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13・・・「怒りの厄災」

13話、ほないくで〜



「同士よ!」


奴は、スチールはそう言った。


「それは…俺もお前らも厄災(ドラゴン)級だからか?」


「ビンゴ!まさしくその通りだ!つっても今回は遊びみたいな?そんな感じだから?」


「遊び?そんなのに付き合ってる暇はない!」


「なくたってやるんだよ」


蘭太が拒否の意思を見せた途端にスチールは冷めた声になった。それはまるで熱された鉄が冷えて固まるかのように。


()()()()()()()()()()んだよ。それにな」


そこでスチールは一呼吸し、


「そいつら『隣の者』を拘束してんのは…、俺たちなんだぜ?」


蘭太の左の黒目が仄かに赤く光る。


「それはつまり…どういうことだ?」


「どういうも何も、…いや、まず俺らの紹介から始めようか」


怒ってはいるもののまだ蘭太は自分を抑えている。スチールらの話を今は聞くべきだと、そう考えているのだ。


「まず俺はスチール。鉄の厄災級能力者だ。そして『欲望の厄災』でもある。…んでこいつはグラビティ。あー、こいつは今回お前には関係ないから省く」


「おい…」


自分もついでに紹介してもらえるのかと思っていたグラビティは少し不満を見せる。が、


「いいじゃねぇか。お前には禁忌どもの相手してもらうんだから」


スチールは流した。


「チッ、仕方ない。あとで自分でやっておく」


「さて、続きだ。俺は厄災級という特性上いろんなところで戦った。だがなぁ…どうにも満たされねぇ、まあ当たり前なんだがな、禁忌風情が束になってるだけだしな。だから欲してたわけよ、『なんか自分と同じクラスの奴と戦えねぇかなー』って。そしたらなんと!舞い込んできたんだよ!」


そこで蘭太を指差し、


「水の厄災級能力者、まあお前だな、が現れたっていう情報が!こりゃ会うしかねえだろうよ!?戦うしかねぇだろうよ!?」


「それだけのためにこいつらを、『隣の者』達を拘束したのか!?」


()()()()?十分じゃねぇか。俺の『強者と戦いたい』っつー我欲を満たすための道具に過ぎねぇんだからな!」


「お前…!」


ふざけんな!と蘭太が言いかけたところで、


「貴様…!貴様ァ!!生き物を蔑みすぎなんだよぉぉぉ!!」


という絶叫を轟かせてケルベロスがスチールへ突っ込んだ。蘭太は咄嗟に「待て!」と叫びかけたが時すでに遅し。

そして、対するスチールは、


「はあ…、共鳴変身」


と言った。

するとスチールを囲むように地面に円ができ、そこから真っ赤に溶けた鉄が滲み出るように現れ、スチールの体を覆う。

その鉄は次に4本足と1対の翼を持つ龍の姿を形どり、前部分が横に開くように分かれる。

前部分は中にいるスチールの頭部・肩部・胸部・脚部の装甲になり、残った後ろ側の鉄は背中部分の翼・腰部と腕部の装甲になる。

そして変身完了と同時に衝撃波が発生する。


距離が思ったよりあったらしく、変身までにケルベロスはスチールの所へたどり着けなかった。

衝撃波で一瞬怯んだがそれでもすぐにスチールへの突進を再開した。倒すために。


…だがこの場にいた誰もがこの時でも、後からでも、この怯んだ時に下がればよかったのにと思うことになる。


スチールの頭を噛み砕かんと大口を開けて来たケルベロスの真ん中の頭をスチールは掴んだ。次に自らの装甲から伸びた複数の腕のようなものが左右の頭、前足、後ろ足を掴み、完全に動きを封じてしまった。


「がっ…なん…だ!?これ…!」


ケルベロスは抜け出そうとするが鉄の腕はビクともしない。

そしてその状態のままスチールは冷えた声で言う。


「ケモノ風情がしゃしゃり出てくるからこうなんだよ。俺が興味あんのはお前じゃなくてあの『怒りの厄災』だ」


そこで視線を蘭太に向け、


「ああ、そうだ、『怒りの』。お前厄災級なら知ってるよな?厄災の特権ドラゴンズプリヴィリッジの、《生体干渉能力》」


『怒りの』と呼ばれたことに違和感を感じた蘭太だが、そんなことよりも嫌な予感の方が(まさ)った。


「お前、何するつもりだ?!」


「まぁ聞けよ。んで生体干渉能力だが、個々の能力によって干渉の仕方が違うんだぜ?例えば俺だが…あ、いやその前に…。問題!大半の生物の体の、特に血液に含まれてたりする、減ってしまうと生命維持や健康とかに大ダメージな物質ってなーんだ!?」


わざわざクイズ式にしてきたが、すでにスチールの能力が分かる時点で答えは1つである。だがここで答えると話が進み最悪ケルベロスが…。

そう思って口を開くのを躊躇っていた蘭太だが。


「あい、タイムオーバー!正解は、鉄分でした!」


話は勝手に進んでしまう。


「で、だ。もし生体に干渉して鉄分を増殖させて鉄として増やしていけば…?どうなる!?」


まずい。させてはいけない。


「!!やめろ!待てーーーーーーーー!!!」


「さあ!ショォォォォウタァァァァイム!!!!!」


やめ、ぐああぁぁぁぁ!

という声とともにケルベロスが悶える。だがそれもほぼ一瞬の出来事で、次第に声がなくなり、体の中から突き破って出てきた鉄が逆に体を覆うように大きくなった。

そうこうして出来上がったのはミサイル型の鉄塊だった。


中々グロテスクな光景である。故に禁忌能力者の中には吐きそうになるも者や現に吐くものも現れた。


だが自分の能力だから慣れている故、そんなことを見ることもせずスチールは出来上がったミサイルを横に置いて続ける。


「はい実演解説終了!いかがだったかな?俺の能力は?」


凄かったです、などとはとても蘭太は言うつもりにならなかった。

蘭太の脳裏にはケルベロスの涙交じりの声が響いていた。


『俺らは生きるのに必死なんだよ!』

『生きることが最優先なんだ!』


「あぁあ…、ぁぁぁぁぁ……」


蘭太は俯き、自分の体を抱いて震えていた。怒りと、恐怖の震えだった。

怒りは、生きようとしていたケルベロスを無下にも殺したスチールへの。

恐怖は、厄災級の力への。


蘭太も生体干渉能力で人を殺しているが、あの時と今回では違う。

あの時の光の能力者は自らの命を捨てた。蘭太が警告した時にも自ら死ぬほうを選んだ。

だがケルベロスは死を拒否していた。生きることを望んでいた。なのにあの鉄の能力者は自らの欲望のために使い殺した。


こいつは許さない。後を追わせて謝らせてやる…!


そうしてどこかで、蘭太の理性の届かないところで何かがプツンと途切れる音がした。気がした。


「グルルルゥゥゥゥ………」


蘭太の喉奥から龍の唸り声のようなものが漏れる。


「あ?」


「ゥゥゥ…貴様ァ…貴様ぁぁぁぁぁ!!!」


顔を上げた蘭太の右目の黒目部分は鮮血のように光っていた。

ということがわかった時には一筋の赤く細い光の尾と爆音を残し蘭太の姿が消える。

直後、スチールの体が吹っ飛び壁にぶつかって止まるが壁は壊れた。


「がはッ!なんだコレ!バケモンか?!」


スチールは鉄の能力者であるため装甲も強固である。変身能力者の属性の中での防御力はトップクラスだ。核爆弾級の攻撃でも耐えうるほどの。

それを壁が壊れるほどぶっ飛ばした蘭太は規格外である。


「そうかァ…やっぱ破格だ…『怒りの』ぉ!」


いきなり凄まじい攻撃を受けたにもかかわらずスチールは喜ぶような声を出した。


「これだ…!こういうのを望んでたんだよぉぉ!!」


スチールの、蘭太と同じく金色に輝いていた右目の黒目部分がわかりづらいが黄色に光り、同じように動くと光が尾を引く。


「ギャハハハハ!!!もっと!もっとだ!!俺を満たしてみろよォォ!!」


「オルルァァァァァ!!!!!」


赤と黄色の光がぶつかり巨大な衝撃波が発生する。


ーーーーーーーーーーーーー



火鉈達は感情のままにぶつかる異常なほどの暴力の嵐を唖然と見ていた。


「あれが…厄災級…」


「『怒りの』はリミッターを解除しきれていないのか全力は出しきれていないがな。スチールは解除しているが出しているのは半分ほどだし」


彼方がぽつりと言葉をこぼすと意外なことにグラビティが答えた。


「さて、『殺すな』と言われているし俺も殺しに執着はないから殺しはしないが、お前ら禁忌の相手をしてやる。対価として楽しませろ。この『飽きの厄災』をな…、共鳴変身」


唱えた瞬間グラビティの周囲の空気が歪み、何故か黒い風が吹き荒れる。

その風はグラビティを包み込み見えなくした後龍を形どる。

風が解き放たれたとき、グラビティは黒い装甲を纏っていた。



どうも、どらっごです。


だんだん戦闘になってきました!かも?

ボクが1番楽しみだったりします(笑)


先を知っているから?そんなの関係ありませんよ()


ではでは、また。

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