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27・・・「判定」

こそこそ、サイレント投稿…



では…行きますよ…(ひそひそ)


時は少し遡る。


白い、どこまでも白い空間。

そこにいたのは赤髪と赤い黒目部分を持った男、いや青年だった。


青年は椅子に深々と座りながらグラスに入った赤い液体を今日も飲んでいた。表情が緩んでいる。


「ぱ〜!今日も美味!…ところで」


突然、表情が不機嫌そうになる。


「テメェ、何のこのこココに入って来てんだ?輪廻のトカゲ?」


青年が向けた視線の先にいたのはウロボロス。


「なるほど、あの少年に龍気を送り込んで調べようとしたが、まさかこんな空間があったとはな」


ウロボロスは蘭太に剣を刺して自身の龍気を送り込み、分身をつくりだし原因を探ろうとしていた。

何の原因かといえば、蘭太の龍気が異常に微量な原因、である。


「なぜ貴様がここにいる!?」


その男は警戒の気配を漂わせたウロボロスに全く動じない。


「ハン、わざわざトカゲ風情に教えるわけねーだろ」


それどころかどこか挑発気味である。

だがウロボロスはトカゲ、トカゲと連呼されているのに訂正させようとしない。いやできない。その理由はその青年の経歴にある。


「そんで?せっかくのティータイムを邪魔しやがって、なんか用があるんだろうな?なかったらテメぶっ殺すぞ本体ごとな」


「…答えろ。なぜこの少年の龍気は不自然なほど微量なのだ?」


「あ?答える必要性が感じられねぇな」


ここで引き下がるのもありだった。だが知りたいという感情がウロボロスを突き動かす。


「龍気を解放するか、または他に何かしないとこの少年が死ぬとしてもか?」


試しに少年のことを言ってみた途端、


「チッ!」


さっきまで余裕そうだった青年が激しい舌打ちをし、怒りを露わにする。どうやら「蘭太」というワードに反応したようだ。


「こンのクソ輪っかトカゲが…!困ることしやがって……!失せろ!!」


大きく手をなぐように振ると、ウロボロスの体が吹っ飛び、次の瞬間には消えていた。


残った青年は眉間に指を当てる。


「腹部の貫通傷、切り傷、出血多量…どうする…俺が出るか…?」


迷っていた。だがそれもすぐに終わる。


「いや、そういやあの輪っか、龍気のこと気にしてたな。ここまで来れたこと褒めるついでにこいつの龍気をちょっとだけ解放してやるか…」


トントンと棚に近づき、1番上の段から本を1冊取り出して上に掲げる。


「なあに、こんだけありゃ『浄化』の能力は作用するさ。……記憶よ帰れ。主の元へ」


青年が唱えるとその本は粒子の粉となって消えていった。


「龍気が微量な理由なんざ知るかよ。こちとら預かりモンをしてるだけだしな。多分。だが、この記憶が龍気と関わってることはなくはないだろうな。……さーて!邪魔で目障りなトカゲもいなくなったことだしティータイムの続きだ続き!」



ーーーーーーーーーーーー



『き…ぼう?』


変化した視点の中で蘭太は呟いていた。よく分からなかった。自分の名前は「蓮藤蘭太」、決して目の前の青年が言った「ネイル」ではないはずなのだ。

なのに言えない。まるである映像を一人称視点で見ているように、その会話に介入できない。

そして不思議なことに、これは自分なのだという意識が根拠もなしにあった。


『そうだ。知ってるか?お前の名前の【ネイル】って、【希望】って意味なんだとよ?』


『へえ…兄さんのは?』


兄…さん?


『ああ、俺の【アーク】は【勇気】って意味とかーなんとか言われたっけな?』


『自分のはうろ覚えなんだ?』


『うるさいやい』


あははは、としばらく笑った後、視点が靄に包まれたようにぼやけ、気づくと紫色の空が見えていた。


「あ…うぅ…」


生きてくれよ?と言われた。

そう言えば前にもそんなことを言われた気がする。

ゆっくりと頭と目を動かすと、ルルが視界に入った。


あいつだ。


あいつがずっと、ずっと「生きて」と言っていた。あなたがいないといけないとまで言われていた気がする。

最初はぶっちゃけどうでもよかったのに。


だが、火鉈に蹴られ叱咤され、その後仲間ができて、雷花を受け入れて、そうこうしているうちに自分にも「生きたい。生きなければ」と思う心が芽生えて来たのを自覚していた。


「こ…んなとこで……しん…で…たまるか……」


だから衝動に駆られるままなんとかうつ伏せになって剣に手を伸ばし、柄と鍔部分にある持ち手を掴む。そして柄を引っ張ってロックを外した後、バレットモードにすることなく同じ部分にもう一度差し込む。

すると剣からオーラが漂い、やがて蘭太の体を覆う。


不思議と不快感はなかった。


なんかこう、包まれるような…そんな安心する感覚だった。



ーーーーーーーーーーーー



「何事?」


分身から得た情報に驚いていたウロボロスは少し眉をひそめる。

蘭太が剣を操作した直後、彼の中の龍気が増大したのだ。


ちなみにウロボロスには微量なのを探知している時点で蘭太の龍気が水色に見えていた。そこから彼はおそらく「水」の能力を持っていると予想していた。そして水の力を持った者なら可能なとある能力があることも。


蘭太の体を覆っていたオーラが清流になり蘭太を包んで流れるが、蘭太は流れない。

代わりに彼の胴体にある傷が癒えていく。


「『浄化』、か」


「浄化」能力。それは水龍の遺伝子を持つ者のみが行使可能なものである。

太古の昔、元世界に禊というものがあった。水によって穢れを洗い流すというものだ。それと同じで、これは「傷」といった負の要素を概念から洗い流すことで受けたダメージなどを消し去るのだ。


といっても水龍も多様に種類がある。ウロボロスは浄化に早くても数時間はかかるだろうと踏んでいた。


しかし。

蘭太の浄化はものの数十秒で終わった。


「!?ばかな、ありえない!」


存在しないはずだ。浄化をこんな短時間で完成させることが可能な種など。

いや、いなくなった、が正しいのか。唯一こんな離れ業を出来る種族があった。カルナがこの世界を作り出したあと自身で生み出した神龍の直系、デュ族だ。

だがそれらは20年前(元世界においては10年前)に紛争で全滅してしまったのだという話を受けたことがある。


ゆっくりと立ち上がった蘭太は龍気が発現したのか背中に片方だけだが龍の翼が生えていた。


そして、剣を持っていない方の手で頭を抑え、


「アーク…?ネイル…?俺は…蘭太…ネイルは…何?」


アーク。その名前にウロボロスは聞き覚えがあった。

20数年前、「イクスティクスを浄化する」と言ってカルナの前に現れた龍人だった。確かフルネームはデュ・アーク。そしてネイルとはその青年の弟だったはず。

デュ・アークはその後行方不明になり、デュ・ネイルは20年前の紛争で一族とともに死んでしまったという報告もある。


その名前がなぜ少年の口から出ているのかは正直分からない。

ただ何かしらの変化があったということだけが分かる。いや、分かると言えるのだろうか。


あらかた観察を終えた後、ウロボロスは剣を構えた。そして蘭太に接近して振るう。このままでは蘭太はまた斬られることになる。


……が。


カァァン!!


と蘭太は自らの剣で防いだ。

そして何やら独り言のように自分に言い聞かせる。


「俺は…蘭太だ!ネイルが何であろうが俺は俺だ!変わらない!そして、今を生きる!」


キッとウロボロスを見たその瞳は先程までのぼーっとしたそれではなかった。


「だからあんたには勝たせてもらうぞ!」


拮抗する剣を持つ手を右手のみにし、残った左でウロボロスを殴り飛ばす。

その後蘭太は剣をバレットモードへ変形させ、構えて引き金を引いた。すると露出した銃口部分から水の塊が音速で発射され、それをウロボロスは左腕で防ぐが、吹き飛ばされた。


「何!?水にこんな火力が!?」


ならば撃たれる感覚も味わってもらわなければと、もう一度打ち出された水塊を再生したての左腕でもう一度防ぎ、その瞬間に自身の龍気のこもった塊を撃ち出す。


対する蘭太は一切動かず左腕で受ける。この戦いの意味を忘れてはいないのだ。

吹き飛びはしなかったが血が溢れ出る左腕はすぐに清流に包まれ治る。


そこで。ウロボロスは剣を収めた。


「終了だ。お前はこれから幾多の敵に与えるだろう『斬られる』『貫かれる』『撃たれる』感覚を自分で知ったはずだ。その痛みを忘れるな。無闇に敵を蹂躙するなよ」


試験が終わった。多分合格なのだろう。

ほっとした途端体がふらつき武器を杖にしてなんとか立ったままを維持する。

どうやら思ったより出血があったらしい。清流による浄化作用は損傷こそ治せるが流れ出て行ってしまった血などは復元できないようだ。


そんな状態の蘭太を、

カルナが近づいて胸に抱き寄せた。


「びぃぃええええぇぇぇぇええんんん!!!!死んじゃうかと思ったよぉぉおおおぉ!!!怖かったよおおお!!!」


からの叫び泣き。抱き寄せられたとき柔らかな感触があったがとても今はそれどころではない。


『うるさい…苦しい…』


蘭太が心の中で悲鳴を上げていると、


カルナが突如蘭太との間にできた氷で2メートルほど飛んだ。


「痛ッ!な、なにs……」


なにするのさルルちゃん!と言いたかったのだろうがカルナは見てしまった。


ふらつく蘭太を氷で支えながらカルナを


「散々私達を止めておきながら真っ先に私のパートナーにベタつくとはいい度胸ね?」


というようにジト目で睨むルルを。ちなみに口は変なものを見たときにやるような「へ」の字をしているし、眉間にはだいぶしわがよっている。


そんなルルに創造龍という最上位の龍であるカルナが不覚にも身を震えさせた。



そこからなぜかルルとカルナの口喧嘩が始まってしまったが、休みたい蘭太はそのまま眠り行く意識に身を委ねた。

その直前に


ーーーーー随分と賑やかじゃぁねぇかーーーーー


という謎の声が脳内に響いたが、蘭太は「うん」とだけ答えた。


ちなみにこの後雷花とウロボロスがどうにかこうにかして丸く収めさせたらしい。


どうもー、どらっごでーす!


またやらかしました!期限約2時間オーバー!でも寝るまでが今日だという解釈を適用させるとなんとびっくり!週一投稿は守られし!(凄まじい暴論)


まあ皆さんうすうす感じてたと思うんですけど!やっぱり蘭太君は生きる!主人公ですから!(筆者主人公死ぬ系苦手マン)



ではではまた!


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