34・・・「離れ離れ」
「はあ…『変態』だって?好きなことを好きだって言うのもいけない世界になっちまったのか?そんなはずねぇんだがなー?」
豆鉄砲を食らったような表情から一転、ブラッディアンの表情は残念なものを見る目に変わり首を捻る。
そして突然に告白を始めた。
「俺は殺すのが大好きだ!噴き出る血を見るのが大好きだ!血と肉の積み上がった山を見るのが大好きだ!そう作られたからな!」
皮肉るように喋っているブラッディアンに向け、ルルが言い放つ。
「そんなのどうでもいい。蘭太を返して」
ブラッディアンが動きを止める。ルルは彼との距離を詰めていく。
「誰だかよく分からないけどあなたはいつまで蘭太の体を乗っ取ってるつもりなの!?体は治った!もうあなたの…ッ!?」
詰めすぎた。ブラッディアンの手がルルを掴み、親指と人差し指で頭を挟む。
「テメ、蘭太のパートナーだからって調子こいてんな?俺は蘭太に興味があるんであってテメェに興味があるわけじゃねぇ。蘭太が大事にしてるから優遇してやってるだけだ。他のもな。あとそれ以上言うなよ?手が滑って殺すかもしれないからな」
ま、もういっか?
獰猛な笑みを浮かべ、ブラッディアンは言ったことをすぐに裏切りルルを握り潰そうとした。が。
「…?あれ、おかしい。力が入らねぇ…どう言うことだ??」
グッと力を込めるのだが腕の筋肉までしか収縮しない。
「まさか…まじか?」
あくまでブラッディアンにとっては推測だが、当たりだった。
ブラッディアンは現在、
ブラッディアンの精神で、蘭太の体を動かしている状態に過ぎない。
あくまで他人の体なので、その体に染み付いた反射なりクセなり無意識の行動はどうにもできないのだ。
そしてこの場合、「パートナーや仲間を殺めることを拒絶する」蘭太の無意識なる動きがブラッディアンの動きまでをも制限している。
「チッ!くそったれ!」
手を頭に当てブラッディアンは呻く。
「ああーー!やられた!これは知らなかった!」
「そう。不便でしょう?だから早く…」
「は?手放すわけねえだろ?」
ここがチャンスと踏んだルルだったがブラッディアンは当たり前のように否定した。
「蘭太の仲間は殺せないって分かっただけだ。それ以外なら大丈夫なんだろ?なんでそんなちっこいデメリットのためにこの安住の地を放棄しなきゃいけねえんだ?」
そーいや、と続ける。
「結局お前は蘭太と一緒にいたいんだろ?なら居させてやる」
直後、ルルの体が粒子になって蘭太の体へ取り込まれた。
「はい。これで完了。さて、もう長居は無用だな。チャ…お?」
去ろうとしたブラッディアンの装甲に紫色の火花が散った。
「…行かせない……!」
変身した舞が生成した二丁拳銃で撃ったのだ。
彼女は危惧していた。ブラッディアンは兵器である。戦争のための。
このまま彼の人格のまま歩き回らせていたらどこかを破壊して回りそうな、そんな気がする。
だからなんとしてもここで蘭太の人格に戻させなければと焦っていたのだ。
だがそんな舞に対し、ブラッディアンはため息をつく。
「はあ、よくされるわその表情。『兵器の俺を闊歩させるにはいかない。ここで私が食い止める』ってか?そうやってカッコつけてた奴らもいたが全員あの世送りになったぞ?お前も後追いてえのか?」
「黙って下さい!」
再び弾丸を1発ずつ放つ。だがブラッディアンは左手で2弾ともキャッチした。
「っ!?」
「このスピードと火力で俺をと戦うだと?」
舞は一瞬の隙を作ってしまった。風圧とともに前にブラッディアンが迫り、胸のところにバレットモードへ変形させたデュアルブレイガンを突き立てられて。
「馬鹿も甚だしい!お前がどんな無謀をやったかこの一撃で身体に叩き込んでやる!」
ガァゥンン!!
至近距離で発砲。声を上げるまもなく舞は吹っ飛び壁に激突すると同時に強制変身解除。
「ッ!?このやろぅ!!!」
舞がやられたことに激昂し、火鉈と剛牙、彼方が変身してブラッディアンへ猛攻を叩き込む。
攻撃を受けながらブラッディアンは話しかける
「お!?おいおいいいのかぁ?これ蘭太の体だぞ?」
「変身してる限り傷つかねえよ!」
火鉈が声とともに爆炎を纏った拳を打ち込み、大爆発を引き起こした。
距離をとった3人は結果を見守る。
果たして。
ブラッディアンは汚れを落とすかのように体の各所をぽすぽすと叩いていた。
「ほあー、いつ以来だっけなー爆発に巻き込まれたの。ちょい20年前か?てかよくいるよなー『よくわかんないモン全部爆破しちまえ』理論のやつ。あとびっくりしたわ、大体の人間さっきので攻撃躊躇うんだけどなー?で?謎理論かました上で今ので本気か?」
ブラッディアンの冷たい瞳は変わらない。
「まさか…効いてないのか?」
剛牙が呻いた。
「ああ。全然。つか気付けよ?俺さっきと場所変わってないんだが?」
指で足元を指す。全く動いた形跡がなかった。
「禁忌能力者っつっても所詮人間の範疇からは出てない。人間の限界まで道徳ガン無視で強化したあのアホも俺の前じゃあのザマなとこから分かるに、お前らは俺には勝てない」
ブラッディアンの姿が搔き消えると同時に火鉈に爆発的な衝撃が走った。
目に見えないスピードで打ち出された拳を受けたのだ。
「がッッッ!!?」
衝撃の分凄まじいスピードで火鉈も壁に激突し、煙が立ち込め、晴れた時には非変身状態になっていた。
さてブラッディアンはというと、姿が搔き消えたその場所に戻っていた。
「これがお前らと俺様の力の差。これが殺しに特化した意思持つ兵器の力だ。どうする?まだ戦うか?結果は見えてるがな」
撤退か交戦か。選択肢は2つ。
剛牙と彼方は後者を選んだ。だが。
「馬鹿野郎!戦力無駄にするだけだ!引くぞ!」
スチールの声と同時に衝撃音とともにエリア全体に土煙が立ち、晴れた時には火鉈達、そしてスチール達も姿を消していた。
「ふっ、いい判断だ。だがお前らしくないな?どうやら今の厄災級は先代と比べて人間性に富んでるのが多いみたいだな」
と、そこで気配を感じる。
感じた方向を見るとさっき殺した研究者の部下の1人が腰を抜かして座り込んでいた。
ブラッディアンはにやりとする。
「おうお前置いてかれたのか?残念だったな?どうしよう?俺様ならみんなのところへ送ってやれるが?」
近づきながら語りかける。
「ほ、本当ですか!?なら是非とも…」
動けない部下はすがる。だいぶ生きるのに必死なようだ。
だがブラッディアンにとってはそれは醜い行為。その上さっきの言葉の真の意味は…。
「ああわかった。じゃあお一人様お送りしまーす!」
笑顔でそう言い。
手を突き刺し、心臓を抉り出した。その心臓はぽいと捨てられる。
血が噴き出た。部下は何故というような表情だ。
「あは。送るだけだぜ?どこに行くかなんて知ったこっちゃねえよ!俺様の場合あの世も含まれるんで悪しからず?どうやら蘭太が仲間とみなした者以外は問題なく殺せるみたいだしな!」
あは!あはは!あははははは!!
高笑いする悪魔を絶望の心で見ながら、部下は生き絶えた。
ひとしきり笑った後。ブラッディアンは「あ」という表情になる。
「そいや、計んの忘れてたな」
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数日後。
夏休みが明けた。だが学校に火鉈達の姿はない。代わりにFG旧東京本部の医務室にいた。
ブラッディアンの攻撃をモロに受けた火鉈と舞の意識が戻らないのだ。死んだわけではないがショックが大きすぎた。そして2人を見舞う剛牙と彼方、そして雷花のところへ、扉を開けて入ってきたのは。
「体調どうだ?」
あの時強制的に撤退させたスチール、そして彼に連れられていた真麗だった。
「まだこんな様子ですよ」
剛牙が場所を空ける。
「あの、スチールさん」
「なんだ?」
「なんで俺達を心配するんですか?この隙に殺すとか、いくらでもできるはずです」
「悪いが俺はそこまで非人道的じゃねえ。それに前の戦いは一向に動きのない『アノコ』を刺激するための物だしな。俺が戦ってみたいってのも大きかったが。それにお前らは『アノコ』にとって大事な存在。欠けられてまた暴走されたらたまったもんじゃない」
スチール達は見舞いを済ませ、退室していった。
廊下を歩きながらスチールは呻く。
「どうしたもんか…あの戦闘用妖精を…どうする…?」
「スチール」
真麗が話しかけてきた。彼女は気が沈んでいるようで大人しめになっている。正直こっちの方が美しいかもしれないが今はそれどころではない。
「どうしてあの時戦わなかったの?私との戦いには大して体力も使っていないはずなのに」
そう。妙だった。少なくともあの場で1番強いのはスチールだった。ならばなぜ。
「勝てないって分かってたからだ」
それだけ言ってスチールは歩みを早める。
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「蘭太!蘭太!」
ルルはどことも言えない真っ白な空間を歩きながら呼び続ける。パートナーの名を。
ルルは何故か蘭太と繋がる以前の、人並みのサイズの姿になっていた。
そして着いた場所は部屋のような場所。
「ような」というのは、どこまでも白い空間で、壁があるのかすらも分からないからだ。
そしてそこに、眠る1人の少年と、本棚があった。
「蘭太…!」
ルルは蘭太の所へ駆け寄り、触れようとするが、
「起こしてやるなよ。回復中だぜ?」
横から声がかけられた。
そこにいたのは…。
「ブラッ……ディアン…」
椅子に座って赤い液体を飲む、悪魔の兵器だった。
どうもどらっごです。
なんかその都度ノリで書いてるのでがばがばな面が目立ってきてるかもしれません(汗)
ひー…。どうしたもんですかねー…
さて、なんか中途半端っぽいですがこれで3章は終了です。
あーそういえば、戦いの描写少ないですね…あっても一方的()
個人的には難しいですねー…
ではでは(唐突)、また。




