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65・・・「最後へと向かう者」


今回ちょっと短いです。思ったより字数稼げなかったです()


時はやや遡り、元世界。


「なんだ、ここが使えるようだな。職員どもも黙って使わせてくれるとはありがたい」


「いや…」


ポーカーフェイスでゲートを起動するグラビティに対し真麗は引きつった顔だった。

なぜなら。


()()()()のあんたなんだけど…?モロ止められてたよね!?」


「は?…そうだったか?ちょっと挨拶程度に手をあげたらこちらの考えが分かったのか倒れて道を開けてくれたじゃないか?これは『使っていいよ』ということだろう?」


「どう考えたらそういう思考になるの…?」


「ポジティブに考えるのだ。そうでもせねばこの飽きの厄災は何も続けられん」


ちなみにここは2人にとってはあまり馴染みの無いところだが、FG旧東京本部の地下である。

そして今起動しているゲートはかつて蘭太が単身で龍界に行く時に用いたものだ。


さて、事の経緯を説明しよう。

まずグラビティたちは龍界へ向かうべく、ゲートのことを知っているであろう人間に所在を聞いて回った。

時に叩きのめし、脅迫し。


後に真麗は、あれ強引に吐き出させてしかいなくね?と思ったことだろう。


そうして見つけたのが今いるここ。

なのだが使おうとした途端に生き残りの職員の人が


「龍界は危険です!今は使用の許可が降りていません!お引き取りください!」


と止めてきた。

グラビティはどうしたのかって?


「うるさい」

「黙れ」

「つべこべ言うな」


といってデコピンの衝撃波ベクトルを増強し全員を気絶させた。


そんな所業をして今に至る。

なお当のグラビティはその所業についてなんの悪気も感じていないどころか自分の都合の良い方向に解釈している。鬼畜め。


そんなこんなで待つこと数分。

ゲートが完全に開いた。


「お…じゃあ行きますか」


2人はゲートを通り、龍界へ向かった。



ーーーーーーーーーーーー



時、場所、不明。


「集ってるねぇ…そろそろか?」


王は玉座に座り赤い酒を啜る。

王が見ているのは2つの水晶。片方には一行が映り、もう片方には死滅龍が映っている。


おそらくこの一行と死滅龍との戦いがこの戦争の存続を左右するだろう。

まあ王にとってはどちらが勝とうが関係ない。王の目的のための手段としてこの戦争が起こされたのだから。


「何年もかけてようやく熟した今が機だ」


欲しいものがある。

それは欲望だろう。傲慢故に、誰よりも、何よりも自分が持っているのにふさわしいから頂こうという意識からの。


「虚しいよなぁ限りあるモノども。何もしなくとも命がすり減り手に入れたと思えば失くし」


ならば何であれば虚しくないのか。

「無」だ。

最初から何もなければよい。悲しんだりする「心」、限りある時間などがなければ何も気にする必要がなく、それこそ平和に生きることができるだろう。


「有は無に勝ることは叶わない。有は無に塗り替えられるが無が有に塗り替えられないように、な」


徐々に距離を縮めていく2つを眺め、王は時を待つ。



ーーーーーーーーーーーー



「アクネル。奴らがくる。準備しろ」


イクスティクスがアクネルを呼び出す。


「あえー?下っ端出しときゃいいんじゃないすかね?」


「出したとこで蹴散らされるのは目に見えている。奴らを潰すのは我らだ」


「ふーん…あの、イクスティクスさん」


「なんだ?」


「カルナを手にかけるの、本当に躊躇ってないんすか?」


「………」


イクスティクスは黙り込む。今は敵対関係にあるがかつては寄り添い合う仲だった。

それがイクスティクスが魔の道に手を出したせいで引き裂かれた。自分は悪者なのだ、と彼女は思っている


「もしカルナと本気でやり合うのなら、わざと負けるのもありかもーー」


「それは俺が許しません」


「…え?」


「あんたも、カルナも後継が出来るまで死んじゃいけない存在なんでしょう?それに俺は生憎目の前で大切なものが失われるのを見たくないんでね」


「なら…お前も死ぬなよ」


「分かってますって。少なくとも目的を果たすまでは」


悩みも迷いも思い残しもこの戦いで全て断ち切る。


その決意でアクネルはバルディアムを担ぎ、弟達が来るのを待つ。



ーーーーーーーーーーーー



「濃い…な」


死の龍気を辿りながら進む蘭太達は着実に近づいているのを分かっていた。


「ね、みんなは本当にいいの?」


「何がだ?」


ふと尋ねた蘭太に火鉈が答える。


「この事象は起こってほしくないけど…、文字通り命を賭けるんだ。死ぬかもしれない。それでも戦うのかな…?って」


「お前…さては底なしの馬鹿だな?」


「は!?」


()()()1番自分の命を危険に晒さらすんだろが。進んで突っ込みやがって。馬鹿野郎。いくらお前でも命はたった一個だ。行きて帰ることを望んでいる者も居るんだ」


「それは火鉈達も…」


「俺達も同じだ。だから死ぬ気はない、だろ皆?」


皆に回答を要求すると全員頷く。


「お前がどうこう言ったとこでここにいるメンツで最終決戦に臨むことには変わりない」


いいこと言うじゃん、と蘭太は思ったが火鉈がドヤァとしていたため苦笑いになる。


「全く…ブレないね」


「な、何がだ?!今のは惚れるとこだろ!?」


「残念でしたー」


隣のルルが火鉈を小突いて弄る。


そうやって雑談しながら歩む姿はまさに戦場に向かう戦士そのものであった。


まるで、戦争が終わってもこうやって馬鹿話出来るように行きて帰ろう、と無言で約束しているような。


そしてついに視界に捉えた。

イクスティクスの、駆逐派の居城が。

同時にその中からまるで待ってましたと言わんばかりに龍達が現れる。


龍気は感じない。抜け殻の龍だから当たり前だ。


「すげぇお出迎えだなぁ?俺ら来賓か?」


「来賓でもなんでもいい、油断は許さないからな!死んでも死体は放ってくよ!」


「冷てぇやつだ!」


闘気まんまんのスチールに蘭太は念を押しておく。


「んーじゃあ行きますか!」


代わりに火鉈が呼びかけ、戦闘態勢を促す。


「三重共鳴、変身!」


「共鳴変身!」


全員が各々の属性の装甲を纏い、龍共に立ち向かって行く。


全ては戦争を終わらせるため。

誰かがいつかせねばならぬことをするだけだ。

例え未来に名が残らなくとも関係ない。彼らは何よりも自らの信念のため戦う。




どうも、どらっごです。


次話からついに最終章です。

長かったようで短かったような…。

でも最後まで書きますよっ。


…どうか蘭太君達の最後の戦いを最後まで見届けてやってください。


筆者からはこの言葉に尽きます。


では、また。

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