表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
第4章「過去、兵器、そして争い」
50/87

46・・・「凶悪なる災い」

今回は蘭太くん達は出ません。平行させようとしたら思ったより字数取られました(笑)。



龍族世界侵攻から数日。

旧日本、国王官邸、大会議室。ここも被害からは免れてはおらず、所々破損している。


「国王。先日お渡しした旧米国からの物品と書類はお読みになられましたか?」


「うむ…」


国王には2種類の書類が届いていた。

1つは損害状況について。

此度の龍族の侵攻における死者のほとんどは一般階級変身能力者。死因はほぼ捕食。現状死者は四百万人とされているが、確認できている数に過ぎないため、実際はもっと多いことは確実だ。

ハーフフェアリーは変身時に纏う装甲のお陰で変身中に殺されることはないが、それは変身中の話である。よって、力尽きて変身が強制解除されてしまい格好の餌になってしまった者たちが多くを占めると推測される。

経済被害も馬鹿にならない。インフラはほぼ停止、食糧も不足がち。家畜などほとんどが既に龍族の胃袋で消化済みか、火災によって炭化済みだ。

その他諸々、頭を痛ませる内容ばかりである。


「回答はいかがなさいますか?」


「拒否だ」


そしてもう一つ。

旧米国からの物品と書類。その内容はこちら側から龍界とのゲートを貫通させることができるという機械と、「旧日本も世界各国と共に龍界への報復行為に参加せよ」というものだった。

だがその回答に反対するものが一人。


「国王!なりません!人が死んでいるんですよ!?このまま黙っているなど耐えられるわけがありません!奴らは味を占めてまた来ます!痛い目に遭わせねばまた繰り返されます!」


「報復したところで勝てるわけがないのが分からないのか!?相手は最強の種族だぞ!?それに我が国はまだろくに復興もしていないというのに!」


例え復興ができていたとしても無理だろう。なぜなら龍族の侵攻による犠牲者が多過ぎて生き残った者たちのほとんどが心に深い傷を負ってしまった。

その事実を突きつけられ、反対者は押し黙る。

そこで別の補佐官がまとめようとした。


「それでは…旧米国への回答は『要求を退ける』でいいですね?」


首肯しかけたとき。


「ああ〜?それじゃ困るがなー」


という声と共に大会議室の扉が消滅し、男が乱入してきた。


「何者だ!?護衛はどうした!」


補佐官が怒鳴りつける。


「護衛?そんなもんいたか?人は突っ立ってたが…」


「そこの扉の前にいたはずだ!」


「え?…あー。お前もしかして、コレのこと言ってる?」


男は屈んでナニカを掴み、確認を促すように持ち上げる。


「ヒィッ!」


一部の臣官から悲鳴が上がる。持ち上げられたものは血に染まった護衛官だった。

ポイっとゴミを捨てるようにソレを放ると男はぼやく。


「あやっべ血ぃついちまった。恐怖を与えてしまうな…イメージダウンじゃんか」


そこではっと思い出したように顔をあげる。


「あっと忘れるとこだった。ここに国王いるかな?」


「いない…と言えば?」


「あ、いるの分かってる。下等なモノがこの俺様にしょうもない嘘は試みないほうがいいぞ?つか聞くより先に見つけちまったわ残念ー」


うぃーっと煽るように指さしを繰り返す。その指は的確に国王の方を指していた。


「ところでー?聞かないのー?『何用だッ!?』ってさー」


「まず貴様は何者だ!」


「えっ」


男は心底驚くような顔をする。


「まさか!?この『王』のことを知らない愚民がこんなところにいるだと!?旧日本も末期じゃねえか!?……仕方ねえ。俺は慈悲深き王だからな、愚民共にもちゃんとおしえてやるんだ☆」


言動がいちいち怒りを誘う男は軽蔑の視線を向ける。とても慈悲深い王などとは思えないし躊躇いもなく人殺しをしているだろう者が慈悲深いわけがない。


「俺様は七人の厄災(ドラゴン)級の一人にして大黒柱!『傲慢の王』。…さてチキンな国王(笑)君っと逃すかよ?」


ひゅんっと偶々手に持っていた破片を投げる。するとコソコソ国王を逃がそうとしていた補佐官の頭に突き刺さり、血と共に中身が噴き出る。勿論即死。


「ひぃぃ!??」


「王の話を聞かないとは万死に値する行為だぞ?ん?君はそれでも国王(笑)かな?」


さて本題に入ろう、と男は唐突に切り出す。ちなみに(笑)のところを男はきちんと声に出して「かっこわら」と言っている。


「国王(笑)君。俺様の忠実な傀儡になりたまえ」


「貴様ァァァァァァ!!!」


そこで我慢ならないといった臣官の青年が変身し、刃物を向け男に突撃。


「待てドローザ!迂闊に厄災級へ近づくな!!」


その警告が終わる頃にはドローザと呼ばれた青年の装甲は消滅していた。

男は青年の刃物を避けて頭を鷲掴みにして視界を奪い、がら空きの胴へ膝蹴りを見舞っただけでドローザを戦闘不能へ陥らせた。


「ぐぅ…!」


「よっわ。話にならねえ、さすが禁忌だな。だがお前の能力は使えそうだ。よし、光栄に思え。お前は俺様の忠実な傀儡第…わっけた。どうでもいいや」


「誰が貴様の言いなりになど…!」


「は?てめえの意見なんざ求めてねえよ」


ドローザは見、そして恐れてしまった。凶悪な笑みを浮かべる男の右目が金色に輝く様子を。そして何かに侵食されるように自分の意識がなくなった。


「うっし」


「貴様!ドローザに何をした!」


「何ってうーん難しい質問だな…そうだな。(しもべ)になってもらった、かなぁ?あ、ちゃんと志願してくれたぞ?」


「ふざけるのも大概にしろ!!」


大臣が一人また一人と変身し、生成した銃で男に向け発砲。男へ迫る銃弾は果たして、全て肉の壁となったドローザに止められてしまった。彼の背中から血が流れる。


「なっ!?何をしているドローザ!!」


驚愕に見舞われる大臣たちをよそに男はドローザに感嘆の声をあげる。


「おお!さすが俺様の忠実な僕!言わずともしっかり求められていることを理解して行動するその姿俺様は感動したよ!」


「ありがとうございます。我が王」


ドローザは答えるが、どこか無機質な感じがする。


「さてドローザ君。ここで質問だ。今君を撃ったものたちは何かな?」


「我が王の崇高なる計画を邪魔しようとする害虫共です」


おかしい。明らかにおかしい。ドローザの態度がさっきと一変し過ぎている。


「では次の質問。害虫はどうするべきだい?」


「駆除。抹殺。以上のみです」


「素晴らしい回答だ。喜べ、君にその害虫を駆除する権利を与えよう。ただし国王は対象から除きたまえ」


「有難き任務、了解致しました。我が王」


くるりと大臣達の方へ向き直り、ドローザは再変身。


「さあ、楽しい害虫駆除を始めたまえ!」


男は手を握り、内なるものを解放するが如く開きながら前へ突き出す。すると衝撃波が発生し、巻き込まれたものが一撃で変身解除に追い込まれた。

そしてそこに短剣を生成し手に持つドローザが。


「ま…まてドローザ!君は奴にあやtーーー」


「駆除」


「ぐあぁぁぁぁ!!!」


グシャという音と共に心臓を貫き、そして首にかけ切り裂いてドローザは一人目の犠牲者を生み出した。

そこからはまるで地獄絵図だった。

ドローザを意識しすぎるあまり男への注意が散漫になった大臣達は一人、また一人と変身を解かされ、殺されていった。


気付けば第会議室は血色に染まっていた。


「あ…あぁ…」


国王は恐怖で腰を抜かしていた。

殺戮を終わらせ、変身を解いたドローザは男に報告する。


「我が王。害虫駆除、完了しました」


「ん?何を言っているのだ?まだ終わっていないぞ?」


不思議そうに男は答える。きょとんとするドローザに向け男は言う。


「足元を見たまえ」


「はい」


「手前側に足があるだろう?」


「はい」


「それを上に伝いたまえ。害虫、まだいるだろう?」


「確認しました。これで最後ですね?」


「ああそうだ」


「では駆除を再開します」


ドローザは剣を逆手に持ち、両手で持って前へ突き出し、勢いよく腕を引く、ところで。

いたずら心の芽生えた王の右目の金色の発光が収まった。


「…え?」


意識の戻ったドローザが見たのは、自分の胸に横向きで突き刺さる短剣。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


物凄い絶叫を上げ、ドローザは倒れる。


「なんで!?なんで俺がこんなことを!??」


「自ら自傷しといてよく言うねえ。ほら、痛いだろ?抜いてやるよ」


短剣の柄を持ち、一度押し込み前へ後ろへ余分に切るように倒し、荒く抜く。ゴリっと言う音が聞こえたのは気のせいではない。


「ぅがあ゛あ゛あ゛あ゛!!貴様ァァァァァァ!!!」


「やかましいなぁ。あんなことをしておいていざ自分となると騒ぐ。これだから人間は愚かなんだよなぁ」


「俺は…何も…!」


「嘘をつきたまえ。ほら、周りを見てごらん?」


ドローザは見てしまった。血色に染まり、臓物を曝け出し物言わぬ骸と成り果てた大臣達が横たわり、腰を抜かした国王が座り込んだ地獄絵図を。


「これ全部、君がやったんだよ?」


「嘘だ…嘘だァァァァァァ!!?」


暴れようとしたが、下半身が動かない。


「ああ、無駄無駄。君が自分の刃物で背骨壊しちゃったから下半身不随だね。永遠に。けど安心したまえ。もうじき楽になるさ」


「貴様ァァァ!!殺す!殺す!殺す!こr…ろ……」


ぱたっと電源が落ちたようにドローザは動きを止めた。大量失血で絶命したのだ。


「ふぅ。害虫駆除完了〜。いやー国王(笑)くん、見たまえ!名画だと思わないか?」


国王に歩み寄りながら、地獄絵図と化した大会議室を指し、男は言う。


「鬼畜め…!」


「何とでも言え。愚かな種族の言葉など痒くも無い。それにこの名画は君がさっさと人形にならないから起こったのだよ」


「誰が…鬼畜の傀儡になど…!」


「だーかーらー。お前の意見なんざ求めてねえよ。需要理解してる?求めてんのはお前が持ってる権利だけ。お前それ以外価値ねえから。それだけで生かさせてもらえてるんだから。むしろ感謝して欲しいんだがな」


男は座り込んでしまっていた国王にしゃがんで目線を合わせる。


「さて、思わぬ邪魔が入ったけどようやっと本題に入れる。意見は求めないから俺様の傀儡になれ。これは『王』の命令だ」


男の右目が金色に輝き、国王の視界を塞ぐように手を伸ばす。


「うっ!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


意識がブラックアウトした。



……………



「ふぅ。これで上は握った。一度始まったモンは最後まで。やられたらやり返す。なあ国王サン?」


「その通りです」


「我が国は!諸外国と共に、龍界へ報復行為を行う!!これでいいな?」


「よろしいです」


「よし、では発表せよ。行け」


秩序立った歩兵のように歩いて部屋を出て行った国王を見送り、男は乱入前までは国王が座っていた玉座に足を組み頬杖をついて座る。


「くっくっくっく……さあ茶番は終わりだ。二つの世界の戦争を始めよう」



どうも、どらっごです。

な、何やってんだよ王様!!?


あ、一応「王」についての情報を載せておきますね。詳しく(と言っても少ししか差がないかもしれない)は活動報告にあるので見れるのならば見てください。


「王」は7種類ある厄災級の内の「傲慢の厄災」を担っており、厄災級の中で唯一代替わりをしていない者で、現在では他の厄災級に「傲慢」以外の厄災を与えた存在です。


もしかしたらと思い補足を。

Q.代替わり?

A.厄災級は生まれつき持っているものではなく、後天的に「王」から選ばれ与えられるもの(今では)です。なので厄災級能力者も他の能力者と同じく命に限りがあるわけで、該当者が何らかの原因で命を落とした時にまた別の者にその厄災を与えるという仕組みが「代替わり」です。



っと、長くなりました。ではまた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ