5・・・「厄災級」
聞いてよどらっごさん!
「ん?」
いいこと思いつきました!
「なんや?」
僕、5話投稿します!
せやな〜〜
某なんでも言うことを聞いてくれるアレを真似して見ました()
では、行きます。
その場で交戦していた火鉈達とライト達は激しく戦っていたが、2つの重なった静かな声が不思議にも聞こえた。
「「共鳴、変身」」
見ると、ルルが粒子化し蘭太と同化したところだった。
同化した直後、蘭太を円で覆うように水流が下から吹き上げた。その中で蘭太の装甲が水で生成されていく。
そして装甲がある程度形作られた時に水流が途切れ、上に上がっていた分の水があろうことか龍の姿を形どり蘭太の後ろに控えて……。
翼を残し蘭太と同化する。
変身が完了するのを告げるように、纏っていた水を衝撃波のように吹き飛ばす。
残ったのは氷の装甲、そして同じく氷でできた翼。
変身した後の蘭太の黒目は不思議にも左目のは水色に対し右目のそれは金色に輝いていた。
「おいおい…まじかよ…あの翼、あの目…!」
「本当にいたのか…!?」
ライトと火鉈が畏れを抱いた様子で反応する。知っているが故に。
通常の変身者にはないはずの龍のような翼、左右で異なる色に変色する黒目は、あることを示す何よりの証拠であった。それは……
「「厄災級…!」」
厄災級。それはハーフフェアリーの能力者階級には本来ないレベルである。
まずドラゴンとは「隣の者」の中で最強の種族である。
かつての大戦で最も被害を及ぼし、星を殺しかけた種族こそこいつらである。
そして、厄災級はそれの名を借りている。
それすなわち並みのハーフフェアリーでは対抗することすら不可能なほどの強さを持つということだ。
過去に厄災級と出会ってしまった禁忌能力者の人達は言葉は様々だが同様の意味のことを言った。
曰く、触れてはならぬ。
曰く、戦うならば命を支払え。
曰く、会えば生きる術ただ一つ。ただ去るのを待つのみ。
つまり、「出会ったら一切刺激するな。血迷っても戦おうとするな。さもなければ相手の気次第で軽く殺されるぞ。」と。
だが残念ながら厄災級は滅多に姿を現さず、出会う機会がそもそもない為今この時火鉈とライトしか厄災級のことを知らないように、このことを知っている者は少ない。
そして知っている者のうちでも動き方は異なる。大人しく下がるものと、警告を無視してかかっていくもの。
先に動いたのはライトだった。だが愚かにも彼は後者だった。
『奴はまだ動いてない…。なら動き出す前に叩く!』
光速で蘭太の左側に接近してロッド状の武器を振るうーーーー
ところで蘭太と目があった気がした瞬間。
ズガァァァァアアンン!!!
邪魔物を殴り払うように振り払われた蘭太の腕がライトをぶっ飛ばし、対岸の堤防へ打ちつけた。
堤防の壁に亀裂が入り、凹む。
「ぐぼぁはッ!!」
激突した壁から地面にずり落ちたライトはたった一撃を受けただけで立つのがやっとなほどダメージを受けていた。これでは能力を満足に使うことは出来ない。
そこに追い打ちをかけるように蘭太は右手の薬・小指をたたみ、親・人指し・中指を伸ばすようにしてハンドガンの形を作り、人指し指の部分から高圧水流をライトに向けて放った。
『ッ?!早ぇ!だが細い!これなら横に少し動くだけでよけれ……な?!』
「違う。これだけですむはずがない」ということに気づいた時にはもう遅かった。
蘭太の放った攻撃の本命はこれではない。本命は、水流を堤防にぶつけ、水を撒き散らせて湿度を増した空気中で水蒸気爆発を起こすこと。それもやや広範囲の。
それにライトは巻き込まれた。
「ぐああぁぁあぁぁぁぁぁあ!!!」
と声を残して。
爆発の煙が解けた後、ライトは倒れ、体が光に包まれると同時に粒子が放出され人と妖精に分かれた。
戦闘不能。変身解除である。
ハーフフェアリーは個人差こそあるが一定以上のダメージを受けると変身を維持できなくなり、強制的に分離させられるのだ。
「へえ、水蒸気爆発に吹っ飛ばされずに堪えたんだ。中々強い人だね。」
禁忌能力者を二撃(直接的な攻撃だけで考えるならば一撃)で倒したにもかかわらず蘭太は特に喜ばなかった。それどころか評価した。確かにライトは熟練の戦士でもある。なんとか吹っ飛ばされるのは堪えたのだろう。
「うーん、カシラは倒したから、手を退いて
くれないかな?俺はただ帰りたいんだ。今去るって言うなら被害はないけどまだやるってんなら…」
蘭太は部下達の方を向き、言った。
明らか警告だ。普通ならここで手を退き、厄災に去ってもらうのが得策である。
だが知らないが故に部下の一人が愚行を犯した。
「ふざけんな!人のリーダーやりやがって偉そうにほざきやがって!俺らがテメーを殺してやる!!」
と言って部下達全員が蘭太に踊りかかった。
遠くで、
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
と声が聞こえた気がした。
対する蘭太は両腕に蒸気を纏い前へ突き出した。
それだけで一人を残し部下達は吹っ飛び変身解除へ至る。
果たして残された一人は……
先程まで翼爪だと思っていた部分が手のように開いた翼で頭を掴まれ持ち上げられていた。
「なっ?!や、やめろ!離せ!離せよ!」
やっと命の危険を感じたのか部下は暴れるが顔を蘭太の方へ向けさせられ目が合った途端、恐怖からかピタリと止まった。
見てしまったのだ。金色を輝いていたはずの右目の黒目部分が変じて真紅の輝きを放っているのを。
「お前、さっき『殺す』って言ったよな?」
蘭太は怒っていた。すでに勝敗は決まっているにもかかわらずかかってくる愚か者に。
だが「殺す」言われただけで殺してやるのもなんだかアレなので選択肢をあげることにした。何かしらの犠牲はとってもらうが。
「でも、だからって殺すのは正直ひどいかなって思うから今から選択肢をあげる。一つ、どちらか一本の腕をなくしておさらば。二つ、全身爆ぜさせて永遠バイバイ。どっちがいい?」
しかし、一度愚行をしたものはそんなすぐに直るものではない。部下は最大の愚行を犯した。
「は、ふざけんな!たとえ水の能力者だろうが殺すことなんてできやしねぇ!殺れるもんなら殺ってみやがれ!!」
「……そう。すごく残念。最悪」
喚いた部下に対する蘭太の返事はため息にも近いものだった。
「バカなやつ。そしてサイテーなやつ。俺にまた人を殺させるなんて…」
顔を伏せるが、もう一度上げ、
「でもお前みたいなのが生きていたら俺達の障害になるのは間違いない、だから……」
区切り、右目を光らせ一言。
「爆ぜよ」
瞬間、部下の体をカプセル状に氷が覆い、中身が人の体から赤い液体へ変化した。
バジャァァァァァアアア!!!!
という音とともに。
そしてカプセルごと川へ捨てられる。
その場の全員が戦慄した。何かわからないがとてつもなくグロテスクなことが起こった、ということは分かる。では何が起こった?
「わからない人のために教えてあげる。水の能力は生物の体、正確には体内の水分にも干渉できるんだよね」
恐ろしいことを言った。
人間の体は70〜60%ほどが水でできている。その水に干渉するということはつまり…
「……!!じゃあお前はさっきのやつの全身の水分を瞬時に水蒸気爆発させて殺したのか!?」
少し距離を置いて見ていた火鉈が声を上げる。
そう、こんなデタラメなことも出来るのだ。
ようやく理解した雷花達も少し怯えた様子になっていた。
だが……不思議なことに蘭太は人を殺めても強さを誇るどころか悲しそうに目を伏せていた。
『あいつ…まさか好きでやっているわけじゃない…?』
その時、仲間を一人失った残りの部下達は自分達の怒りをぶつけようとかかっていこうとした。
………が。
「やめろォ!!」
いつのまにか戻ってきていた対岸で倒れていたはずのライトが叫んでいた。
「もう無駄だ、俺らにゃこいつは倒せねぇ。……それに、任務は完了してんだ。帰るぞ。」
「ですが!殺したんですよ!こいつは!」
「だからって俺らに何が出来るんだ?!俺らはこいつを一歩も動かすことも、一つも傷をつけることも出来ずに負けたんだぞ!?犠牲も出した!それにな、厄災なんてモンは普通の奴らじゃ止めることすら出来ねぇもんなんだぞ…」
実際、変身してから蘭太は少しも動いていない。
ライトは抗議する部下を止める。
ライトは部下を引き連れて去る時に、
「じゃあな。もう敵として会うのはごめんだが…」
と言い残していった。
残ったのは蘭太と火鉈達だった。
蘭太と火鉈達の目が合う。殺気は篭っていないのにじっと見られただけで緊張する。
空気が再び張り詰める……。
どもども、どらっごです。
前書きどうふざけようかなーって考えてたらふと浮かんだのでちょっと某なんでも言うことを聞いてくれるアレをパクって見ました。
さて、彼にとっての自分の信じる正義ってなんでしょうね?
筆者も考えます。(若干適当)
ではでは、また。