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厄災(ドラゴン)と人×妖精(ハーフフェアリー)  作者: どらっご
第4章「過去、兵器、そして争い」
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39・・・「飢え、侵攻」


「もうやめてよイクスティクス!なんで殺しを続けるの!?」


カルナはイクスティクスと対話を試みる。念話ではなく直接顔と顔を合わせて。もちろん猛反対を受けた(特にウロボロスから)がそれすらも押し切って。


黙り込むイクスティクスに青年が言う。


「邪魔そうなやつっすね。始末します?」


「断じて許さん」


イクスティクスは静かに青年を睨む。ちょっとまずいなと思った青年は発言を取り消し引き下がる。


「カルナ。何度言えば分かる?我は衰弱したお前のために今の行動を行なっている。お前にはメリットしかないはずだ。なのになぜ邪魔をする?」


「ボクも何度も言ってる!これのどこがボクのためなんだって!?ボクは君に虐殺を求めてなんてない!助けてなんてお願いもしてない!」


ずっと。ずっと平行線のまま。

カルナとイクスティクスはお互いがお互いを想っているはずなのに通じ合えない。故に。


「黙っていろ!全部自分で抱え込もうとする愚か者め!」


「黙れよ!誰にも相談しない馬鹿者が!」


怒りの感情を灯す。

両者自身のエネルギーを収束させ、戦闘状態に入ろうとする…が。


カルナが背後から何者かに打たれ気絶する。

犯人を見たとき、イクスティクスは殺気を帯びる。


「貴様…?何をしている…?」


「やだなぁ。俺が介入してなかったら貴方自身がこの子を傷つけてたんですよ?最悪の事態を回避させた、それだけです」


引き下がったはずの青年が、意識を失ったカルナを支えていた。

そこでイクスティクスは遅まきながらハッとする。どうやら怒りで思考が鈍っていたようだ。


「…すまない」


「俺に謝っても意味ないっすよ。さて、もし次をやるとしたらの話ですけど」


次。それは次に襲う場所のことである。龍界の襲える場所はあらかた襲いつくしてしまったのでもうないと考えるのが妥当だった。

だからイクスティクスは青年が提案した内容を採用していた。


「元世界へ行く」


「はあ、尽きぬ殺欲ですね。まあ、そのことに関してなんですけど、いきなり俺たち行くんですか?」


「なんだ?お前行きたいのか?」


「あー……」


「なんだお前。誤魔化さずにはっきり言え」


「あー、行きます、行ってみたいです」


「旅行じゃないぞ?」


「分かってますよ。それで、まさか俺だけ行かされるなんてないですよね?」


「そうされたいか?」


「嫌です。さすがにぼっちは辛いんで」


「と言うと思ったぞ」


イクスティクスは「抜け殻の龍」を見る。彼らは殺した者の肉を貪っていた。


アレ(抜け殻の龍)を送りつける」


イクスティクスは呪文を唱え始めた。すると彼女の頭上に巨大な、半径5メートルほどの魔法陣が形成され、腕を振ることで横向きに配置。


これが、彼女だけが作り出せるゲート。元世界と龍界の2つの平行世界を繋ぐ道。半永久保持のそれならば作るのにかなり体力を消費するが、今回のような一回限りで十分なものを作る程度なら余裕である。


抜け殻の龍たちはゲートに反応し、自ら入って行く。


「『抜け殻』どもはどんどん行くぞ。…さて、やつらの指揮を執ってみろ」


「え、俺に出来るんすか?」


「知らん」


「……」


そっけないなー、見た目の分もったいない方だ。

そう思いながら青年はイクスティクスの作ったゲートに入っていこうとした時。


「あ、待て。これを持っておけ。龍界へ戻ってくる用だ」


1発の弾丸を渡された。


「使えるだろう?」


「ええ。使えます。ありがとうございます」


そう言って青年は今度こそゲートへ入っていった。


「……やつが帰ってきたら戦果を聞かせてもらうとするか」


見送ったイクスティクスはそう呟き、ひとまず待つことにした。


ーーーーーーーーーーーー



「王」は見ていた。歯車を。


カチッカチッ


「もうすぐだ」


カチッカチッ


「あと少し」


カチ。


赤く染められた1つの歯が上を向き、光る。

まるで何かの始まりを告げるように。


「さあ、始まり始まり…」



ーーーーーーーーーーーー



「…ん?」


火鉈はようやく目を覚ました。


ここは…病室?そうか、俺は…


「確か、ブラッディアンってやつに乗っ取られた蘭太にやられたんだったか…」


「そうですよ。一瞬で。なすすべもなく」


女性の声が答えた。横のベッドに寝ている舞だ。火鉈よりは先に起きていたようだ。


「なんだか、残念な気分ですね…」


舞はぽつりと呟く。なんとなく言いたいことは察したため火鉈は黙って頷いた。


「私達…ここに所属するときはエリートやらなんやら言われて、それでそれらしく活動してきたのに。厄災(ドラゴン)級の蘭太さんとかが現れてから大した活躍も出来なくて…。プライドズタズタですよ…」


舞は自らのことを鼻で笑うように溜息をついた。


「蘭太に毒舌吐いてたのもそれからか?」


「悔しいですけど…そうです。あんなに強大な力を持っておきながら決して上から目線にならないあの態度もどこか悔しく映って…」


「年頃だな」


「なっ!?別にそんなのじゃないです!」


「ツンデレ?まあいいや。お前、蘭太の力とか羨ましがってるんだろうけど、あいつのこと大きく見過ぎてないか?」


舞がきょとんとするので、そのまま火鉈は静かに続けた。


「あいつはああ見えて15だぜ?俺らの中で1番年下だ。それに、どこかあいつは迷っているように見えて不安で仕方ねえ。多分さ、あいつも手探りなんだろうよ」


「力があるんですから…迷うことなんてなくないですか…?自由に振る舞えるじゃないですか」


()()ってなんだよ?その場その場で自分の都合よく好きに振る舞うってことか?違う。力のあるものがもし好き放題やったなら社会はおろか種族そのものが滅ぶさ。あいつはそれを望んじゃいない…はずだ」



…俺、昔にさ、『肝に銘じろ』って言われた言葉があるんだよな。



少し間を置いたあと、そう言って火鉈は一語一句よく聞かせるように口を開く。


【力を得るということはそれ相応の覚悟が必要なのだ】


「覚悟…」


「多分、あいつは生まれながらにかあるいは一方的に与えられたかして力を得たんだろうな。だからこそ、自分がどう自分の力を使えば良いのか、それを自分で模索しながら生きてるんだろうよ」


ま、第三者の考えだから確かかはわかんねーけどなー!、と伸びをしながら火鉈は続けた。そして、


「…だから、ブラッディアンをどうにかしなきゃいけない」


「じゃあ、今からでも…」


「うんにゃ、俺らは動かなくていいさ。むしろ邪魔になる」


「どうしてです?」


「蘭太がやらなきゃいけないことだからだ。ふあ…なんか眠い!寝る!」


火鉈は舞に背を向け布団にくるまった。


『自分が…どう自分の力を使うのか…』


なんだか大事なことを教えてもらった気がして、舞は火鉈の背を見ていた。そのまま舞の瞼も落ちる……。



ドグァッッッシャァァァンン!!!



「え!?」

「は!!??」


突如外から爆発音が響いた。2人ともまどろみから引っ張り出される。


そして、2人のいる病室にFGの職員が慌ただしく扉を開けて。


「起きてますか!?大変です!龍族が侵攻を始めました!」


「え…は???」



ーーーーーーーーーーーー



精神世界でも、揺れた。


「ハッ、ついに始まったか」


どこか愉快そうにブラッディアンが笑う。


「何が起こってるの…?」


「見たいか?ほらよ」


ブラッディアンは指パッチンとともにどこからともなくどうやって撮っているかわからない映像を出す。


旧東京の一部が燃えていた。そして、その空を飛び、地上を壊すものは。


「龍族!?」


「当たりで外れだなァ。あれは『抜け殻の龍』だぜ?」


抜け殻の龍。魂を抜かれた龍の肉体。当然自我などなく、目の前のものを喰らい、殺し、破壊するだけの怪物。


「そんなの放っておけない!ブラッディアン!もう俺は治ったし記憶も戻った!身体返してくれ!」


やや身勝手そうだが、蘭太はだいぶ焦っていた。

だが。


「あは。断る」


笑顔で拒絶した。


「ちょうどいい機会なんだよな。このままあのトカゲどもが侵攻を進めてくれりゃ屑同然の人間は滅ぶ。そのうえ世界も滅ぶ」


「何…言ってるんだ…?」


「『放っといて世界も人間も滅ぼして貰おうぜ?』って言ってるんだが?俺らはこんなに強大な力を持ってんだ。滅んだ後の世界でも余裕で生きていけるさ」


「生きていけるって…お前…!」


「お前らは生きようとしてるんだろ?なら他のものは全て脅威!故に排除!消滅!龍族どもに世界滅ぼさせて、その後俺らがそいつらを皆殺し!イッツパーフェクトプラン!!」


「完璧…だと?それのどこが完璧だ!?実質孤独じゃないか!虚しいだけじゃないか?」


「それでいいんだよ。何言ってんだ?」


ブラッディアンは冷たい目つきをとる。


()()()()()()()()()()()()()よ。お前らの心、感情なんざどうでもいい。ただお前が生きていりゃそれでいい。むしろ他は邪魔だ。最低限その隣の青と金の花は残しておいてやるよってだけだ。ありがたく思ってほしいね」


「お前は…」


蘭太は問わずにはいられなくなった。こいつには決定的に何かがない。


「お前は、何か守りたいものとか…ないのか?」


「ねえよ。そんなもん」


即答。これで分かった。双方の主張が全くの平行線な理由。


「そう…分かった」


小さく蘭太は呟いた。ルルと雷花がうそでしょ?と言いたげな表情になるが、次の一言で蘭太の正気を疑った。


「ブラッディアン。今から俺と魂賭けて戦おう。ちなみに俺は変身しない」


「「「は??」」」


最もスペックの低い生身の状態で兵器に挑む。そうこの少年は言った。


「バカか?お前?言葉に忘れ物してるだろ?()()()()()()()()は何も言及してねぇじゃねえか」


()()()してないんだよ。するかしないかはオマカセ」


これにはびっくり。ブラッディアンは顔が引き攣る。


「…正気かよ?」


「うん」


「舐められた…モンだなァ!??」


ブラッディアンは瞬時に蘭太に肉薄し、胸ぐらを掴み上げる。


「てめえ自分の言ってること理解してんのか!??人間に、生物に過ぎねえてめえがこの兵器の俺様にまさかの生身で殺り合おうって言ってんだぞ!??分かってんのか!!」


「分かってる」


「てめえ本気で言ってんのか!!??」


「うん。本気。マジ」


じっっと。蘭太の視線は狂いなくブラッディアンの目を貫く。

だが未だに信じられない。


「ハッ、バカ抜かしやがって。いざってなったら『嘘です』って言うんだろ?それが人間だ」


対する蘭太は。

右手を肩の上ほどに配置してデュアルブレイガンをブレードモードで召喚。

引き抜いた後。

袈裟斬りでブラッディアンの体を切りつけた。


「なっ!??」


あまりの不意打ちに事態の飲み込めないブラッディアンを蘭太はまっすぐ蹴り飛ばす。


()()って…言っただろ?」


剣持つ少年のその瞳は氷水のごとく冷たく冴えきったものだった。兵器のブラッディアンですら一瞬ではあるが畏怖を覚えるほど。


「蘭太!」


「下がって。俺は今単体でブラッディアンとぶつかりたい。ちょっとだけ待っていて」


圧が凄かった。ルルも雷花も大人しく引き下がる。


「てんめぇ…やりやがったなァ……!!」


切られたところは再生して治っているが、意外にも蘭太に攻撃されたことにブラッディアンは緊迫感と苛立ちを覚えた。


「後悔すんなよ…!?震血変身…!」


ブラッディアンをビーカーのようなものが覆い、赤い液体で満たされた後外側に出現した4つの注射器がビーカーを貫通して突き刺さり内容物を注入。

するとビーカーや注射器が内側からの圧力で割れて砕け散り、真紅の装甲を纏うブラッディアンが現れた。


自身の能力で刀を生成し。


「ここまでしといてあっけなく死ぬなよ?」


一歩踏み出し、た時にはすでにそこに姿はなく。


「オラァ!!」


瞬時に蘭太を刀のリーチ圏内へ入れ、切り裂く。



どうも、どらっごです。


蘭太くんがどれだけやべえことをしてるのか、それは精神世界についてのことを見たりすると分かる…はず!


まあ、といっても現実世界とやばさはさほど変わらないかもしれなかったり(笑)。


だらだら長くなるのもアレ(後書きだけの話です)ですので、それでは、また。

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