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52・・・「2つの災い」


夜が明けた。

相変わらず腕にはあの感覚があり、見るとルルがいる。

起き上がり、身支度を整えていると、カルナに呼ばれた。


「なんですか?」


「お客さん。なんかキミに用があるみたいなんだけど…」


何やら不安そうにしているので、とりあえずルルと雷花とブラッディアンと共鳴状態にしておく。具体的には一体化しておく。

その上で出ると、2人の男女がいた。


「はい…ご用の相手です」


「どうやらそのようですね。ここで立ち話もなんですし、ちょっと外に出ませんか?」


「いいですよ。じゃあそこの開けたところにしませんか?」


正直胡散臭いと思った。

もしもの時にここではまずいので敢えて広いところにさせた。


「君は怒りの厄災というのがどういうものかご存じかい?」


着くやいきなりそう尋ねられたものだから少し驚いた。


「はい…?それは今目の前にいる人が怒りの厄災だと知ってての言葉ですか?」


「そうなんですか?」


「そうなんですけど…」


「これは失礼しました!君のような人が怒りの厄災とは1mmも思わず…」


「はあ…それで、僕自身は怒りの厄災がどんなのかははっきりとは分かり切れてないんですけど…」


「そうなんですね。では僕達の見解を述べさせてもらいます。怒りの厄災はとても危険なものですよ。最も暴走のリスクが高く、怒りの感情で自強化をかけるため一度暴走すれば多大な被害をもたらすんです」


なんともいえない。自分自身も二度と暴走した身。

だが暴走して自分にはデメリットしかないため制御しようと試みてはいる。そして今後こそは暴走しないようにする決心でいる。


「でも…もう僕はそうならないようにするつもりです」


「口だけならばそう言えるでしょう。ですがその言葉が未来も保証するわけではありません」


…何故この人はこうも知ったように話すのだろう。

気になった蘭太は尋ねた。


「…あの、あなた達は何者ですか?」


「あ、そういえば自己紹介を忘れていました。具現、ランス。あと共鳴変身」


突如槍が現れ、蘭太に向け突っ込んでくる。

勿論避けようとするが何故か体が動かず、槍は蘭太の胸に吸い込まれるように突き刺さった。

そのあと2人は装甲を纏った。


「ごぽっ」


口から大量の血を吐き出し、硬直する。


『え?』


『え、じゃないよ!?今貫かれてるんだよ!?』


『いや…分かってるんだけど…動けない。再生無かったらもうお陀仏してる…』


『え?』


『いや、えじゃなくて…』


念話で中の者と会話していると、自分に刺さる槍を召喚した男が口を開く。


「僕は暴食の厄災・ブクリスと言います。能力の解説も兼ねてその槍を贈らせていただいたのですが、どうですか?あ、いえ返答は要りませんよ?どうせ君はここで死ぬのですから」


「ありゃ?ねーねーブクリス。この子あっさり死んじゃうんじゃない?」


「手は抜いてはいけませんよ。彼は怒りの厄災、その上3属性ももっているんですからここで仕留めた方がむしろラッキーなんですから」


ブクリスと名乗った男に女性が陽気に話しかける。


「あ、そうだリーチャ。君も名乗っておきなさい。冥土の土産は多い方がいいですから。おっと忘れるところでした。蓮藤蘭太さん。僕は具現の概念能力者。覚えましたか?」


「…はい。てか知ってるんですか僕のこと」


「いや律儀に答えるんかーい。じゃあ空気を読んであたしも!いい?あたしは嫉妬の厄災で隔絶の概念能力者!ねえねえすごくない!?2人とも概念能力者なんだよ!」


「あ、そっすね…。分かったんでコレ抜いてくれ…ないですよねハイ」


「当たり前☆」


顔では諦めの表情を浮かべているが、彼なりに死なないよう尽くしている。


『お前ええええ!!???何諦めモード入ってんの!???』


『いや諦めてないんだけど…。浄化作用で体の傷はあらかた治したし、出血も治ってるし…』


『貫通してんだよな…根本的解決にはいたってねぇぞ…』


『動けないんだもん…』


『あれ、詰んだ臭くね?』


『いや、詰んではないかなー。そろそろ来てくれるはずなんだけど…ね?雷花さん?』


『もう来るわよ』


『なんかしたのか?』


相変わらず念話で話していると…。


「創生!土の龍!」


横から土で出来た龍が割り込み、ブクリスとリーチャを攻撃する。土龍が来た方角を見るとカルナがいた。

気を取られたようで蘭太の動きを封じていた謎の力が解けた。


「ふー…、ぼぇっ」


グシャっと自分で槍を引き抜く。焼けるような痛みに声と血が漏れるが、すぐに再生して痛みも引いた。


『どうやってカルナを呼んだんだよ…』


『空気中の電気使って電波みたいにビビっと。いやー謎の力が電波までも阻害しなくてよかったわ』


『分かったような分からんような』


『今はそれでいいわ』


中で雷花とブラッディアンが会話しているのを聞いているとカルナが駆け寄ってきた。


「大丈夫かい!?」


「まあ…ね」


「逃げよう!あいつらを遠くにやってるうちに!」


「いや、ここで迎え撃つ」


「え!?」


「幸いアレらの目的は俺らしい。カルナ達じゃない。それにずっと命の危険を感じているのも嫌だしね。やってみるさ」


「…無茶しないでね?」


「善処します。最悪サポお願い。さ、カルナがやったって気づかれる前に早く」


「分かった」


カルナを引き下がらせ、蘭太は変身する。


「行くぞ…!」


ちょうどブクリスとリーチャは土龍を破壊し終わったところだった。

剣を引き抜き、扇を描いて氷剣を量産して2人に向け放つ。

氷剣達はいきおいよく突っ込んで行ったが、まるで見えない壁に阻まれたように砕け散った。


「チッ!隔絶か!」


「当たりー!」


リーチャは凶悪な笑みを浮かべる。


「どう?分かる?あたしがいる限りあなたの攻撃は効かないのよ!あたしにも、ブクリスにもね!」


こうなっては仕方がない。リーチャから仕留めるしかない。


「なら!」


帯電し、電光石火で間合いを詰め斬りかかる。結果は同じく防がれる。


「話聞いてたー?あなたの攻撃は効かないの!」


「そう、んじゃあ万能か実験させてくれよ!」


翼を広げ、翼爪部に水を圧縮し放つ。リーチャではなくブクリスへ。

しかしそれも防がれた。

どうやら盾のように広げるものではないらしい。


「あははは!!あたしの隔絶に範囲はないのよ!!これでよく理解したでしょ!?」


手をこちらに向け、隔絶範囲を急激に広げたことによる衝撃波を放ち、蘭太を飛ばす。


「ぐっ!」


「どうですか?概念能力者と通常能力者の圧倒的な差は。…さて、リーチャばかりに戦わせるのもアレですので、僕も何かしらはしましょう」


そう言ってブクリスは本を取り出し、開く。辞書レベルの厚さを誇るソレが開かれると、中の紙が触れられてもいないのに勝手にめくられる。


「開け、龍殺しの書。現れ出づるは『グラム』」


声とともに巨大な両手剣が召喚され、ブクリスの手を収まる。


「君は龍族の血を引くと聞きました。ならば龍族特攻の属性が付与されたこの剣がぴったりでしょう?」


ふん!、と翼をはためかせ蘭太に斬りかかる。見た目はそんなに遅くない、避けられる。と思っていたが…。


「あらやだ!2対1って忘れてない?」


体が物凄く鈍くなってしまった。なんとか剣で受け止めるほどしかできない。


「リーチャ、グッジョブですよ。しかし僕はどうやら武装の扱いが不慣れなようです。…開け、俊足の書。現れ出づるは『韋駄天』」


足が一瞬光り、収まる。

そしてブクリスは先程の速さが嘘のように速くなり、突きで蘭太をぶっ飛ばす。


「がっは!」


「おお、速いですね!効きますねッ!」


次は薙ぎ払い。蘭太は地面に打ち付けられゴロゴロと転がされる。


「ぐ…」


『2体…1』


同じ厄災(ドラゴン)級との戦いはこれまでもしたが、タイマン勝負だったという点で今回とは異なる。

さすがに2人を相手取るのは厳しいところがあった。

ならどうするか。案外簡単かもしれない。


『ふふ…ブラッディアン、分離後も変身出来るか?』


『出来る。てか言いたいこと察した。雷花借りてもいいか?』


『雷花さん次第』


『いいわよ』


『サンキュー。じゃ、念話は引き続き使えるんで、数合わせしようじゃねぇか!』


蘭太の体から赤と黄色の光が抜け、近くにもう1つの体を作り出す。


「ほう…?そんな芸当もできるのですか…。ますます危険ですね」


「がーがーうっせぇんだよチキンエセドラゴンが」


現れるや否や不機嫌さMAXでブラッディアンが言う。


「隔絶?具現?あーすげえなその能力。だが俺ァ嫌いだ。てめーら能力に依存し過ぎなんだよ」


「君には言われたくないな。戦闘用妖精」


「この俺でも拳ちゃんと使うんだが?壁の裏からチクチクやってるてめーらと違って。だから参戦してやるよ。震血変身」


雷光を纏ったビーカー、注射器が現れ液体が満ち、ビーカーが砕け散って装甲を纏ったブラッディアンが現れる。


立ち上がった蘭太にブラッディアンは耳打ちする。


「蘭太、気をつけとけよ。今のお前には俺たちの能力は使えない。そこをちゃんと意識して立ち回れ」


「分かってる。さすがにそんなヘマはしないよ」


「信じてるぜ」


「うん。じゃあ、ブクリスのほうをお願い。俺たちはあの女をやる」


「敢えて邪魔者のほうに行くそのスタイル嫌いじゃないぜ。うっかり死ぬなよ?」


「そんなヘマしない」


「ああ、知ってる。じゃぁ頼んだぜ!」


蘭太とブラッディアンは別れ、それぞれの相手を取り掛かる。



キィィイイイン!!と音が鳴る。


「あははは!わざわざあたしのほうに来てくれるの!?あたしってば人気者ぉ☆」


「勘違いほど怖いものはないけどね!」


何度か剣を斬りつけるが、結果は同じ。


「ばーかばーか!学習しないガキね!」


ぶっちゃけ効かないことを学習しても意味はないと言うことは学習している、と言い返したかったが、敵には調子に乗らせておいた方がいい。

障壁に左の平手を押し付け、


「なんとでも言え!心にぐさっとくるけどな!」


指の一本一本から水流を発射。それらは湾曲してリーチャの背に回り、当たった。


「くぁっっ!?」


驚愕のせいか、リーチャと蘭太を隔てていた障壁が消滅。今が決め時。


「くおおおおお!!!」


態勢を立て直す暇を与えないよう高圧水流で強化した剣で怒涛の斬撃コンボをぶちかます。


「う…そ…」


リーチャは落下した。


『やったよ!蘭太!』


中でルルは喜んでいたが、逆に蘭太は訝しんでいた。


「こんなもんなのか…?」


厄災級は…、こんなにあっさりと倒されるものなのか?

不安が拭えないどころか積み上がっていた。


どうも、どらっごです。本日2度目の投稿です。ノリノリで書いてたら出来上がってました。


厄災級、ついに全員登場ですね。

ここでさくっと新しい2人を紹介しておきます。


まず暴食の厄災。

これは文字通り食うことに特化した災いで、食欲(取り込みたい欲)が一定値を超えると対象を無害化した上で取り込み、それを一度だけ擬似的に再現できると言う権限能力を持ちます。

…なんですが、どうやら現在の該当者であるブクリスさんは具現の概念能力者故に知識を欲する方で、食べ物でなく本の内容を取り込みまくってるいわば変人です。


次に嫉妬の厄災。

こちらは妬む感情が一定値を超えると相手を弱体化させ、自身は自強化されるプラス相手は精神面で病んでしまうという権限能力を持ちます。地味とか思ったらいけません。精神がやられるのは相当きついことなのです。



とまあ後書きのスペースをあまりとりすぎるのもいけないので、今回はここらへんで。


ではまた。

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