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厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
最終章「其の末は破滅か、或いは平和か」
71/87

67・・・「戦士、命を懸けてみよ」


「……来たか、愚か者共」


玉座に座っていたイクスティクスは顔を上げる。その視線の先にいたのはカルナ。


「…来たよ、イクスティクス」


「何度もしつこいな。いい加減諦めろ。世界とお前を天秤にかけてもお前が大事だから世界を贄にしてやろうとしているのに何故今になっても邪魔を図る?」


「何度でも言うよ。キミは間違ってる!まずもってボクはこんなことを頼んだことはないのに勝手に『ボクのため』って言いはらないでよ!」


「はあ…そうかお前、まさか我々の生命エネルギー源のこと忘れたのか。間違いないな、そうでなければ我の行いを『間違っている』などと言えるわけがない」


「覚えてるよ…!その上で言ってるんだ!キミはやりすぎなんだ!」


強くカルナは言う。

そこでふと火鉈は尋ねたいことがあった。


「なあ…、あんたらの生命エネルギー源って…どういうことだ?」


「ああ、それはね…」


イクスティクスは「はぁ?貴様らに何故教えねばならん?」と言っていたがカルナは反して話しだす。


創造龍・カルナ。

死滅龍・イクスティクス。

彼女らは龍族の原点に当たる神龍で、かつ()()()()()()()()()()()「創造」と「破壊」の概念を司る存在である。


「ボク達はその2つの概念を片方ずつ与えられ、生まれた。でも生きるための生命エネルギー源を複雑にされたんだ。ボク達が自らの欲に走らないように」


カルナは「創る」。

イクスティクスは「壊す」。


もしカルナが「創る」関連の存在をエネルギー源にし、イクスティクスが「壊す」関連の存在をエネルギー源にしたとしよう。

言うまでもなく暴走する。

自分の能力で自分の寿命にまで干渉できるということになるのだ。やりたい放題することは目に見えていた。


だから逆にされたのだ。


カルナは「生命体が死に、体から魂が離れる時に放出するエネルギー」を、

イクスティクスは「生命体に魂が宿るときに放出するエネルギー」を生命エネルギーとする。

と言うように。


簡単に言えば生き物が死にまくればカルナは元気になるがイクスティクスは衰弱し、生き物が中々死ななければイクスティクスが元気になりカルナは衰弱する。


そして今の時代は後者だった。


滅世獄戦が終戦した後の世界は平和そのものだった。

平和ということは誕生するものは多いが命を落とすものが少ないということだ。


だから日に日にカルナは弱っていったのだ。

無論戦争が続くことは望まれないが、極端に死亡率が下がるのもまたよろしくない。

つまり生と死のバランスが必要なのだ。


「だからイクスティクスは敢えて殺しをすることであんたの元気を取り戻そうとしてるわけか」


「そうだ。概念を司る我々が消えれば世界など有って無いものと同じ、いや世界が存在不能だ。わかっただろう?我は間違っていない。故に退ーーー」


「めんどくせえ、無理に決まってんだろが」


カルナのかわりに答えたイクスティクスの言葉をグラビティが遮る。


「俺らは生きてんだぞ?地に立って意思をもって、な。お前がカルナとやらを大事に思ってんのは勝手だが俺達をエサみたいに扱うんじゃねぇよ」


「ほう?面白いことを言うな貴様?そういう貴様はその厄災(ドラゴン)級の能力で多くの人間を殺めたくせによく言ったものだな?」


「知るか。そこら考えんのはめんどくせえ、俺は自分の知ってる奴らが死ぬのが嫌なだけだ。そして案外その幅は広くてな。だからここで退くわけにはいかん」


その言葉を引き金に変身能力者は共鳴状態に移行する。


「ハッ、所詮は人間。愚かな種族だ。まあいいだろう、かかってこい。人間風情と衰弱した神龍、そして輪廻の龍が束になったとしても我には勝てぬ。せいぜい滅びの過程を楽しめ、愚族共」


イクスティクスが玉座から立つと同時に火鉈達は変身。それぞれの能力による遠距離攻撃を図ったとき、カルナがそれを止める。


「どうした?」


「イクスティクスにそんな攻撃は通じない!あの子には近接しかだめなの!」


「どういうことだ?」


「撃ってみればわかるぞ?」


疑問符を浮かべる火鉈にイクスティクスが誘うように言う。

ならばとりあえず、と撃ってみたら全て消滅した。


「んなっ」


「ね?あれがイクスティクスの固有能力、ボクと対なす『滅』の力」


カルナがあらゆるものを「創」ることが出来るのに対し、イクスティクスはあらゆるものを「滅」することが出来る。

その力によってイクスティクスは飛来するものを当たる前に消し去るのだ。


「なら…!」


遠距離攻撃が駄目なら近接戦闘のみ。

炎を纏ってイクスティクスに格闘戦を仕掛ける。


右腕を振り抜き、躱したところを蹴りで追いかける。

反撃の拳を避けて腕を掴んで別の腕で殴るモーションを取ってわざと掴ませ、掴んでいた方の腕を離した一瞬でイクスティクスにストレートパンチを決める。


ザザーッと後退りさせられたイクスティクスは、大したものだな、と呟く。


「アクネルには及ばんが貴様もなかなかなものだ。我は仮にも女なのにもかかわらず手加減をしないところは評価してやろう」


「関係ねぇ、俺らはお前を倒…いや違った、こんなことをさせないようにする!無理矢理にでもな!!」


「…そうか、あくまでも強制するつもりか。残念、受け入れると思ったか?」


「はいわかりましたって飲むとは思ってねぇ。だから受け入れさせるんだよッ!!」


炎を腕に纏わせ、火鉈は再度攻撃をする。


「フッ…、やはり愚かだ人間というものは。滅、焔」


スッと手をかざす。

ただその動きだけで火鉈の炎が消えた。

その火鉈をイクスティクスは回し蹴りであしらう。


「滅、空気抵抗」


と加えて。

蹴り飛ばされた火鉈は減速するのではなく逆に加速しながらフロアの壁に叩きつけられた。


「があっ!?」


地面に突っ伏した火鉈は変身解除までは陥らなかったが大ダメージを受け、駆けつけたカルナに回復を受ける。


「あくまで人間に加担するか、カルナ」


「少なくともボクは今のキミに協力する気はないよ」


「そうか」


ゴゴゴゴゴ……と圧が高まっていく。二頭の神龍が龍気を膨張、ぶつけ合っているのだ。

両方が万全であれば神々の戦いに発展しただろう。だが。


「っ!?げほっかはっ…!」


もとより衰弱していたカルナが場の圧に耐えきれずに血を吐いた。

そのカルナと火鉈に向け追撃をしようとしたイクスティクスを外気圧が抑える。

言うまでもなくグラビティだ。


「なんだ。てっきり竦んでもう戦えないと思っていたから眼中に収めていなかったが、動けるではないか?」


「てめぇ、愚か愚か不愉快だな?botか?あんまり人をバカにすんなよ…?」


「当然の対応をしているだけだが?何故我より圧倒的に下位の貴様らにヘコヘコせねばならん?滅、拘束圧」


声とともに泡が弾けるようにイクスティクスを抑えていた外気圧が霧散する。


「ならばそんなに大きな口を叩く分我を満足させられるのだろう?見せてみよ」


イクスティクスは敢えてゆっくり歩き、グラビティ達の方へ向かう。



ーーーーーーーーーーーー



居城の外。

ここでは疾風と電撃がぶつかり合っていた、外観ではそう見えるだけだが。


蘭太とアクネルの熾烈な戦いが続いていた。


重量武器を振るうアクネルに対し蘭太はデュアルブレイガンと氷剣を駆使して立体的な攻撃を仕掛ける。


「やるな…さすが弱点を補い合っているだけある」


「当然だよ。自分で言うのもアレだけど俺達はお互いを信じてる!」


「そうみたいだな。少なくともお前は中の3人を信じている。だがルル・イーリア、お前はどうなんだ?」


アクネルがそう問うた瞬間、ルルが動揺した。

同時に蘭太の装甲が薄くなってしまう。


変身能力者の共鳴変身は同化するペア同士の意志一致が必要である。

もし一度変身したものの今回のように意志を大きく揺さぶられると変身の維持が不可能になる。


その隙を逃さず振るわれた大鎌の斬撃を蘭太はモロに受け、地面に墜落。


「ぁぐっ!?」


そして遂に蘭太の装甲が解かれてしまった。


『ルルちゃん!?どうしたの!?』


『なんで…?私は…どう……思って………?』


中で雷花がルルに叫ぶ。だがルルは答えられない。自分の意識で混乱してしまっている。


「ルル…!?ルル!!」


蘭太が呼びかけてもルルはパニックじみた症状を起こし、返答をすることが出来ずにいた。


自分が何故蘭太を好きでいるのか。


このことへの応答が出来ない自分がいるという事象が彼女を混乱させていた。

気づけば彼にこんな感情を抱いていただけの少女には理由など考えたことはなかった。


「どうして…?どうして…?」


遂にルルの混乱が増大し、蘭太の体にまで影響を与える。

蘭太の口でルルが声を出し、エラーの処理で蘭太に頭痛を与える。


その様子を見ていたアクネルは呆れの溜息をつきながらバルディアムに闇より深い黒い弾丸を装填する。


ローディング、ダーク!


「答えが出ないのなら命を懸けてでも出させてやろう。この問いの答えは必要なものだ」


リリース!

引き金を引くと同時に機械音が響き、エネルギー弾が蘭太に直撃。


蘭太達は4人に強制的に分離させられた、のだが。


「……?」


ルル、雷花、ブラッディアンの3人は特に体の異常を感じなかった。

ただ蘭太だけ起き上がらなかったことが気になるが。


「蘭…太?」


そんな蘭太にそーっと近づいて膝をついたルルの腹を音も無く剣が貫いた。


「……え」


ルルは見た。

自分を刺し貫く剣を持っていたのは、微量の瘴気に身を包まれ、目を光なき闇色に染めた蘭太だった。


どうも、どらっごです。


そういやふと思ったんですよね、偏見なんですけど無条件で好かれてる男キャラってよろしくないなって。

特にルルちゃん。物語開始からずっと蘭太くんにくっついているけど果たして理由を述べたことはあったっけ?と思いまして。まぁないんですけど(汗)


というわけで次回はペア同士のイチャイチャ(殺伐)回です。


ではでは、また。

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