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31・・・「動物(クリーチャー)級」


時は少し遡り。


「おーぅ、おつかれぇい」


現代にはとても似合わないようなパイプから輪っかをぷかぷかと吐き出し、王はスチールへ言う。一通りの雑用が終わったのだ。


「あ゛…あああぁぁ…」


対するスチールはぐったりしながらも近くにあった鉄をかじって回復中。


「そーいや『アノコ』はもう帰ってきてるんすかねー?」


「?あーちょっと前に反応が回復したぞ。あの様子じゃ問題なさそうだな」


ちょうどいいや、他の奴らもサーチかけとくかー、とゆるゆるな感じで王は目を閉じた。


「『怒り』はFGんとこ。『欲望』はすぐ近く、まあ知ってるわ。『飽き』は…旅行かなんかしてんのか旧北海道…」


ぶつぶつと各厄災(ドラゴン)級能力者の居場所を列挙して行くが…。


「『色気』は…旧日本へ移動中…おえっ…」


何か気持ち悪い物を感じたのか、吐きはしないが吐きそうなモーションをとった。


「なんか一緒に探知しちまったんすか?」


「みたいだなー?『色気』のヤツ…なんか連れて来てんのか…?」


そこから王とスチールは調べた。そして、


動物(クリーチャー)級という新レベルに相当するものを旧日本へ輸送…は?」


「えぇ…あれマジな話だったのか…」


王の口がひきつるように笑う。しかし目は笑っていない。


「『欲望』」


「あ、はい」


「『色気』と当たってこい。そんであのアマから今回の行動の理由を聞け。まともじゃないって思ったらぶっ殺すことを許可する」


「王の旦那はいかないんすね」


「たりめーだ。わざわざ俺様の出る幕じゃねぇよ」


「了解っす」


「今回はやけに素直だな」


「今の王の旦那の心境と同じだからっすよ」


スチールは部屋から出ていった。



ーーーーーーーーーーーー



容赦のない蹴りが真麗に直撃し、木に叩きつけられる。木はたったそれだけでへし折れる。


「がっ!!」


真麗は現在スチールになすすべなく攻撃されるままであった。


「どうした!?何がお前を止めてんだ?何がお前のその口を閉ざさせてんだ!?」


スチールの叱咤はずっと続いている。

それもそうだ。真麗はボロボロになっているにもかかわらず何も語らないのだ。


そんな真麗の頭をスチールが掴み上げる。


「話さないんなら殺すぞ。こっちは理由を話してほしいから殺してないだけだからな。話す気がないならないって言え。楽にしてやる」


そこからしばらく時間が経つ。「早くしろ」とスチールは声をかけようとしたが、真麗の迷う表情を見て、待つことにした。痛めつけてもこの様子だから、手段を変えた。

やがて…、


「私は…独断で調査するために潜り込んだの…」


真麗はゆっくりと口を開いた。その目には嘘の様子はない。


「理性持たぬ兵器、動物(クリーチャー)級の開発計画を嗅ぎつけて…その研究者と接触した…」


真麗は数ヶ月前、旧中国にいた時にその計画のことを知った。

初めは非人道的なその計画についての情報を限界まで手に入れようとしていたのだ。


「ならなぜ完成させた!?なぜ完成する前に破壊しなかった!?」


当然の疑問だ。このような危険な代物、活動させること自体間違えている。だが、


「私は…思ってしまった…ヤツの憎悪の矛先を…まだ生きている戦闘用妖精に向けられれば、戦闘用妖精の殲滅に利用できるんじゃ…って…理性を代償にしてまで手に入れた力なら…もしかしたらって…」


「お前…」


戦闘用妖精。それは200年以上前から存在し続ける悪魔の兵器の名だ。

当時起こっていた戦争が終わった後、用済みとして処分しようとされたが彼らは異常な強さを誇り手がつけられない状態になっていたが、最近ではあまり見ない。


つまり、その悪魔を倒せるのではという期待のためにここまで来たのだ。


「ちっ…」


スチールは真麗を離す。地面にへたりと倒れた真麗は力尽きて変身解除。


「気が変わった。お前は殺さねえでやる。だが…、一緒に来てもらうぞ」


スチールは真麗担ぎ上げ、飛んだ。



ーーーーーーーーーーーー



「急げ!真麗様はもう向かっているぞ!」


鍵山が他の者を急かす。

早く、早く。

何がかはもう具体的によく分からないが、とにかく早く向かいたかったのだ。


そうこうして動物(クリーチャー)級の居場所を本人に内蔵してある発信機を頼りに追いかける。すると…。


ドガッシャァァァァァン!!


という何かが割れたり壊れたりするようなけたたましい音を轟かせ水色と黄色の装甲を纏った少年と動物級の戦士がもつれ合いながら飛び出て来た。



ーーーーーーーーーーーー



『なんだよ…こいつ!?』


蘭太は心の中で焦りを感じていた。

何度返り討ちにしてもまるでゾンビのように立ち上がり再び襲いかかってくる。これがループで続いている。


「くそっ…キリがない…!」


「コロスコロスコロスコロスウゥルルルル!!!!」


掴みかかって来ては返り討ちにされ、掴みかかって来ては返り討ちにされを繰り返しているのだが、この怪物は何度でも起き上がる。

そして何回目かの、掴みかかりを行った。


「ちっ…!仕方ない…!」


蘭太はずっと納刀しっぱなしだったデュアルブレイガンを抜刀し、後ろ向きに倒れるようにして攻撃を避けながらブレードモードで振り抜く。


ズシャァァン!


という音とともに相手が浮き、そこへバレットモードへ変形させて放つ弾をぶち当てる。


「グアッッ!!」


上に打ち上げられた後、落下速度を利用した攻撃を試みるが、再度ブレードモードへ変形させたデュアルブレイガンで切り飛ばされた。


「ウウウ…ッ!?」


怪物の体に電気が走る。

ちょうど叩きつけられたところが鉄製で、電磁石のようにくっつけられているのだ。


その怪物に、再びバレットモードにした状態で蘭太は構え、狙う。頭を。


「これで…終わりだ!!」


銃口付近で1秒かけてエネルギーの収束が行われた後、一気に撃ち出され、着弾と同時に水蒸気爆発した。


爆発による煙が晴れたあと、その怪物は強制変身解除された。


「っふう…」


戦いが終わり、蘭太も変身解除する。

そこへ…、


「おいゴラてめえ!なんだあれは!?」


振り返ると、火鉈が研究者らしき人の胸ぐらを掴んでいた。


「知りたいのか?我らの傑作を!」


「『傑作』言うわりにはサクッとやられてるがな?」


「黙れ!フン、まあいい。無知な君達のためにこの私が話してやろう…離して?」


「けっ!」


胸ぐらを掴まれたままでは話しづらそうだったので火鉈は離した。


「おほん、さっきのは私達が私達の知能を結集させて作り出した新階級能力者、『動物(クリーチャー)級』だ!」


「クリーチャー…」


動物(クリーチャー)級。「動物」と書いて「クリーチャー」と呼ぶ。その名は軽蔑によるものだ。

該当するのは素の能力では[一般]階級よりも下の、そもそも共鳴変身すら出来ない者である。

ハーフフェアリーは全てが共鳴変身出来るわけではない。ごく稀になんらかの理由で共鳴が出来ない個体も存在するのだ。そして彼らに待つのは差別である。

動物(クリーチャー)級は、そんな者達を強引に変身可能にさせた状態である。

だが強引過ぎるせいで凄まじい代償を支払う。それは「理性を失う」ことである。

理性を失うことで本能のみでしか行動することができなくなるのだ。

そして階級を名付けた者にとってその様はまるで本能のままに活動するそこらへんの獣同然に映った。

故に、直訳すれば「アニマル」とすればいいところを、本物の軽蔑の意を込めて理性持たぬ獣、「クリーチャー」という名を付けたのだ。


「それ…ただ人の精神ぶっ壊して遊んでるだけだろうが!」


火鉈が我慢ならないように怒鳴る。だが研究者はにやにやしたまま動じない。気でも狂っているのか。


「遊ぶ…?違うな、私達はちゃんと力も与えているぞ?筋力のリミッターを外させてな?」


「何…?」


「生物にはな、自分の体を守るために通常は筋力にリミッターがかけられているんだよ。だが動物(クリーチャー)級のそれは常に外されている!常に最大の力を発揮できるのだ!ま、体への負担も相当だろうがどのみち理性もない。関係ないだろ?」


「この…!」


「彼らは動物(クリーチャー)級になった時点で人としての尊厳は捨てられたも同然なんだよォ!変身出来なくて差別に苦しむ奴らを私達は救ってやったんだ!むしろ感謝してほしいね!?」


「お前…!」


蘭太も限界だった。研究者に詰め寄ろうとした時、


グシュッッッ!


と右脇腹あたりに後ろから貫通された。

刃ではなく、腕で。


「ごっは……!」


口と腹から大量の血を吐き出した。


「蘭太ぁっ!!」


ルルが悲鳴をあげる。直後、どこからともなく鉄の柱が現れ動物(クリーチャー)級と蘭太を引き剥がした。そこへ舞達が駆けつける。


「何が…!」


「執念深いなあ…?」


「てめえ!呑気にしてんじゃねぇ!あのクリーチャーは倒された筈だ!なんでまだ攻撃出来んだ!」


「ははっ、動物(クリーチャー)級は理性がないんだよ?『限界』という概念もあるわけないじゃないか!奴らは死ぬまで本能に従い続ける!そしてあいつの本能は龍族を殺すこと!それがたまたまあの子だっただけだ!アハハガッッ!!!」


突然、研究者が鉄を纏った足で蹴り飛ばされた。

そこにいたのは…


「チッ…!クソめんどくせえもん作りやがって!なんの研究してたらそんなんになんだよ!」


女性を担いだ鉄の厄災(ドラゴン)級能力者、スチールだった。


「スチール!?」


「お前あん時の炎のか?悪いが今は相手してる余裕はねぇ!」


その時、大きな泣き声が響いた。蘭太のパートナー、ルルのものだった。


「うっそ…だろ…」


その声はスチールから漏れ出ていた。



ーーーーーーーーーーーー



少し前。


「なんで…私を担いで…?」


自身を担いで飛ぶスチールに真麗が尋ねる。


「決まってんだろ。お前に見てもらうためだ。お前が期待してた動物(クリーチャー)級とやらの実態をな…」


「貴方は知ってるの…?」


「バカか。知るわけねーだろ。何せまだ見てねぇからな、と…ここか」


おぞましい気配を辿り着いたのはFG旧東京本部から少し離れた建物だった。FG旧東京本部からこの建物を線で繋ぐように穴が出来ている。


「?」


とりあえず邪魔な壁を蹴り壊す。直後。


グシュッッッ!


という肉を強引に裂き貫くような不快な音が響いた。その方向を見ると、「アノコ」が何者かにやられていた。


「クソがっっ!」


毒づき、床を踏みつける。ちょうど鉄筋製だったようで能力は効き柱が生成され二者を引き剥がした。


次に場を見渡す。禁忌能力者と…研究者?


「あの野郎か…!」


スチールは珍しく剥き出しの怒りを露わにした。



ーーーーーーーーーーーー



沈む。水の中…?海の中…?どっちでもいい。ぶくぶくと泡が上がっていく中、体だけが沈んでいる。


なんか、また死へと近づいているようだ。生きると決めたのに。ようやく生きなければと思ったのに。


『運命って…なんでこんなにも残酷なんだよ…』


光が見える水面方向へ力一杯腕を伸ばす。


『だめなんだ…死ぬわけにはいかないんだ…!』


だがどこも掴めないままただただ沈んでいく。


わずかにルルと雷花が自分呼ぶ声が聞こえるが、沈むのは変わらない。


ああ…死って…非情すぎる………



どうも、どらっごですよ。


上もあれば下もある。今回の場合上は厄災級、下は動物級ですね。いやホント書いてる途中で「こんなの実在してたらヤバい(語彙力)」って気分でした(汗)。


動物級についての説明は本文でだいぶしてあるので大丈夫…だ…と思います!


まあ要約してやれば「変身による強化を得られない者が筋力のリミッターを外した力を手に入れる代わりに理性を犠牲にした状態」的な感じですかね。ホント文章力なくてすみません。ざっくりとしか設定してないもので…(汗)

ちなみに動物級の変身能力は本来の変身を擬似的に再現されたもので、完全にリミッターを外させる目的で後から付与されたものです。


とまあこんな感じ…ですかね?


ではでは、また。



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