18・・・「返される一部の記憶(前)」
自称「記憶編」です。
第2章の一部ってことは忘れてないですよ!?だぁいじょうぶ!!
では行きます。
ぼくは揺れているような感覚で目が覚めた。
何事かと思って周りを見渡すと、ぼくは大きなものによって運ばれていることがわかった。ぱっと見は龍だった。
その大きなものはぼくが起きたことに気づいたのか、落ち着かせるような、それでいてどこか必死さを孕む声で言った。
「必ず君を未来へつなぎます。安心して」
と。
なぜかそれでぼくは落ち着いたのか、再び眠りに落ちた。
ザーッというノイズとともに視界が黒く染まる。
次に目覚めた時、ぼくは横になっていた。近くに大人達がいてなにやら話しているようだったが内容はよくわからなかった。
少し後になって分かったがここは施設の中だった。きっとあの龍みたいなものがここへぼくを届けたのだろう。
起き上がったぼくは少し驚いた様子の大人達に尋ねた。
「あの、ぼくをここへとどけただろうりゅうさんはどうなったんですか?」
気になったのだ。あの龍のその後が。だが大人達は戸惑った様子で黙っていたがしばらくした後口を開いた。
「君、5歳のはずなのに言葉が上手いね。うーん、君をここへ連れてきた龍さんはね、旅立っちゃったんだ。ここじゃない、遠く遠いところへ、ね」
「…え?」
ぼくは分からない。でももう会えないのだということは分かった。
お礼を伝えることはできないのだと、悲しい気持ちになった。
それ以来、ぼくは施設の中で過ごした。大人達はぼくに「蓮藤蘭太」という名前を与えた。
大人達はぼくの質問には基本答えた。外の世界のことも教えてくれた。だが外のことはとても夢を見れる内容のことではなかったので興味が湧かなかった。知る気にもなれなかった。
ぼくは多分、いやある意味満たされていたのだろう。だからあの時、見過ごすことができなかった。
2年後のある日、ぼくは大人達からもらった単独時間を利用して施設のいろんなところを見て回っていた。そしてとある部屋で見てしまった。
羽を背中から生やした水色の髪とアクアマリンみたいに澄んだ青色の目を持った自分と同じくらいの大きさの女の子が1人の大人に殴られ、蹴られていた。
慌てて辞めさせ引き離してやったが、大人からは憎むような視線、女の子からは警戒の視線を向けられ、ぼくはなんともいたたまれない気持ちになっていた。
そして後日。施設の一角で、爆発が起きた。慌ただしく走り回る大人達のどさくさに紛れ、爆発の起きたところへ行くと、例の女の子が水を周りに漂わせ怒りに震える表情をして大人と睨みあっていた。
見た感じ、暴れ出した女の子を大人達が処理しようとしているようだった。だがなんだろう。女の子の表情にどこか「誰か助けて」という悲痛な感情があるようだった。
だからぼくはたまらず大人達と女の子の間に割り込んで、大人達の警告を無視して女の子に向き合い話そうとした。
だが、混乱したのだろう。女の子はぼくを敵とみなして自分で生成した氷の剣でぼくを貫いた。
そこで原因は不明だがぼくと女の子の心が繋がった。
しかし逆にちょうど良かったのかもしれない。心の中でぼくと女の子は水入らずの状態で対話ができたのだから。
その結果分かり合ったことでぼくと女の子は完全に繋がり、ぼくは7歳にして初めての共鳴変身を遂げた。
変身を解いたとき、女の子は先程の自分と同じくらいのサイズとは異なり手のひらサイズになって再度現れた。
もちろん大人達は驚いたが、それ以上にどこか安堵しているような表情をしていた。
その後大人達は言った。
『あそこで君はあの妖精と契約し、蓮藤蘭太という水の能力者が誕生した』
と。
ちなみに例の女の子はルル・イーリアという名前を持っていたのでぼくもそう呼ぶことにした。
そのまた後日。今はぼくたちとなったぼくのところに知らないおじさんがきた。どうやらその人はこの施設のトップらしかった。
「この子が龍の子か?」
いきなりそう言われた。その時ぼくは自分が「文字通り龍の子ども」なのか「龍に連れられて預けられたからそう呼ばれているだけの子ども」なのかがわからなかった。
「そうです。『王』」
「ふぅむ…」
と言ってさりげなく腕で凪いできた。凪ぐといってもものすごい勢いな上明らかに首を狙っていたのでまともにくらえば死ぬのは必至だった。
だが反射的に危険を察知してぼくは避けていた。それと同時にそのおじさんは笑い出した。
「ハハ…!コレを避けるか!どーせ殺られちまうだろなと思ってたが、気に入ったぞ!」
不意打ち避けただけでこんなに笑うなんて頭おかしい人…と思っていたが、傍らにいた大人が耳打ちをしてきた。
「あの人の不意打ちを避けれたのは現状君だけだよ。他の子はみんな避けきれなくて首を折られて死んでいるんだ」
とてもゾッとした。この人まじキチガイじゃないの?と思った。
だがおじさんが次にとった行動は、ぼくの頭に手を置くことだった。
「お前になら任せられそうだ。『怒りの厄災』の権限を」
「…は?」
意味わかんね、と思った。
ぼくは素っ頓狂な声を出した。
「『王』!?正気ですか!?いくら不意打ちを避けたからってそんなあっさり厄災級能力権限を与えるというのはどうかと思います!」
まーそうなるよねー、とぼくは思っていたが例のおじさんは笑い顔を一気に冷えさせた。
「…文句あんのか?権限を与える相手を選ぶのは他でもないこの俺だ。ンで、こっからは俺とこいつだけで話す。出て行け」
「…はい」
きぃぱたん、とおじさん以外の大人達が出ていったあとおじさんはぼくに話し始めた。
内容は、
・厄災級というものがあり、君にはその1つの「怒りの厄災」を担当してもらう。
・なぜこれなのかというと、これの枠が空いていて、ちょうど代わりを探していたから。
と言ったものだった。
去り際におじさんは「大丈夫だ。君なら使いこなせるだろうよ」と全く根拠のなさそうな言葉を残していった。
そしてその時を境に、突然ぼくの生活は変わった。
後日手術室のようなところへ連れられ、険しい表情をした大人から話を受けた。
「『王』より我々に通達がありました。内容は君に我々が研究して発明した実験の数々を付与することです」
「?」
「単純に言えば、今から君に我々が生み出した能力を身につけてもらうということです」
「…うーん、でもなんで?」
「あの人曰く、『来たる【終わらぬ戦争】を終わらせるための希望を作る』ということらしいです」
ですが、と大人は続けた。
「こんなことを言っていますが、我々にできるのは君に力を与えることだけです。それをどう使うかは正直君次第です。平和のために使うか、滅亡のために使うか、全ては君の選択に委ねられます。そんな重荷を背負うことになりますが、君には絶対受けてもらいます。選択権はありません。何せ『王』の命令ですので」
不安な気分になったが、とてもNOとは言えない空気だった。
「ではまず『容量拡張実験』から行きます」
「なんですか、それ?」
「今から説明します。君はルルちゃんと契約みたいな感じのをして一体になってるから今はこれに分類できるからハーフフェアリーと同じとみなして、ハーフフェアリーは1人につき一体になれる妖精は基本1種類だけなんです。つまり1人1枠というわけです。ちなみにこれを無視して複数取り込もうとすると人間側が耐えきれなくなって最悪死にます」
「ひえっ…」
「だけど『王』は『【終わらぬ戦争】は1種類の能力を持つ者では終わりへ導けない。だから複数の能力を複合して使える者が必要だ』と言っています。そこでできたのが『容量拡張実験』です。これは対象者に処置をしてその枠を2つ、可能なら3つに増やすことで1人で複数の能力を使えるようにするというものです。わかりましたか?」
話は聞いたが、やっぱりNOと言えない状況だったのでぼくは仕方なく頷いてしまった。
「わかりました。受け…ます」
その日からぼくは沢山の実験を受けた。
だが不安が的中したのか、同時に苦痛も味わうようになってきた。
だんだん窮屈な感じを覚えるようになっていたのだ。いくつもの実験を受けたことで、その小さな体の容量は限界を迎えようとしていたのだ。
例えるならば体(具体的には精神)を蓋のされた容器とし、実験の数々を水としたときに、容器にどんどん水を入れていくと最後にはいっぱいいっぱいになり容器が壊れてしまうような感じで体も精神も持たなくなってきていたのだ。
狭い、痛い、苦しい…
そんな感情が日に日に募り、ぼくはついに頭痛と心臓の痛みに襲われた。
「がッ!ああ、うぐぅ…!」
目がくらくらし、意識が、遠のいていった。
暴走の予兆だった。
ザーッというノイズと共に視界が暗くなった。
どうも、どらっごです。
ぬぅぅん、
「こんな感じで書こう〜」
って書いてくとなんででしょう、すっごく話数伸びる()。
まぁ、いいことだと割り切っておきますね。
ちなみにタイトルに「(前)」と書いてありますのでもうすこしコレ続きます(予告)。
あと、記憶、つまり過去の話なので蘭太くんの一人称が幼さを出すため「ぼく」になってます。多分違和感はないはず、うん。
ではでは、また。




