10・・・「焔の爆音」
10話、行くぜ!
GWでちょっと加速できたぞ!やっぱり休日っていいっすね!
朝になった。
急造レイドチームの20人全員と、旧博多支部の幹部が広場に揃っている。
「みんな、こんな地方の一件のために集まってくれてありがとう。ところで、20人に及ぶレイドチームだ。各チームをまとめるレイドリーダーが必要だ。誰かなりたい人はいるか?」
幹部は、見知らぬ者同士のチームだからまとめ役が要る、という言葉は飲み込む。
昨日はそれぞれの自己紹介から決闘じみたことに発展してしまっていたためとてもレイドリーダーを決めることはできなかった。だが、その決闘じみたことのおかげでこのリーダー決めはスムーズに進もうとしていた。
ほぼ全員が蘭太の方を見た。『君の言うことなら聞こう』というふうに。
だが当の蘭太はいきなり向けられた視線に頰を引きつらせた。当然っちゃ当然である。蘭太は一度も指揮をとったことがない、指揮に関しては全くの素人である。正直やりたくないし、やりきれる自信が全くない。故に。
「ひ、火鉈、リーダーだよな?」
「お、おう一応この6人のな…?ってお前まさか」
「よし、みんな。俺は指揮に関しては右も左もサッパリでドン引きして張り倒したくなるほど素人だから俺のチームのリーダー務めてるこの影宮火鉈にレイドリーダーを任せる。それでいい?」
現状指揮系では信頼を置いている火鉈に任せることにした。別に火鉈は全力拒否はしていないので本人は一応は許可しているから、あとは他の人たちの反応次第である。
ゴクリという音が聞こえるほどの沈黙の後。
「いいんじゃないか?」
という声が聞こえた。それがトリガーとなり、賛成の声が上がった。蘭太の信任だからいい、ということなのだろう。
そこで、オホン、という咳払いが聞こえ、皆そちらの方を向く。
幹部の人だ。
「レイドリーダーは決まったようだな。ここで、今任務の説明をする。今回の目標は旧北九州のかつて製鉄所だったところを根城としている、ケルベロスを筆頭とした『隣の者』の強制送還だ。やむないときは武力行使もして構わない。だが…」
そこで幹部の表情が少し険しくなる。
「同所にて不自然な金属音と、まれに衝撃音が確認されている。イレギュラーな事態になるかもしれない。その時の判断はこちらでは難しいためレイドリーダーに任せる。」
「了解」
火鉈が答える。
幹部の言葉によりメンバーがざわざわするが、また咳払いの音で静かになる。
「静粛に。懸念の話だ。だが、頭の片隅にでも置いていてくれるといい。では出動。」
「「「了解!」」」
今度は全員が答える。
そしてレイドチームは支度を始めた。
数時間後。
「あがが…着いた…」
「へばってますね…、それでも厄災級なんですか?」
「うるさいやい」
移動で疲れ気味の蘭太を舞が弄っている。
一行は旧北九州の街へ着いた。一々旧博多とここを行き来するのもばかばかしいし、どれぐらい時間がかかるか分からないが日が落ちるまでには絶対に戻ってこれないのでここに仮拠点をとるのだ。それともう一つ理由がある。
1つちいさなホテルのようなものがあったのでそこの階1つ分をごっそり借りた。
そして1時間が経った頃だろうか。
外がやや騒がしくなっていた。よくよく聞いてみると破砕音や衝撃音だ。悲鳴が聞こえる
。応戦できなくはないだろうがパニックになっているのだろう。
火鉈が反応する。
「やっぱ人の多い街来るよなぁ!いくぞ!」
先程のもう一つの理由。それは相手が街に来るのが簡単に予想できるからだ。
彼らは慢性的な食料不足により必然的に多種に渡る食料の多く集まる街などを狙う傾向がある。そこに現れるであろうケルベロスをどうにかして一件を解決しようという寸法だった。
果たして、現場に着いた火鉈達は…。
「火鉈、ケルベロス、見当たらないよ?」
雷花の言う通り、目的のケルベロスは確認できなかった。
だが蘭太は、
「待って、もしかしたらここにいる奴らに聞いたらわかるかもしれない」
と言い、近くにいた「隣の者」に近づいていった。
「ねえ、君。俺たちケルベロスって子探してるんだけど、知らない?教えてくれたらこれあげるよ?」
話しかけ、持っていた携行干し肉を左手に乗せ差し出す。が、
「お前…奴らと似た匂い。ケルベロス様をいじめに来たのか。なら、その手食いちぎってやる…!」
と言い、ガブっと蘭太の手に噛み付いた。
「い"ッ!!痛い!このぉ!」
反射的に蘭太は片手でそいつの口をこじ開け、突き飛ばしバックステップで距離をとる。すかさずルルが水で傷口を洗う。
「大丈夫?!蘭太?!」
「いたた…うん、なんとか噛みちぎられずには済んだ…。けど、『奴ら』って…まさか…」
そこへ、火鉈達を含むレイドチームのみんなが駆け寄る。
「情報は得られなかったどころか攻撃されたみたいだな…」
火鉈が聞いてくる。
「うん、残念ながら」
「お前の餌付け戦法が失敗となると…、しゃあねぇ、手荒になるが、武力だ」
現在も街を荒らしている「隣の者」達を見据え、火鉈はフレイムと手を合わせ、
「共鳴変身!」
紅蓮の炎を纏った戦士に変身し、今や敵とみなした「隣の者」に突っ込んでいった。他の者もそれにならい変身してかかっていく。
「蘭太、私たちも!」
「いや、ルルは俺の左手の治療をお願い」
蘭太は変身を拒んだ。噛まれた着後に対処したのだが思ったより傷が深いらしく血が滴っている。このままでは悪い予感が当たった時に対応ができない。
「う、うん。分かった。でも蘭太も一応戦うんだよね?」
ルルも分かってはいるがこの状況で戦わないと言うのはなかなか危険なことである。
「ああ、まだ右も脚もあるからそれでやる」
といった矢先右側から気配を感じ、そちらを見ると敵が突っ込みながら攻撃を仕掛けて来ていた。
蘭太は一歩後ろにステップして避け、勢い余って前に来て体の左側をさらけ出しているそいつをまるで加速させるように左側へ殴り飛ばした。
軽くあしらったように見えるが、案外そうでもない。思ったより硬い。
「殴った感じ割と敵も強そう。流石にはぐれるのはまずいな。みんなと合流して戦おう」
左腕を使えないというハンデを背負っているためただでさえ不利な生身での戦闘にさらに拍車をかけられている。だから蘭太は変身者にフォローをしてもらうべく合流することにした。
そして、そちらを見ると、
ゴゴォオォォォォォォォォォン!
という爆炎とともに敵が飛んでいる。火鉈のものだ。
近づきつつ、迫る敵を蹴散らしながら見ているとやけに炎が目立つ。なぜかと思いよく見るとすぐに分かった。
他の変身者は1対1で戦っているに対し火鉈だけ多数を相手しているのだ。そりゃ広範囲攻撃の炎を使うから目立っていたというわけだ。
その火鉈の背後から忍び寄る敵が火鉈に飛びかかるところで蘭太は合流のための走りを助走にしてその敵に飛び蹴りをかます。敵がドーンと飛んでいく。
「あ!?ああ蘭太か、サンキュー、ってお前それで戦えんのか?」
「大丈夫、左が使えないだけでまだ3本あるから」
火鉈に、治療のためジェル状の水で覆われた左手を見せ、右腕と両足を軽く叩いてみせた。
火鉈は『こいつ俺の炎で暑くねえのかな』と思っていたが、まあ厄災級だし水の能力者だから大丈夫だろうとこじつけておいた。
「あんま無理すんなよ、死んだら元も子もねぇからな」
「あーうん、まあ死なないようにフォローしてね!」
「なんじゃそりゃァ!?」
そこからも蘭太は体術で、それ以外の人は能力で戦っていった。
「しっかし多いな!殺さねぇと何度でも来んのか?!」
「それはないはず!多分絶対数が多いんだ!全部でどんだけとかは知らないけど!てか殺すのは無し!」
ぎゃあぎゃあと敵を処理しながら喋っている火鉈と蘭太。舌を噛まないのが不思議だ。
勿論話す余裕があるから話している。多分他の変身者も同じようにやっているだろう。
変身して戦ってこそいるがあくまで「隣の者」の強制送還が目的である。殺処分が目的ではないため殺さない程度に攻撃している。
火鉈は迫る敵を炎の壁で牽制し、止まったところを壁を貫通した拳で殴り飛ばす。
「だー!めんどくせぇ!おいみんな!一体ずつじゃなくて複数相手取ってくれ!」
乱戦の中火鉈がレイドチームメンバーめがけ叫ぶ。聞こえているかは分からないが、気のせいか向こう側の戦闘音が大きくなった気がする。
「うし!こいつら黙らせんぞおらぁ!」
ひとまずこの戦いを片付ける。
そう決意し気合を入れるべく火鉈はもう一度叫ぶ。
アチャチャチャチャチャチャッチャー!!
どうも、どらっごです。
上のやつは分かる人には1発で分かると思います。
むむむ、もっと戦闘を濃くせねば1章の話数超えれないんじゃないか、そう不安に思ってます。なんとかしまする。
ではでは、また。




