うんじゃないのー?』


唐突に少年の陽気な声が聞こえる。

それは池にいた頃の記憶。隣には見慣れた少年の姿。

その少年は少女が抱いていた自らへの否定を片っ端からぶっ壊した。


自己否定をすればそんなことないと力強く言ってくれて。

泣きたい時はその胸に抱いて黙って泣きたいだけ泣かせてくれて。

それでいて少年は少年で包み隠さず自分の悩みも打ち明けてくれて。互いに相談し合って。


少年は少女のことを頼りにしていると思えた。

そして何より少年は龍界で「不純」と言った意味を持つヴィダスという蔑称でしか呼ばれず名前も与えられなかった当時の少女に「名前」をくれた。


『そうだな…ルル・イーリアってどうかな?まんま【青い瞳】って意味なんだけどさ。ああ気に入らなかったら却下してもいいんだよ?』


申し訳なさそうに少年は頭をかきながら言う。だが少女は嬉しかった。涙を流して少年の懐に飛び込む。


『嬉しい…!ルル、ルル・イーリア…。今日から私はルル・イーリア!』


一生をかけても返せないだろう、この恩は。

そう思った少女はいつまでも少年に寄り添いたいと強く願った。

少女にとって、少年と過ごすその時間こそが一生の中で最高の幸福だった。


それを失いたくなくてあの日少年に着いて行き、村が滅びたその様を見て、少年共々別世界へ連れていかれた。

結果的に側に居られているので所謂結果オーライだ。


そうだ。

今ようやく思い出した。自分の、蘭太と共に居たい理由。

蘭太は昔、自分の大きな孤独を癒してくれた。ドン底の自分を救ってくれた。

その恩を返したいという心が2人を繋ぎ、共に過ごすと共に愛という感情に変わっていった。


「私は死ねない…!」


流血と共に薄れていた意識を強引に引き戻し、微かにしか動かない唇を震わせて声を絞り出す。


「私が死ぬ時はあなたと一緒…だから立つよ…私は…!」


ルルの左目が青く光り、傷が無くなっていく。


【まさか…妖精が余の浄化機構を利用できるとはな】


『悪かったわね…?でも使えるのなら使うよ。私が立つために』


【そうだな。…今なら頼めるだろう。デュ・ネイルを救助せよ】


『言われなくても、分かってる』


再び剣をもって立ち上がったルルは吠え声と共に蘭太へ突っ込む。


相も変わらず蘭太は単発攻撃で振り抜くが、ルルは難なく避け、


「蘭太、少しの辛抱だよ!」


心の中でも変わらず悪魔のささやきが聞こえるがガン無視して…。


ルルは剣を左手に持ち替え、剣を持つ蘭太の右手を手首から斬り飛ばした。


【んバッカ!?何して!?】


「アクニリディアさん!浄化ぁぁ!!」


右手を青く輝かせ、傷口に触れると血が出ていた手首が止血された。


「っ!!蘭太ーーーー!!!」


そしてルルは剣を投げ捨て、蘭太に抱きつく。

気のせいか蘭太の動きが止まった。


「ごめんなさい…!でも、私の心を伝えるから…!共鳴!!」


言って、ルルは唇を蘭太のと重ねた。

伝えるのは愛の心。それ以外は今は要らない。


ルル側でも感じた。

蘭太の魂を縛る闇が溶けて消えていく様を。


「ん…ンン!?」


蘭太の喉から驚愕の呻きが聞こえた。

重ねた唇を離すとそこには瘴気などなく、光の宿った通常の目をして、マヌケ面を晒す蘭太がいた。


「え、え!?俺、き、きす!?ルルと!?気付いたら!?しかも腕回されて!!?ふぁ、ふぁーー!」


「ふふっ」


「よ、余裕そうですね!?まさか準備していたとか!?」


「そんなわけないじゃん。初めて、だよ?」


「ふ、ふしゅー……」


蘭太がパンクした。

いつもの彼だ。それだけでルルは嬉しかった。

だがいつまでもこのまま抱き合っているわけにもいかない。


「ら、蘭太、ブラッディアン達が戦ってるんだった!行こ!」


「おっけー!……ん?」


切り替えて、右手を上に突き上げた蘭太は違和感に気づく。


「あんのー…右手ないんすけど」


「あ、ゴメン、呪縛から解放するための尊い犠牲になっちゃった」


「呪縛?」


「後で話すね」


「あー、うん。右手どうしよう、ブラッディアンに治してもらうか」


「その方がいいかな」


「おっけ。じゃあ行こっか、ルル」


「うん!」


「「共鳴変身!」」




あ、どうもどらっごです。


あんまり殺伐とさせられませんでした()

いや、実を言えば復活する手前ぐらいは考えてはいたんですけどそこまでの繋ぎがあんまり考えてなかったです正直(すいません)


走った感満載ですけどそこは気にしないであげてくださいお願いします!


最後に。

ルルちゃんかわいい!


ごほん、ではでは、また。

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