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60・・・「真実へ近づくのか」


蘭太・ルル、ブラッディアン・雷花と別れて排熱器官を攻撃しだしてしばらく。


「26、27、…」


蘭太は数を数えながら一閃ずつ斬撃を繰り出していた。


『なんだか…暇だね』


「それ思った。ブラッディアンー、そっち何回ー?」


同じ精神世界を共有するブラッディアンと雷花に念話で呼びかける。


『あ?えーと、30』


『ちゃんと私数えてるからそれであってるよ』


『ふー』


危うい。雷花がついて無ければ多分というか絶対連携が取れない。


「おっけー。ちょっと待機よろー」


ざくっ、ざくっ、ざくっ


「よし30。てか硬くない?」


『そろそろ一撃ずつ合わせた方がいいかもしれないね』


「そうだな。ブラッディアン、そっちに合わせようか?」


『おう。頼むわ』


さんじゅういちー、さんじゅうにー、と幼児のように数字を言いながら斬撃を加えていく。


正直つまらない作業である。

分かってはいた。

ただ思うままに力をぶっ放してぶち壊せばいい話ではないことは。というかそれでいいのならまず分離していないっけ。


だがここまでとは思っていなかった。


ぶっちゃけ作業ゲーである。


だがそれもじきに終わる。


「52…53…」


ざくっ、ざくっ。


「54…」


ざくっ。

ボン!!


「ふぎゃばっ!!?」


突然排熱器官が壊れ、爆発し飲み込まれる。

強制変身解除には至らなかったが、割とダメージを受けた。ゴグボルケの鳴き声は聞こえたような聞こえなかったような。


「あ…う…けほ」


排熱器官は再生しなかった。

どうやら同時破壊に成功したようだ。


「ブラッディアンー、雷花ー、そっち大丈夫ー?」


『げっそりしすぎじゃねえか?こっちは平気だぜ?』


「爆発に巻き込まれて…。そっちは爆発起きなかったの?」


『起きたぞ?何言ってんだ?同じ器官壊したんだから同じ結果になるにきまってんだろ』


「なんでそんな平気なの…?」


『能力で回復したから』


どうやらブラッディアンの方は彼の瞬間再生能力で回復していたらしい。


「『ずっる』」


これには蘭太とルルも合わせてこう言わざるを得ない。


『また合流したら回復してやるからそれまでの辛抱だって。ひとまず出るぞ。そっち動けんのか?』


「いや、動けるよ。こんなところでくたばってられるかっての」


『りょーかい』


破壊し終わり、用済みとなった火口内部(ここ)に長居は無用である。

早々に火口から脱出し、ブラッディアン達と再び同化すると、蘭太の体力は回復した。


「ふひー、回復っていいなー」


『この様子あの熔岩龍が見てたらガチギレ案件なんだがなぁ』


『そんなこと言ってると本当に見られてそうだからやめてよー』


中でブラッディアンにルルが突っ込んでいるのだが、確かにゴグボルケの様子が気になる。

そう思って視線を移すと、ゴグボルケと目が合っていた。


なんだァ…?テメェ……?


ゴグボルケ、キレた。

そんな空気を漂わせていた。


「…あぇ?」


と間抜けな声を出す間も無くマグマが飛んでくる。

距離がそれなりにあったため難なく避けるがなにせ威圧が凄い。


『なんだあのヤロー、何キレてんだ?さっぱり分かんねぇ』


ブラッディアンは本気で分からなさそうだが他の3人にはよく分かる。


【お前らだけ何回復してんねん】


である。

誰しも感じたことがあるはずである。

お互いにダメージを受けたのに自分だけ回復できず相手だけ出来ている時に感じるあの不公平感である。


だが。


「奴の気持ちはよく分かるけど、倒れてもらうためにはこうせざるを得ない!」


蘭太は剣をバレットモードへ変形し、目を撃ち抜く。

悲鳴と共に前足が自身を潰さんと迫るが巨体故遅い。軽々と躱す。


憤慨したゴグボルケが噴火を起こそうとした時、背中の火山が暴発した。

排熱器官が壊れているのだから当然の結果だ。


そこから蘭太は軽やかに斬撃と銃撃を加えゴグボルケを翻弄する。

そしてゴグボルケは前足の膝を折り、倒れはしなかったが戦闘不能に陥った。


そのゴグボルケの眼前に蘭太は浮遊し、バレットモードへ変形したデュアルブレイガンを構えた…ところで。


『殺すのか…?』


迷った。

この龍はもしかして望んでこうなったのではなかったんじゃないのか?

もしかして家族がいるんじゃないのか?

もしかして…


『蘭太…』


「分かってる…倒さなきゃ…けど…」


本当に殺すことでいいのか?

自分達の望みのために邪魔なものは排除するとしたとしても安易に殺すという選択肢を選んで良いのか?


【迷うのならば、余の遺伝子を使ってみよ】


心の内から突然、あの水神龍、ラ・アクニリディアの声がした。どうやら声が届いているのは蘭太とルルだけのようである。


『どういうことだ…?』


【何を警戒している?余の遺伝子を使えば浄化が出来るのだよ。あの魔龍も救えるだろうな】


『魔龍…?』


【今それを気にする時ではない。どうする?余を警戒してそのまま魔龍を放置し後悔するか、余の遺伝子を使って浄化するか】


蘭太は一瞬目を伏せ、すぐに上げる。


『使う。どうすればいい?』


『蘭太!』


【小娘、気にするな。害のあるものではない。…ネイル、余の遺伝子をさらに活性化させよ。具体的には目の枠を2つ用意せよ】


『目…』


現在蘭太の目は左目を3つ、右目を1つ能力が占拠している。

重ねることは可能だが、それだけ負担がかかる。


【どうする?お前は数合わせ的に右目にねじ込むことは可能だが?】


まるで敢えて危険な道を進ませるようにアクニリディアは囁く。

だが蘭太はアクニリディアではなくルルを見る。


『ルル。半分、引き受けてくれるかい?』


蘭太はまた無理をするのではないか、もしそうなったら引き止める気でいたルルにとっては意外だった。


良い方向で予想を裏切られ、ルルの顔は綻ぶ。


『…はい』


そして快諾した。


『というわけだ。使ってやるよ』


【なるほど…フハハハハ!!!!面白い!!せいぜい飲まれないよう使うことだな!!】


『バカ言え。こちとらルル達がいてくれるんだ。お前なんかに飲まれるもんかよ!』


【よろしい!!神に等しき浄化の力、使いこなしてみせよ!!】


アクニリディアの両目、蘭太の右目、ルルの左目が強く青色に輝く。


活性化した水神龍の遺伝子で得たエネルギーをデュアルブレイガンに充填し、引き金を引く。


「これで終わりだ」


巨大な水流を思わせるレーザーがゴグボルケを飲み込み浄化して行く。

レーザーが消えた後ゴグボルケはまるで自身も熔岩であったかのように地面のマグマとともに冷え固まっていた。

その様は解放された魂が満足して体を手放したようであった。


「これで…よかったのかな」


『良かった…と思うよ、わたしは』


ひとまず一件落着。カルナ達と合流、しようとしたのだが。


「あれ…どこ?」


拠点が見えない。どこまで退避したんだ?

うろうろしていると。


「何うろうろしてんの?」


「ふぐっ!?」


急に後ろからリーチャに声をかけられ奇妙な声を上げる。


「そんなに驚かないでよ。戦闘が終わったみたいだから迎えに来たのに全然こっち向かないから声かけたのに」


「オ、オコエカケアリガトウゴザイマィダッッ!!」


片言になりかけていた蘭太の頭に氷が張られる。ルルの仕業である。


「あら、アンタのパートナーはどうやら愛が深いわね、良いことじゃない?」


「ありがたいけどヤンデレになってほしくはないなぁ…」


『そんなんじゃありません!もう…』


リーチャに誘導され、今度こそカルナ達と合流する。


「お、おがえり蘭太ぐん!!」


着いて変身を解き、分離までした蘭太にカルナが思いっきり抱きつく。


「心配したよ!?1人であんなの大丈夫かなってずっと!!びぇぇぇぇんん!!!」


「な、なんかデジャブ…」


頬を膨らませ、カルナに対抗すべしとさらに抱きつくルルとカルナの両方の頭を撫でながら蘭太はなんとも言えない気持ちになりながら服をカルナの雑巾代わりにしていた。


しばらく経つと2人とも落ち着いたようで蘭太から離れた。その時。


【そろそろいいか、デュ・ネイル。少し体を貸してもらおう】


「へ?何をッ!?」


頭が跳ね上がる感覚と同時に蘭太の意識がアクニリディアと入れ替えられた。


頭を戻した蘭太の両目が青く光っていた。

コキコキと首を鳴らし、喋り出す。


「ン、ンー。外側に出るのは本当に久しぶりだなぁ…お!母上じゃないかー!」


わざとらしくそう言って蘭太(アクニリディア)はカルナを指差す。


「分かってたくせに、アクニリディア」


「釣れないねぇ〜。せっかく息子が復活したってのになんつー母親だ。…さて、御託はここまでにしておいてだな。見ての通り余は完全復活した。母上、デュ・ネイルを例の場所へ連れて行ってくれ」


「君がそのまま行けばいいんじゃないのかい?」


「駄目だ。ちゃんと道のりまで記憶してもらわんと困る。これはデュ・ネイルの未来のために必要なことだ」


他の者には正直カルナとアクニリディアがなんの話をしているのかはよく分からない。だが話は容赦なく進む。


「分かった。連れて行く。蘭太くんに戻りなさい」


「フ、了解だ」


目の青い輝きが消え、蘭太は頭を片方の指で押さえる。なにかあったのか?という様子だ。


「蘭太くん」


そんな蘭太にカルナは呼びかける。


「…はい?」


「ラ・アクニリディアは知ってるよね?」


「…えと、水神龍ですよね?」


「それだけ分かってれば十分。実はね、君に案内したい場所があるんだ」


「どこなんですか…?」


問われたカルナはこう答えた。


「…君の故郷、だよ」


と。



ーーーーーーーーーーーー



「なんだここは…」


ガサゴソと無人の部屋を漁りまくるグラビティと真麗。


「む…?」


ふとグラビティはパソコンのディスプレイの前に手帳が置いてあるのを見つけた。

開けてみるとそこには


【Code:W.D】


と書かれているだけだった。

もしやと思い目の前のパソコンに手を伸ばす。

幸い電気は通っていたらしく、ちゃんと起動した。


ホーム画面はなんだろうと思っているといきなり黒地に白で


【please enter passcode】


と出てきた。


多分W.Dだろうと思い打ち込むが、errorと表示され跳ね返された。


「ん…?」


「グラビティ、多分これ『Code』からがパスコードなんだと思う」


「なるほど」


今度はCode:W.Dと打ち込む。

するとモニターにはacceptedと表示された。


続いて表示されたのはとある日記であった。なぜわざわざパスコードに守らせた電子版なのか。

ひとまず読むことにする。


『突然だった。アノコがここ、ミストへ来たのは。今日から記して行くことにしよう』

『どうやらアノコはデュ・ネイルと言うらしい。龍界出身の龍人とはとても興味深い。私は彼の担当の1人となった』


なんだ、よくある変態か。

そう思ってスルーし、スクロールしていたその時。


『次々と減って行く。王の真意に気づいた者達が。私もじきに処理されてしまうだろう』

『この少年には何かを変えるを感じる。どうやら私達は彼に賭けるしかないようだ』


カラカラ(マウスのローラー音)


『未来、私はいないだろう。よってここに記し、残すことにする。この組織に属した私が見た全てと彼の記録を。消去されてしまえば終わりだが見つからないことを祈る』

『ミストは滅多に表に出ない上、世間には孤児保護施設と思われているようだが、断じて違うと言おう』


デュ・ネイル。誰のことかはよく分からないが、見逃してはならない、そんな気がした。


「……」


そこには掴めない煙のように滅多に表に出ることのなかったミストという組織の裏が書かれていた。


どうも、どらっごです。


王がアレなのでその王が作ったミストもアレなのは当然!(暴論)


あ、なんでちゃんとパソコンあって動くねんっていうツッコミはなしですよ(汗)

そこは作者の力(謎)です。



さてさて(唐突)、次を書かねば。

というわけで今回はこの辺で。では、また。

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