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50・・・「真実を求めよ」


※後書きにてお知らせがあります。確認していただけると有り難いです。


ふと目を覚ますと空が見え、腕に圧をを感じた。横になって寝ていたようだ。

視線を下ろすと、青色の髪を肩甲骨あたりまで伸ばした少女が蘭太の腕を抱くようにすやすや眠っていた。

正直落ち着かない。なぜなら腕に当たっているのだ。膨よかなアレが。


……………。


どうやらここは戦火が及んでいない安地のようだ。

腕を抱いて眠る少女を起こし、自分も起きて周りを見ていると、横側から声がかけられた。


「あ、起きたんだ。蘭太くん」


そう遠くない場所で言ったその女性は他の作業をしている途中で気づいたようだった。

見覚えはある。面識もある。そして今ここで再開したことに蘭太はなんら驚かない。


「おはようございます。やっぱりいたんだな、カルナ」


「知ってたの?」


「いや?でもそんな気がした」


なぜなら、確信に近い予想をしていたからだ。

龍界に来て早々に戦闘を始めた相手の後ろにカルナがいるだろうという。


「それであんなことをよくできたなって思うよ。ボクはキミを尊敬するよ…」


「そりゃ、…あいつがいるおかげでこんなことができるのさ」


「あいつ?」


「そう、あいつ。…あれあれ、ブラッディアン」


ぐるっと視界を動かして、あいつことブラッディアンを見つけると指指す。隣には雷花もいるのだが、何やらウロボロスと喋っている。


「アレ戦闘用妖精なの!?てっきりキミが変な趣向で作ったクローンの類かと思ったよ!」


「そんな趣味はございません!」


なんだか誤解をされているようなのでとりあえずルルと雷花のサイズ変化、そしてブラッディアンの肉体についての説明をした。

カルナは若干首を傾げていたが「あの戦闘用妖精は超常現象を起こしたということでおけ?」と飲み込んでもらった。実際蘭太達もメカニズムについてはよくわかっていないところが大きい。


「ところであいつらはウロボロスと何を言い合ってるの?」


「それは直接行ってみたらわかるんじゃないかな」


というわけなので立ち上がってウロボロス達のところへ行く。

すると…。


「頭かってぇな輪っかァ!何度言やぁ敵意はないって分かんだ!」


「貴様が戦闘用妖精だという時点で信用に値せん!蓮藤蘭太も起きぬこの状況でなぜ貴様の言い分を聞かねばならんのだ!」


「私完全に無視されてますけど!?泣きそうですよ!??戦闘用妖精でない私もお願いしているのにその理由は納得できません!」


「グルという可能性が捨てられぬ!」


「ああそうだよグルだよ!俺ら4人はグルだ!蘭太を置かせてくれって頼むのがそんなおかしいか!?」


「あのぉ…起きてるんですけど…」


「!?」


3人が驚いた様子でこちらを向く。

ウロボロスが蘭太に歩み寄った。


「蓮藤蘭太。ようやく起きたようだな。2時間経ったぞ」


「その間ずっとこんな感じだったんですか…?」


根気強いなぁ()と思い蘭太の顔は苦笑する。


「ああ。さて、お前に問う。この2人を信用しても良いのか?」


「良いに決まってるじゃん。ダメなら連れてこないよ。何言ってるのさ」


「そうか。…いいだろう。剣を交えてお前のことは信用できることは分かっているからな。ただこいつらがお前を利用して侵略しようと考えているのではないかと疑ってしまった」


「だーかーら敵意はないってずっと言ってたじゃねぇかコラ!」


「ブラッディアン。頼み方にも問題があるわ。ですますくらい覚えなさい」


「あ、はい。わかりました」


改めてブラッディアンを見てウロボロスは以前の彼は変わっていることを知った。おそらく、いや確実に蓮藤蘭太の影響を受けている。

居る許可も降りたので蘭太はさっきまでいたところに戻った。近くに3人も来る。


「無事打ち解けれたみたいだね」


にこっとカルナは笑っていた。話によればカルナ本人は「居てもいい」と既に回答を出していた(だから蘭太の近くにいた)が、どうしてもウロボロスが納得しなかったらしい。


「それで…キミはどうしてわざわざ人間軍から離れてまでボクと接触しようとしたんだい?」


「あーえっと、理由は2つあるんだ。1つ目はやってられないから。今の人間軍…旧日本軍って言うんだけど、彼らは今龍相手なら見境なく攻撃しようとする狂気の集団だよ。一概にそうとは言い切れないけどね。だから離れたかったし、ある程度の無力化も図った」


結果的に置いてきてしまう結果になってしまった火鉈達、スチールを思い出し、言葉を足す。彼らはきっと狂気に呑まれてはいないはずだ。そう信じている。

といっても火鉈達は大多数のうちの少数派に過ぎない。彼らに旧日本軍の動きを止めることは不可能だろうしその仕事を頼む気にもなれない。

だから予め壊しておいたのだ。対飛行生物兵器・散弾砲を。あれさえひとまず破壊しておき、かつ自分がいなくなれば大半の戦力は削れたはずである。しかしあの短時間で3台も破壊しきるのは流石に難しかった。2台は壊せたが、最後の1台がどうなのかはわからない。

というわけで、更なる対策を打っておいた。


「なるほど…。その無力化で共存派の龍達も使おうだなんてキミ相当ぶっ飛んでるよ?後でありがとう言ってあげてね?いくらキミが水神龍の遺伝子を引き継いでるからっていっても地上の戦地を飛龍達も行かせたんだから」


「ごめんなさいも要る…」


頭を抱えるカルナに申し訳なく思う蘭太。

そう。当時周りにいた龍族に意識が途切れる直前に頼んだのだ。兵器の破壊と攻撃者の撃破を。

ちなみに極力殺害を控えるようにも頼んだため、旧日本軍の犠牲者が少ないという奇怪な現象が発生したのだ。

幸いその依頼による龍族側の犠牲は無かったが、余計な怪我を負ってしまった者もいるらしい。


「それで?2つ目は?」


「2つ目はあんたが目当て。イクスティクス率いる駆逐派がこの戦争を引き起こしたのなら、多分あんたがこの戦争を終わらせる鍵になるはずだと踏んだ」


「ボクが?」


首肯で蘭太は答える。

ぶっちゃけ単純理論だ。死滅龍には対をなす創造龍をぶつけてやればいいんじゃね?という。

まあ現実はそんなに軽くないのだが、ざっくりと言ってしまうとこうだった。


さて、要と言われた当のカルナはさっきと一変、顔を伏せた。


「?」


「無理だよ…」


そして絞り出された声は弱かった。まさか。


「なんで?」


「彼女は…壊れちゃったんだ…」


カルナの頬を涙が伝う。


「イクスティクスは壊れちゃったんだ…。ボクのためって建前でいつからか虐殺を繰り返すようになって…。やめてと言っても聞く耳持たなくて…。彼女はもうボクの知るイクスティクスとは違う…」


「じゃあ…、あんたはどうしたいのさ?」


蘭太は困惑したが、心が言った。今のカルナに同情していてはいけないと。


「どうしようもないよ…。ボクは何も出来ない…」


「………」


薄々察してはいたが、やはり。困ったことになっていた。彼女の心が折れかけていた。

彼女が諦めてしまっていては先が見えない。

無言で蘭太はカルナの襟首を掴んで引っ張った。


「ひっ!」


「貴様!何をしてッ!?」


ウロボロスが驚きと警戒を込めて近づいてきたが、ブラッディアンが遮り、首を横に振る。


「おい輪っか。空気を読め。下手に割り込もうとすんな」


「何…?」


その様子を横目で見ていた蘭太はカルナに視線を戻す。敢えて冷たく当たるため、顔は若干怒り顔である。


「あんた、イクスティクスをそんな程度にしか見てないのか?ずっと一緒にいただろう彼女がちょっと手に負えないかもって思った程度でもう諦めるのか?俺あんたがそんな人だと思わなかったよ。慈愛に満ちた人だと思ってたのに、あんたの愛はそんな薄っぺらなんだな」


「キミは…キミはボクのような経験したことないでしょう!?」


「関係ない。今のあんたの状態はあんたが招いた所も大きい。」


「ボクは…!」


「要らない言い訳しないでくれ。俺は大切なものを簡単に手放すような輩は大嫌いなんだ。言い忘れたけど俺はあんたが神龍だからって容赦はしないぞ?…それで?どうなんだよ?あんたはイクスティクスをどうしたいんだ!?助けたいのか?死なせたいのか?」


「分からないよ…ボクは…!」


「逃げンな!!分からないじゃないんだよ!そうやってずるずる後回しにしてたら取り返しがつかなくなるんだぞ?!もしイクスティクスが死んでからやっぱり助けたかったなんて思っても遅いんだよ!失ってからじゃ遅いんだ!」


「……うっ」


無くしてしまってからあった方が良かったと思うような後悔ほど虚しいものはない。押し付けかもしれないが少なくとも自分がいる前だけでもカルナにそうなってほしくないという思いがあった。

もちろんカルナに立ち上がってもらわなければ困るという思いもある。

なのでずっと怒鳴るわけにもいかないので、襟首を掴んでいた手を離し、肩に手を置く。そして諭すような口調に変える。


「イクスティクスにだって何かあるはずだ。何もないのに豹変するなんてまずないよ。それを知ろうともせず、真実を知ろうともせずに諦めるのかい?それであんたは良いの?本音言ってみな?」


「……ぃやだ!」


よし。これでいい。


「でしょ?だからそんな後ろ向きなこと言わずさ、行こう?真実を知りにさ。神さまもっとしゃきっとしよう!」


「うん…!」


ゴシゴシと目を裾で拭いてから顔を上げたカルナの目は冴えていた。

それを見ていたウロボロスは目を丸くし、ブラッディアンは感嘆する。


「いやー、一種の魔術かお前?こんなすぐ人の心変えさせるなんてよー!」


「俺そんなもの持ってないよ?」


「比喩だ比喩!」


「ところで蘭太くん」


ちょいちょい、とカルナが蘭太の腕をつつく。


「キミはどうするの?もしかして戻るの?」


「いや?出来るならここに居候させてもらうつもりでいるんだけど…」


………。


「そ、そうだよね!一緒に行くよね!うんうん!…ん!?」


「え、なんか変なこと言った?」


「居てくれるの…?」


「そっちが良いのならだけど…」


「居て!是非とも!こちらからお願いしますぅ!」


キラキラとした目で手を掴みぶんぶん振るカルナ。一体どうしたのか、これが分からない。


「どうしてまたそんな?」


「だって、前来た時は帰るの一点張りだったもん!今回ももう行っちゃうのかと思ったら寂しくなってぇ…!ずっ」


「いや泣くな!?涙腺脆いぞ!?」


そんな蘭太に後ろから抱きつく者が1人。


「カルナさん!一緒に居てもいいけど蘭太は渡しませんからね!」


「いやルルさん!?俺所有物じゃないですも!?」


「え?」


「え、じゃない!!」


こうして、蘭太は旧日本軍を離れ、新たに共存派へ加わることとなった。後でしっかりと龍達に謝辞を伝えておいた。


この後、蘭太は突然ウロボロスに1人で呼び出された。


「どうしたんです?ウロボロスさん」


「お前に頼んでおきたいことがある」


やけに彼は神妙だった。


「可能な限りカルナの側にいてやってくれ。彼女はお前が近くにいる時だけ何故か元気だ。普段の彼女はネガティブが極まっているから誰の説得も受け付けんのだ。お前の流れているデュ族の血の影響かどうかは分からんが、カルナのためにも彼女の側にいてやってほしい」


「分かりました。でも、それだとウロボロスさんの側近という役を取ってしまうことになるんですけど…」


「そんなのは構わん。私ではなくお前が側にいてカルナが良くなるのなら私は喜んで役を降りるさ。それに、どの役になろうが私のすることは変わらない。カルナを守るということはな。たとえ何が迫ってもこの不滅の体が消滅される時があろうが最期までカルナを守る心は変わっていないさ」


「あんたが消えちゃカルナが悲しみます。現実でそこまで行かないでくださいね」


「それはお前もだ。…心遣い感謝する。カルナを頼む」


「こちらこそ」


お互いに頭を下げ、そして自分の場所へ戻っていった。



どうも、どらっごです。


まずこの場を借りて報告させていただきます。

すいません!何度見返してもしっくり来ないので歴史変えます!具体的にはこの物語の約200年前に終結したあの大戦の名前です!m(__)m


名前変えるだけなので物語の進行に影響はないと思いますが!


まあ…その、色々とすいません!なるべく混乱されないようには努めますので!


では、また!


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