30・・・「化け物」
しまった!載せるのを忘れていました!
というわけで30話行きます!
「…いたのね」
ぽつりと真麗は呟いた。現在輸送飛行機の中にいる。どうやら近くにいる研究者がいてもたってもいられないようでさっさと出発してしまった。
その後、ロストしていた「怒りの厄災」の反応を微弱に感知したのだ。他の厄災級の皆も同様に察知しているはずである。
「やはりいたんだ!私の予想は正しかった!」
ある意味予想は合っている。厄災級は7人しかいない上そのほとんどが旧日本にいるため当たる確率は相当高い。
ただ…今回目をつけられた子は少し残念というか…。
機内で子供のようにはしゃぐ研究者、鍵山から視線を外し、外を見る。
その時、ガガン!という音とともに機体が揺らいだ。
「何が起こった!?」
鍵山が操縦室へ行き叫ぶ。
「そ、それが…!」
操縦士は揺らいだ機体の体制を直しながら慌てた様子で答える。
「本機に輸送物格納庫のハッチがこじ開けられて…おそらく中のアレが出て行ったのかと…!」
「はあぁあああ!??」
鍵山が奇声をあげた。
「拘束は完璧のはずだ!今すぐ回収に行かねば!俺たちも早く行かねばならん!急げ!」
「り、了解!」
幸い着陸予定地である旧千葉の私有地までが近かったのでそこまで行くことにした。
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山に、そいつは、化け物は落ちた。幸い落ち葉などが積もった部分に落ちたため致命傷にはならなかった。
「ウゥ…ウ…」
獣のような唸り声をあげ、うろつき始める。
「ウゥゥゥ…カンジル…ドラゴン…コロス……」
全ては憎き龍族をぶっ殺すため。
龍気を感知できるようになった体でその化け物は龍気の発生源へ歩き出す。
ろくに変身すらできなかった昔とは違う。今では出来る。
その喜びと、悲願達成への期待でその化け物、「動物級」となった戦士の心はいっぱいだった。
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「はばぁぁぁーー……」
再びFG旧東京本部へ戻ってきた途端蘭太はぐでーっとし始めた。流石に疲れている。何せ龍界から帰ってきてからといいロクな休みを取っていない。いや、とりあえず寝てはいたか。
火鉈達も言ってロクな休みはないが、彼らはこの緊急の用事があるまで一応ゲームで遊んでいた。それを休みとするのなら彼らは休みを取ったことになる。
と言った感じで火鉈達も蘭太がぐでることを許そうとした…が。
「おーい、ここ広場ー。部屋じゃねーぞー」
建物のエントランスにあるテーブルについた途端突っ伏して「すぅすぅ」と眠ってしまった蘭太をぱしぱし叩きながら火鉈は言う。
流石に場所が場所だ。部屋ならば寝るなりゲームするなり好きにしろだがここでそれをされるとまずい。
それを理解したのか、ルルも蘭太を起こそうとするのだが、
「ほあ…?」
いかん。顔を上げたはいいが完全に寝ぼけている。どうしたものか。
「蘭太!起きて!」
「ええ…もうちょっと…」
「氷張らせるよ、頭」
「ハイオキマス!」
がばっと目を覚まして蘭太が起きた。どうやらルルちゃんの脅しの類は蘭太に効果抜群らしい。そういえば前やられてた時すっごく痛がってたっけ。
「ほら、上行くよ!」
「あーい」
ルルに連れられ上階にある自分らの部屋へ行こうとしたとき、蘭太、火鉈達を含むエントランスにいた者の全てに悪寒が走った。
すなわち「何かやばいのが近づいてきている」と。
やばい、その根拠は今まで接触してきたどんな変身能力者レベルにも一致しない、そんな気配がしたからだ。
それは厄災級の蘭太も同じだった。
「何が…くる…?」
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「ああもう!街中じゃ変身しづらい!」
真麗は走る。動物級の化け物の所へ。化け物は「怒りの厄災」のいる方面へ寸分の狂いなく向かっている。何を頼りにしているかはよくわからない。ただヤツには龍族への怨念を利用するため龍族特有のオーラである龍気を感知できるような施術が施されていると聞いたことがある。
ヤツと「怒りの厄災」を会わせてはならない。その一心で。
こちらも可能な限り直線移動しているのだが、建物のとかが邪魔で実際はジグザグである。そして今度は目の前に広い公園が現れた。
「こんなもの、突っ切ってやる!」
だが、
「おっとお姉さん待ちな。そんなに急いでどうするってんだ?」
飄々とした様子の男の声に止められた。振り返ると、そこには、
「こんな時に何の用?『欲望の厄災』」
鉄の能力者、スチールがいた。
「相変わらず自分の権限能力が効かねぇヤツには露骨に冷てぇなぁ?さすが雪の能力者だ」
「能力と性格は関係ない。それに私はそんな基準で対応を変えてるわけじゃない。…要件は何?さっさとして欲しいんだけど」
「かーっお前権限能力なかったら絶対モテねぇわ!ただ顔が美人なだけじゃねーか!」
「うっるさいわね…!あんたのそういうところが嫌いなのよ…!さっさと要件言え!」
若干キレ気味の真麗が促すと、スチールはさっきの飄々とした様子を薄れさせる。
「ああ分かった言ってやる。お前、なんで理性持たぬ化け物をこの国に入れさせた?」
「…!」
「何で勘づいてんのかって顔だなオイ。バカにすんなよ?俺は現状『王』の旦那に1番近いとこにいんだ。7人の厄災級能力者の居場所なんざすーぐわかる。そんでだ。お前がこの国に来た時からどうにもおぞましい気配が絶えねぇ。そんで俺と『王』の旦那で色々調べてみたらビックリ、化け物到来じゃねぇか、あ?」
「こんな短時間でどうやって…?」
「自分から情報網公開するヤローがいるかアホ。そんで?答えてみろよ、俺も『王』の旦那もちょっとばかしピキッてきてるからよ、早く言ってくれると助かるなぁ」
「それは…」
真麗はしどろもどろになる。
だがスチールは容赦なく畳み掛ける。
「おっせぇ。ああもう気が変わった。待ってるのはくそだりぃ。共鳴変身」
スチールが鉄に覆われて変身する。
「ちょ…あんたこんなところで…!」
「場所なんざ関係ねぇよ。元はと言えばお前がさっさと答えねぇからだ。なんか抵抗があるんならそれを上回るメリットを吐く方に持てるようにボコボコにしてやるよ」
言いながらおもむろに左手を伸ばして腕にアサルトライフルを形成して弾をばらまく。
かろうじて真麗は避けるが後ろにあった木は蜂の巣。
「どーしたー?変身しねーと死ぬぜー?代替わりも急いでんのかー?」
煽るようにスチールは言う。彼は言っている。「戦え」と。
「ああもう!やってやるわよ!共鳴変身!」
妖精と触れ唱えた瞬間、どこからともなく上から雪崩のように雪が覆いかぶさり、龍の形を形成する。その後雪を吹き飛ばし、装甲を纏った真麗が現れる。
真麗は雪の能力者。その能力の特性上、変身時には周囲の気温が0度近くまで下がる。
だからといってスチールの鋼鉄が弱ると言うことはあまりなく。相性は好ましくない。
『それでもこいつを倒さなければ先へは行けない…!』
真麗は2本の直剣を構え、スチールへ挑む。
「でやぁぁ!」
対するスチールは腕の装甲で防いだ。
「威力弱っちぃな!お前それでも厄災級かぁ!?」
腕を滑らせ剣を2本とも掴んで引っ張り、がら空きになった胴へ拳を打ち込む。
「ぐあっ…!!」
真麗は綺麗に吹っ飛ぶ。
「残念極まりねぇ!厄災級で1番ガキの『アノコ』ですら俺を倒したんだぞ!?女相手にイキるのも辛いからこの辺にしとくが目的があるんならもっと真面目に戦え!そしてお前の心を伝えてみろ!」
スチールが叱咤する。
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その化け物は現れた。エントランスの窓を盛大にかち割って。
ガッシャァァァァァン!!!とけたたましい音を立ててガラスが床に散らばる。
そいつは見るからに異常だった。まず目が虚。そして近くに妖精が見当たらない。さらには…
「ツイタ…ドラゴン…コロス…」
よく聞かないと言葉だと理解できないほどの声。
そいつは蘭太を見ると、にやっとして腕を振りかぶって猛スピードで飛び込んで来た。ぶっ殺す気満々な様子だ。
「わ!ホラーかよ!!!」
反射で避けた蘭太は悲鳴をあげる。
だがどう対応すればいいのか分からなかった。
そいつの危険さを身に感じるまでは。
「フゥゥ…コロス…コロス…ヘンシン…」
身体中からどろりとした液体が溢れて全身を丸く覆う。その後液体が蒸発するように消えて装甲を纏った姿が現れる。
「アア…コォス…!」
ダンッと床を蹴った瞬間姿がカッ消えた。
限界近い反射で蘭太は避け…きれなかった。蘭太の左側をヤツは過ぎていったのだが攻撃が左の二の腕を削っていき、出血した。
「ぐぅっ!!」
蘭太は咄嗟に手で覆い浄化作用で治す。このままでは本当に殺される。
「ちくしょう…!二重共鳴、変身!」
再び突っ込んで来た化け物を変身時に迸らせた水と雷で吹き飛ばし、蘭太は変身。
「悪いけど…お前は倒させてもらうぞ…!」
どうも、どらっごです。
動物級についての記述は本編中で述べるつもりなので今回はスルーですね(謎な唐突)。
さて、その他に1つ補足説明を。
いきなり真麗さんの魅惑に対して動じないスチールさんが出て来ましたけど、あれは厄災級だからとかいうわけではなくただスチールの心境がそうさせただけであります。
とりあえずまあさくっとこんな感じですね。
ではでは、また。




