11・・・「到着」
11話の到着と題名がかけられてたりして?!(多分そんなことはない)
では行きます。
爆音が響く。
いつしか炎だけではなく雷鳴や地響きなども奏でられていた。
変身者は「隣の者」を圧倒していた。まあ当然といえば当然である。こうでもなければ先の大戦を終わらせられていない。
だが戦闘開始から1時間ほどが経っていた。圧倒しているには時間が経ち過ぎている方だ。なぜか。多過ぎるのだ。敵が。
「あ"あ"あ"!多い!ちゃんと戦闘不能にさせてるの!?」
「してるに決まってんだろ!純粋に多いだけだろ!つかキリねぇな!」
19人の変身者が戦っている中相変わらず蘭太だけ生身で戦っていた。
「つーか蘭太!お前まだ左手治らねぇのか?」
炎の拳で敵をぶっ飛ばして火鉈は尋ねる。
対する蘭太は回し蹴りで同じく敵を飛ばして、
「だってよルル!もう少し早くできない?」
「えええ?!待ってよ!もうすぐで終わるから!」
ルルに振った。
『安静にすれば30分ほどで完治するのに…』
ぶつぶつとルルは心の中でぼやきながらもせっせと治療する。
そして……。
「蘭太!終わったよ!変身いいね!?」
時が来た。
「ああ、わかった!」
蘭太とルルは手を合わせて、
「「共鳴変身!」」
叫ぶ。
ルルが蘭太に同化し水が噴き上がる。その水が龍を形どり装甲が形作られた蘭太に、翼を残し融合する。
変身完了と同時に衝撃波が発生し、建物のガラスが割れる。
「……あ。」
派手な変身に反して蘭太の口からはまぬけな声が出た。
久しく変身していなかったので忘れていた。厄災級の変身は衝撃波を発生させるということを。そして、
「おいいいぃぃぃぃ!!お前が街に被害出してどーすんだ!何のために俺らセーブしてやってたんだよぉぉぉ!!」
火鉈達が自分達が街に被害を与えないため火力を抑えて戦っていたことを。
「ごめんなさいぃぃぃ!!久しぶりで忘れてたんですーーー!!」
全力で蘭太は火鉈に謝る。他の変身者はそれを見てポカーンとしているようだ。
だが「隣の者」はそうとは限らない。禁忌能力者ですら苦戦する相手なのに、今それを上回る厄災級が現れたのだ。恐れしか感じていないはず。
ぎゃあぎゃあ揉めていた火鉈と蘭太だったが、蘭太が変身したことで「隣の者」達は大人しくなったことは事実なので、それを利用し今度こそケルベロスの居場所を聞き出すことにした。
それを実行すべく蘭太が彼らに近づいていく…が、
「……あれ、おかしいな。距離が全然縮まらない」
蘭太が近づく分だけ彼らは後ずさるので全く距離が変わらない。気がつけば蘭太は「隣の者」がさっきいたところにまで来ていた。近くには火鉈を除く変身者がいる。
「あの子達、完全に怯えてるね…」
雷花が話しかけて来たのだが、さっきまで殺そうとかかってきていたのに変身しただけでこんなに態度が一変するのか…、と蘭太は困惑していた。
「雷花さん、どうしよう。こんなんじゃ交渉も何もないよ」
「伝言役、しようか?」
「お願いします」
このままじゃ埒があかないので蘭太と「隣の者」の間の空間を雷花で埋めさせてもらうことにした。
「それで?なんて伝えるの?」
「えっとですね、『君達のリーダーのケルベロスとただ話がしたい。危害を加えたいわけじゃない。』とお願いします」
「わかったわ」
雷花は彼らの方へ行き、しばらくした後戻ってきた。
「『すいません生意気な態度とって本当ごめんなさいケルベロス様は製鉄所跡のところにいます僕らを殺さないでくださいお願いします。』ってよくわからないけどすごく涙目の早口で懇願された」
「……」
殺す気なんてないんだけどな…と蘭太は心の中でぼやく。だが、それより気になったのは、
「製鉄所跡…もしかしたら、不可解な金属音のやつと関係あるのか…?」
「さあ?」
「まあ行けば分かるか。『教えてくれてありがとう』って言っておいてください。ああ、後『この街からは出て。破ったらお仕置き』も追加で」
「少し物騒な気がするのが混じってるけど、まあいいや、わかったわ」
たったっと雷花が彼らの方へ行き、話した後、彼らは飛ぶように逃げていった。
「そんなに怖いもんなのかな…」
「当たり前だ。『厄災』のワードは伊達じゃない」
いつのまにか近くにきていた火鉈がそういった。火鉈はこの中では厄災級のことをよく知っている方だ。なのに。
「その割には近いよね、火鉈」
「リーダーだから見とかないといけないからな」
数分後。
事態の後始末をつけた蘭太達は製鉄所跡へ向かうことにした。すでに変身は解いている。
徒歩で行けなくない距離だったので歩いているのだが、
「……みんな飛べないの?」
「無理」
「えええ…」
自分の翼で飛べる蘭太にとっては退屈だった。
「なんなら先行くか?」
「それじゃ何のためのレイドなの」
「じゃあ頑張って歩け」
「うう…」
そんなことを言いながらも蘭太はレイドチームのメンバーと歩いていく。
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「あー…、チキンばっかじゃねえか」
スチールが寝そべりながら愚痴る。たった今街に行かせた「隣の者」達が撃退されたという報告を聞いた。
「無理もない。『怒りの』が1番恐ろしいからな。それにしても厄災級がいることは確定したな。空振りしなさそうだ。良かったな」
グラビティが言う。
これはある意味合っている。スチール達の行動はあくまで『怒りの厄災』が来るだろうという不確定な予想に基づいて行われている。もし外れれば全てがパーになっていた。
「ああ、良かった良かった。こいつら捕まえた甲斐があったってもんだ。どれ、行かせてやるか。おいケルベロス」
近くに居させられられていたケルベロスがビクッとする。
「仲間連れて、こっちに来る奴らと戦え。あと逃げるなよ?お前らに拒否権はない」
ケルベロスは抵抗しても無駄だろうと分かっているため黙って出ていった。
「さて、遊びはもうすぐだ…」
スチールは待ちきれない様子でガジガジと鉄を食っていた。
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「……ここ?」
「ここみたいですね」
一行は製鉄所跡の前に着いた。
使われていないからか所々に草が生えている。一見は大きな廃墟だ。中も広そうである。
「入るの?」
少しカタカタしながら彼方が言った。もしかして彼女はこういう系は苦手なのだろうか。
「入るしかないだろ。この中に奴、ケルベロスがいんだ」
「すっごく中で蠢いてるし呼吸の音とか聞こえるよ!?」
「聞かなきゃいいんだ」
「火鉈、結構暴論…」
彼方は能力の特性上風で運ばれて来る音などに敏感である。本人曰く「一度意識すると遮断はとても難しい」である。
その相手にやや無理なことをさせようとしている火鉈に対して雷花は少し呆れの混じったツッコミを入れる。
「でも、どのみち行かないと行けないし…どうする?ここに…」
「行きますよ!?『ここに残ります』なんて言わないからね?!」
というわけで欠員なしで製鉄所跡へ入っていった。
「…広場?」
入って見た第一印象はこれだった。製鉄所は工場のはずなのに、機械などは回収されたと考えてもなくなりすぎである。特に鉄物が少ない。不自然なほどに。あるとすれば残骸の鉄か下から覗く鉄の床などだろうか。
「うわぁ…何もないな…何者かが減らしてるとしか…」
剛牙が推測を立てる。それに蘭太が応える。
「何者か…って言っても、ケルベロ…いや流石に奴は食わないね、鉄」
ケルベロスといいかけたところでみんなから「論外」というような視線を向けられたため慌てて取り消す。
「オホン、だとすると他の『隣の者』の仕業かも」
「ここにはいねぇよ」
訂正しようとした蘭太に、今度は別の声がかかる。
そして火球が飛んできた。
「チッ!」
舌打ちして剛牙は避ける。
それを見て火鉈達はなんとか避けられたが蘭太は割と真面目に考えていたらしく顎に手を添え目を閉じていたので気付くのが遅れた。
だから、
「へばぁ!!」
火球は蘭太にヒットした。
ドウモ、読者サン。どらっごです。
戦闘描写はちょろっとやった…のでのびのびと会話回になるかなーとか思ってたんですがそうでもなかったです。多分次話ぐらいでバトるんじゃないですかね。
ではでは、また。




