12・・・「隣と厄災」
戦闘?んー戦闘…多分戦闘ですね。
では行きます。
「へばぁ!!」
火球がヒットし、蘭太がぶっ倒れる。
が、倒れた蘭太の前には水でできたバリアのようなものがあった。とっさにルルが作ったのだ。
といっても火球が当たって悲鳴のような声が響いたのだ。驚きや心配の大声があってもいいはず…なのにみんな落ち着き払っていた。
「ふむ、まあ大丈夫だと思ってたから特にびっくりはしなかったな」
「ちょっと待って酷くない!??バリアなきゃ顔焼けてるよ!」
「お前ならそういうの防ぐの朝メシ前だろ?」
「いやいやいやいやいや!みんな過信し過ぎ!!」
とまたもぎゃあぎゃあ言い合っていると、
「チッ、ピンピンしてやがる。不意打ちで1人は殺れると思ったのによ…」
という不機嫌そうな声が聞こえた。その声の主はというと、
「!?3つ首の犬型…お前がケルベロスか!」
いち早く奇襲に気づき、かつそれをしたものを見つけた剛牙が尋ねた。
「ああ、そうだが。だからなんだ?」
そう。探していたケルベロスだった。
ちょうどいい。ここで話をつけて帰ってもらおう。
そう思った火鉈は口を開こうとしたが、
「不意打ちで殺り損ねた以上もう戦うしかねぇな…、お前ら、行けや!」
それより早くケルベロスが仲間を使って攻撃を始めた。
ケルベロス以外の「隣の者」は、蘭太以外の能力者に襲いかかった。対する能力者は変身して応戦する。
残された蘭太はぽけーっとしていた。
「…あれ?俺だけ戦いのお仕事なし?」
「ンなわけ…ねえだろが!!」
そこへ同じく残されたケルベロスが襲いかかってきた。蘭太は生身のまま対応しようとしたが…、
『頭が3つ、前足2本、合計5つ…!腕だけじゃ足りない!』
ケルベロスの方が圧倒的に一度に繰り出せる攻撃の数が多いことにやっと気づいた。だから、
「ルル!」
「うぅぅーん…!OK!」
「っしょい!共鳴変身!!」
やむなく変身し、ケルベロスの前足を腕で、左右の頭を手のように広げた翼爪部分で抑える。
勢いが強かったのか、ドゴォン!という音が響いたが、蘭太は後ずさらない。
ケルベロスはガチンガチンと残った頭で蘭太を噛み砕こうとするが左右の頭を抑えられているため届かない。
「ッ!厄災級!?クソがぁ!」
「待て待て!いきなり殺しに来るな!大体なんで会って早々に戦いなんだ!?こっちは話をしたいだけだ!」
「るせぇ!どうせお前らと話したところで俺らが追いやられるだけだ!」
「……!」
蘭太少し締め付けられるような気分になった。確かに話して帰ってもらうといってもそれはある意味追い出しているのとあまり変わらない。
ちなみに先の大戦ではハーフフェアリー以外の人間は滅び、「隣の者」とハーフフェアリーや戦争とは無関係な動植物達がわずかだが残った(ちなみに動植物は原理不明の復元にて大多数が元に戻っている)。純粋な「人間」と「隣の者」では「隣の者」のほうが屈強なのだ。
その彼らを圧倒したハーフフェアリーは自分達のテリトリーを取りすぎた。故に現在ハーフフェアリーと「隣の者」は個人差はあるもののぎくしゃくした関係になり、今のような問題に陥ることがある。
「それに俺らは帰れるもんならとっくに帰ってる!それができないからこんなとこにいんだ!」
「…え?」
「帰れない」とケルベロスは言った。なぜ?どうしてそんな状況なのか。
「どういうこと?」
「どういうことも何もねぇ!俺らは捕まってんだよ、たった2人のハーフフェアリーにな!だせぇだろ?!」
「いや、ださいかはこの際どうだっていい、それよりどいつだそいつは!?」
いつしか蘭太は「2人のハーフフェアリー」のことに1番関心を示していた。裏がいたのだ。
蘭太の問いにケルベロスは答えると同時に拮抗状態を振りほどき距離を取る。
「お前みたいにドラゴン様の翼みたいなのを生やす野郎どもだッ!どうせ知り合いだろ!?」
ドラゴン族は「隣の者」の中で最も高ランクな部類に入る。故に「様」のような敬称をつけられているのだろう。
さて、2人というのは龍の翼を持った能力者ということだろうか。だが蘭太は自分以外にそんな特徴を持った者を見たことがない。
「いや…、知らない!」
「ふざけんな、白を切るなぁァァァァ!!」
蘭太の返事に激昂し、ケルベロスが怒りに任せた攻撃をしてくる。が、今度は蘭太は動かずただ攻撃を受け止めている。
受けてはいるのだが攻撃の衝撃はすべて装甲で分散させられているため蘭太は吹っ飛びもしない。
それにもかかわらず蘭太は顔をしかめていた。
『俺と同類の奴がこういうことをしている…?この力はそういうのに使うものなのか?いや、違うはずだ…じゃあなぜ…?』
ただひたすらに迷っていた。蘭太は長い間施設にいた。家族というものはいるらしいが今まで一度もあったことがなく顔の輪郭すら全く想像がつかないほどだ。そして閉鎖空間にいて、かつ自分と考え方の似た仲間達といたはずだから蘭太は若干考え方の多様性に疎いところがある。
「俺らは本当だったら食料を集めて故郷に帰って生活を続けるはずだった!なのに捕まったせいでせっかくとった食料は全部無駄遣いするハメになった!全部あいつらのせいだ!」
結構力を込めたのだろう一撃が無抵抗の蘭太に炸裂し、蘭太は少し後ずさる。
「だから、あいつらと同類のお前を殺して、あいつらを絶望させてやる!」
そうだ。確かに強すぎて害をなすのならばいっそ消えるべきだ。だが何かがずれている。そしてそれに薄々気づいている。
それに、蘭太は約束した。今一緒にいるルルと、そして仲間と。
「チッ…!生憎だけど、俺は死ねない!」
蘭太はケルベロスの次の攻撃をギリギリのタイミング・動きでかわし、がら空きの腹部を殴った。
「ぐはっ!」
まず上方向に殴りを入れて持ち上げた後に下方向へ放る、つまり上に凸の放物線を描くように殴って地面叩きつけたのでそんなに遠くまでは飛んでいない。せいぜい2メートルほどの距離だ。
反撃をモロに受け、むせているケルベロスに向け蘭太は思ったことをぶちまける。
「お前ふざけんなよ!?何で気に食わねえ奴への反撃が、全く関係ない奴に当たることなんだ!?それは自分が相手より弱いって自分から認めちゃってるじゃないか!そんなのでお前あいつらのリーダーなのかよ?!笑い事にもならないぞ!」
それを聞いたケルベロスは姿勢を直して反論する。
「それはお前が厄災級で強いから言えることだ!俺らは強くもねぇ、だから生きるのが最優先なんだよ!生きるのに必死なんだよ!お前には分からねえ、俺らとお前じゃ立場が全然違うからな!!」
事実だった。ただでさえ「隣の者」とハーフフェアリーの時点で立場が違うのに、ハーフフェアリーの上位、禁忌レベルよりも上の厄災級である蘭太と「隣の者」のケルベロスでは段違いの差がある。
…だが、それでも、それでも蘭太にでもケルベロス達の主張は分かっていた。
すなわち「ただ生きたい」。
自らに与えられた生が、意味あるものだったということを証明、あるいはそうだと気づきたいその一心でいるのだ。奇しくもそれは蘭太と重なっているような気がした。
「お前らには分からない!特定の場所に行けば食料が安全に手に入るようなお前らには俺らが定期的に危険をおかして食料を取りに行く気持ちなんてわかるわけがない!」
ケルベロスの怒号が響く。
「だから大人しく、殺されろッ!!」
そう締めて再度、今度は蘭太の首筋に狙ってかかろうとしたケルベロスと蘭太の間に……
「おおっと、そいつぁ行けねぇなぁ」
という声とともに小さな、だが1平方メートルほどの鉄のプレートが割り込むように刺さった。
咄嗟にプレートが飛んできた方向を見ると、2人の男がいた。その片方が頭を掻きながら喋る。
「いやーあっぶねー、牽制牽制。まあ犬畜生に厄災級は傷1つ付けられねぇがな?」
蘭太の翼を見て判断したのだろう。だが男は恐れるでもなく、むしろ喜んでいる様だった。
それを聞いたケルベロスは恐れを抱いた声を絞り出し、蘭太が反応する。
「スチール、グラビティ…!」
「スチール・グラビティ…?なんだお前?」
さっき喋っていた片方の男が調子狂うとばかりにコテッとギャグアニメでありそうな反応をし、もう片方は顔を横に向けため息をつく。ケルベロスはありえないというようなよくそんな反応できるなというような複雑な表情をして蘭太を見ていた。
そして…、
「馬鹿か?お前?」
「はあ!?」
「俺がスチール、こいつがグラビティだ。まとめんな!」
まず自分を指差し、そのあともう片方の男を指差した男はそう名乗り、
「まあそんなこたぁどうでもいい。俺はお前に用がある、同士よ!」
蘭太に向け、「同士よ」の部分で手を広げスチールはそう言った。
どうも、どらっごです。
最近思ったことあります。1週間ごとを目標にっていうの完全にガン無視してるねってことです。
でも…、まあ早まる方で破ってしまっているから大丈夫でしょ。遅延で無視っているわけでもないし多分(`・ω・´)
ではでは、また。




