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29・・・「デュアルブレイガン、運用」


「ただいま」


ゲートを通り終えた蘭太は家に帰って来たかのようにそう言った。仲間達みんなが迎えてくれると思って。

だが実際に迎えてくれたのは少し締まった表情の増沢のみ。


「…?何か…あったんですか…?」


「ああ、少しまずい。ちょっと付いて来てくれ」


手招きで蘭太を誘導する。の前に振り向き、


「そういえば言ってなかったな。おかえり」


と言った。

そこから増沢の部屋に入り、話が始まった。


「まず、火鉈達だが再び現れた外国人部隊の迎撃に当たってもらっている。そこで入った情報によれば港が壊滅し、従業員は全員死亡…」


そこで蘭太の左目が赤く光る。そこから怒りの感情が芽生えているのが伺える。


「気持ちは分かる。だから君にも任せる。この外国人部隊を部隊撃退してくれ」



…………



移動のために変身し、飛行しながら蘭太は火鉈達のいる港へ向かう。


『でも…なんで一度やられたのにまた出てきたんだろうね?』


『さあ…?もしかしたら2度も同じ相手と当たるとは思ってなかったのかもしれないね』


ルルと雷花が蘭太の中で話している。

他に複数のチームがあるとは言っても現在本部にいる戦力はそんなに多くはない。FGの戦力部隊はそもそもの絶対数が少ないのだ。何せ元々総人口の半数以下の禁忌能力者から選りすぐった結果選ばれた者しか加入出来ないのだ。


なので自然に各々の仕事量も増える。のだがもちろん戦力部隊も駒ではないので生活には合わせてもらえる。例えば火鉈達はまだ学生なので学期中は仕事量が少ない。その分と言ってはなんだがこうした夏休みのような期間は多忙である。


「そんなに楽観的なもんなのかな…?」


蘭太は少し不安だった。

同じ相手と当たる確率は低いと言ってもないわけではない。それを敵が考えていないとはとても考えられない。考えるにしてはこっちが逆に楽観的すぎる。

そしてもし再び当たることを想定しているとして。

一度負けた相手に再び戦いを挑む理由は大体2つ。1つはただ諦めが悪いだけ。何度も挑めばいつかは勝てるだろうと考える脳筋思考である。こちらは正味どうでもいい。根気が折れるまで叩きのめせばいいのだから。

だが問題なのは2つ目だ。ぶっちゃけこっちの方が多いのだが、今度こそ勝てるという勝算があること。追加の兵器なり戦士なり能力なり、変化がある。そして必ずその追加物はこちらにとって少なからず脅威になる。


飛んでいるうちに交戦中の火鉈達の姿が見えてきた。

まずは見る。戦闘域の周りを。せっかく上空で見つかっていないのだからそのうちに状況確認をするのは当たり前である。

そして、見つけた。不穏な物を。


「なんだ…あれ?」



ーーーーーーーーーーーー



「オゥルルァァ!!!!」


爆炎で1人、敵をぶっ飛ばす。火鉈の攻撃力は感情からか大幅に上昇していた。

そんな火鉈にまた1人突っ込む。


「次から次へと…!失せろゴラァ!!」


そいつへ向け拳を打ち出すが、拳を掴まれ炎が相殺される。


「何!?」


「ヘイ何を怒ってるんだい?」


そいつは、外国人部隊の一員は()()()()で話しかけて来た。だが火鉈にそこに構う気はなかった。


「あ…?怒るに決まってんだろ。いきなり荒らして来やがってその上人殺しだ…!なんならテメェらも同じ目に合わせてやろうか…?」


「それは嫌だなぁ…でも君達も終わりが近いよ?何せ僕達には新兵器があるからね」


「新兵器…?ハッ、テメェらついに10人いながら自分自身の力じゃたった4人の俺らにすら勝てねぇって認めた訳か。だったらわざわざそんなブツわざわざ持って来ず尻尾巻いて逃げろよ」


そいつは顔をしかめる。少し頭に来たらしい。だがそれでも余裕そうだった。


「4人…ね。前より1人少ないじゃないか。なら僕達の勝利は確実という訳だ」


「あ?」


「教えてあげよう僕らの新兵器を。その名は『超反射光砲』。太陽の光を無限量反射・収束させて出来た熱線をビーム状に放つ殺戮、いや消去兵器だ。しかも持ち運び可能のね?」


「!」


咄嗟に視線のみでその「超反射光砲」とやらでありそうな物を探し、見つける。

少し遠めの所に砲台のようなものがこちらを向いて設置されていた。


「ぶっ壊してやるよ…!」


振り解こうとするが離れない。それどころか焦ったせいで生まれてしまった隙を突かれ攻撃を受け、抑え付けられてしまう。


「ぐっ!」


「まあ落ち着こうよ。まだ話終わってないんだし。実はあの砲はね、回すこともできるんだよ?まあ打ち出すものが無質量のものだから出来て当たり前なんだけどねー?後ろの街も消せるのさー!それにー」


にっこりとそいつは続ける。


「もし直で壊したら爆発に巻き込まれて最悪戦闘不能〜どの道僕達の有利は変わらないのさ♪」


「キッサマァ……!!」


爆炎を再びほとばしらせるが、不思議とそいつの周りは燃えない。


「無駄無駄!僕は燃焼の能力者!自分を燃えないようにすることなんか造作もない!」


そうこうしているうちに超反射光砲が起動し、内部に光が収束する。どうやら彼方達も足止めを食らっているらしく止めるものは現れない。


足止めしている敵も敵でどうやらギリギリまで火鉈達のの足止めに徹するようだ。


『こりゃ本格的にまずいな…』


本格的にやばいと思ったその時。


ガァウンン!!


という轟音と共に超反射光砲の直上に一筋の光見えた、気がした。



ーーーーーーーーーーーー



『ちょっと何あの砲台!?』


ルルが叫ぶ。明らかにやばいやつだ。まさかあれがあるから再び当たるのを覚悟でも荒らしに来れたのか、あるいは。


「再び当たることを狙ってあれを持ってきたのか…!」


『蘭太君…どうするの?』


1番平和的なのは話し合いだろう。だが降り立って


「ウィーーーッスちょっと失礼しまーすあのー、この兵器止めて撤収してくれませんかー?」


とフレンドリーな感じでお願いしてもダメだろう。

よって。


「『よし、壊す!』」


ルルと蘭太が同時に言った。

背中の鞘からデュアルブレイガンを抜き、バレットモードに変形させ、体を地面と平行にして視点が下向きになるように固定。


「ルル、パワーバレル、スコープ、グリップ生成!」


『了解!』


ルルが言われた通りに氷で生成すると、デュアルブレイガンは狙撃銃の左側に持ち手がついた見た目になる。完全に一致とまではいかないが大体似ている。


「雷花、俺の右目とスコープの視界をコネクト!」


『わ、わかった』


スコープに映る視界を電気信号として蘭太の右目に投影。これで蘭太はスコープを覗かなくとも狙撃ができるようになる。


「あー、見える…見える。細かく見える…」


そして見つける。砲台の脆弱部位を。一撃で破壊できる部位を。

放つ弾を自身の属性エネルギーで作り出して1つ呼吸し、


発射(ファイア)…!」


小さく呟いて引き金を引く。


ガァウンン!!


という轟音が響き、弾丸が音速で打ち出される。蘭太の体が少し真上に跳ね上がった。


着弾した後、蘭太はルルに指示し、パワーバレルのみを分解した。



ーーーーーーーーーーーー



光が見えた。そう思った瞬間砲台が膨れ上がるように膨張し、大爆発。

したと思った直後に内部から水が溢れ出し爆発による炎を鎮火した。


それだけで分かった。誰の仕業かと。


「な、なんだと!?」


火鉈を抑えつけていた外国人が動揺した。


「隙あり!残念だったな!」


拘束を振りほどき回し蹴りをお見舞いするとそいつは吹っ飛んだ。

その後追い打ちをかけるかのように上からの狙撃が直撃し、地面に叩きつけられていた。


「あの野郎…!やりやがるぜ!」


上を見て火鉈は静かに笑う。


上空にいた。蘭太が。


「よく帰ってきたぜ!それでこそお前だ!」


そう火鉈が言っている合間にも、蘭太の狙撃は的確に敵のみを当てて行く。


そしてあらかたヒットさせた後、蘭太は降りてきた。


「ただいま」


と言って。


「おう、おかえり。ちゃんと立派なモン担いで来たな」


ぽんぽんと頭を軽く叩く。


「が、ガキみたいに扱わないで」


「俺から見たらまだまだガキだが?」


「ひどい人だ…」


いつも通り(?)のやり取りをしていると


「…まさかそんな隠し玉を持っていたなんてね…」


とさっきの外国人が言った。今になって気づいたが敵は蘭太の狙撃によってうまく一箇所に集められていた。


「お前、名前なんだ?」


今更ながら火鉈が問う。戦いを始めた時ほどではないが威圧的な怒りの感情を孕んだ声だったが、それにもそいつは飄々のした態度だった。


「ん?わざわざ教える意味な……」


ドュキューーン、

という音とともに顔をかすめて弾丸が飛んで行き、後ろにいた者をヘッドショットして一撃で変身解除させるまでは。


ちなみに変身能力者を変身中に外傷で殺すことはできない。どの能力者も変身中には一見装甲に覆われていない部分でも固有の属性エネルギーによって保護されているためだ。この防御力は皆ほとんど均一である。

よって変身能力者を殺したいならば変身前を突くかあるいは限界値以上のダメージを与え変身解除させたあと殺めるかのどちらかをするしかない。

しかし内部から干渉する厄災(ドラゴン)級の生体干渉能力は例外で変身中でも殺すことが可能である。


とまあこういったことがあったとしても、そいつは恐れたのだろう。さっきまでの態度は一瞬にして薄れた。


「へ…ヘイ?いきなり何を…」


「黙って答えろ。名乗れ」


銃のようなものを構える、空から降りて来た少年は怒りを映し出すかのように左目を赤く光らせ冷え切った声音で問うた。


「ひっ…」


もうダメだったようだ。完全に蘭太に怯えているようで戦慄(わなな)いている。


「ケ…ケイルです」


「よくできました。じゃあ他の人も順々に名乗ってみようか」


そこからは問答タイムだった。


それぞれの名前、出身国、今回の襲撃の動機などなど。


ちなみに名前などを聞き出すにあたって言い渋った奴がいたが、そいつは蘭太によって射撃処理されたという。


また動機だが、「鍵山(かぎやま)という者に厄災級と接触せよと言われ、指示されたところを襲った」と答えていた。


「そういう面では僕たちのミッションは完遂したというわけだ」


とケイル達は言い残し、FGの警部科に連れて行かれた。彼らは後々それぞれの国へ強制送還される。


増沢の命令である撃退とは少し異なる結果にはなったが、ここからいなくなることは同じだからよしとしよう。そう思った蘭太だったが、ケイル達の動機の内容で不安も覚えていた。




どうも、どらっごです。


なんか最近前書きで書こうと思うことがないんですよね…。まあ書かなきゃ死ぬなんてことはないので大したことじゃないんですけどね(笑)。


えっとですね、今回使ったパワーバレル。あれは具体的には放つ弾を撃ち出す瞬間に増幅させて強化するためのものです。ちなみにアタッチメント類はルルちゃんの氷で擬似的に作り出してます。氷の造形って便利ですよね。


あと雷花さんの能力による視界コネクト。ふとした疑問から盛り込みました。

思い出してみて下さい。蘭太君上空です。デュアルブレイガン腕でだけで支えてます。音速で弾を撃ち出す銃のスコープにもし目を添えていたら撃った時の反動でスコープが目にぶち当たって「ぐは!!」ってなるんじゃないのかって思ったんですよ(語彙力)。

ならばスコープに目を添えなければいいじゃないか(暴論)ということでこうなりました。まあ神経とかで伝わる視覚情報とかもたしか電気信号ですしね。


少し長くなりました。

ではでは、また。


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