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砂糖づけ姉弟

二人で見上げるクリスマスツリー

作者: 海獅子
掲載日:2017/12/24

ほぼ、一年ぶりの読み切り作品です。

今回、引っ越しの準備で忙しい上、スランプ気味でナカナカ上手く出来なかったのですが。

どうか、ご覧ください。


 点滅するイルミネーションが幻想的な、クリスマスイブの繁華街。


 そんな繁華街の、華やいだ通りを僕が歩いていると。




 「ねえ、ちょっと待って・・・」




 通りを歩く僕の後ろから、呼び止める声が聞こえた。




 「ん? どうしたの姉さん」


 「ケンちゃん、歩くのが少し早いよ〜」


 「ああ、ごめん、ごめん」




 僕の後ろで、女の子がそう言って抗議する。


 女の子は、茶色のコートと臙脂(えんじ)のスカートに黒いストッキング、それから()げ茶のブーツ。

ウエーブが掛かった長い髪をコートに入れた上に、首にはクリーム色のマフラーを巻き。

整った、可愛い系の綺麗な顔を少し膨らませて、不機嫌そうにしていた。



 この不機嫌そうにしていた女の子は、僕の姉である。


 今、駅前広場にある、巨大クリスマスツリーを二人で見に行く所だ。


 普段は歩幅を合わせて歩いているけど。

時々、注意が()れると、つい、いつもの自分のペースで歩く事がある。


 華やかな風景に気を取られている内に、そうなってしまったらしい。




 「えいっ!」


 「えっ!」




 姉さんの様子を見た僕は慌てて歩幅の合わせ、隣に寄り添うと。

突然、姉さんが僕の左腕に飛び付き、自分の腕を絡ませる。




 「ね、姉さん!」


 「へへへっ〜」




 腕を絡ませながら体を密着させ、頭を僕の肩に乗せた。


 姉さんの身長は頭一つ低いから、丁度、僕の肩に乗っかる形になる。


 また、僕の肘あたりに柔らかい感触を感じた。




 「ちっ、ちょっと〜」


 「こうすれば、一緒に歩けるでしょ♪」




 僕の反応を無視するかの様に、一転してイタズラっぽい笑顔になる姉さん。




 「もお〜」




 文句を言いつつも肩に掛かる重み、腕に感じる柔らかい感触、鼻先に(ただよ)う甘い匂いに。

僕は、まんざら悪い気はしなかった。


 若干、歩きにくくなったが。

それらを感じながら、僕と姉さんは駅前へと向かう。




 **********




 僕と姉さんは、近所でも評判の仲良し姉弟だ。

しかし元々は、血の繋がりが無く、親同士が再婚した際に姉弟になったのである。


 姉さんとは初めて会った時から、何故(なぜ)か気が合い、いつも一緒にいる事が多かった。 


 それは、思春期になってからも変わらず。

その余りの仲の良さのため、友人達からは”一線を超えるなよ”と、何時(いつ)もからかわれていたが。

彼らが言う言葉は、全くの荒唐無稽(こうとうむけい)な訳でも無かった。


 何故なら、僕は姉さんに姉以上の感情を持っていたからである。


 昔は、一緒にいると楽しいと言う思いだけであったが。

成長して、綺麗になっていく姉さんを見ている内に、それとは別の思いも芽生えていった。


 女性らしい膨らんだ胸、細い腰、大きなお尻を見ると、ドキドキしたり。

柔らかく、抱き心地の良い体を、いつまでも抱き締めていたいと思ったり。

滑らかな髪をずっと撫でたり、指で(もてあそ)んでみたくなったり。

その綺麗だけど可愛い顔を、ずっと(なが)めていたかったり。


 それらを感じている内に、姉さんに対する感情が次第に姉弟の枠を超えてしまった。


 一方の姉さんも昔以上に、僕に過剰に密着したり。

熱い視線で、僕を見つめてきたり。

あるいは、密着した時の反応を見て一喜一憂したりと。

明らかに、僕に対する態度が世間一般の、弟の物とは異なる物になっていた。




 **********




 「うわ〜、きれい〜」




 しばらく腕を組みながら歩くと、目的の駅前広場へと着く。


 陸上のトラックほどの広さの広場の中心に、高さ10mほどのツリーが立っていて。

イルミネーションの点滅とクリスマス特有のデコレーションが、冬の透明な空気の中、非日常的な雰囲気を(かも)し出しており。


 そのツリーの周囲を、カップルや家族連れを取り囲んでいた




 「ねえ、もっと近くにいこ〜」




 そう言いながら姉さんが、僕の腕を引いてツリーの方へと向かおうとした所。




 「きゃっ!」




 歩道の段差に(つまづ)いたらしく、姉さんが小さな声を出しながら倒れようとした。




 「あぶない!」


 「(ギュッ!)」




 倒れようとする姉さんを、慌てて僕は抱き止める。




 「・・・」


 「・・・」




 姉さんを抱き止めると、僕はその状態で固まったまま二人は見つめ合い。 




 「ご、ごめん!」


 「(ギュッ・・・)」




 しばらくして自分の状態に気付いた僕が、慌てて離れようとしたが。

今度は、姉さんの方が僕に抱き付き。




 「ねえ、ケンちゃん・・・。

 お願い・・・、お姉ちゃんをギュッとしてちょうだい・・・」


 「う、うん・・・・」




 僕を(うる)んだ瞳で見詰めながら、そう言って抱擁(ほうよう)懇願(こんがん)してきたので。

僕は、小さく返事をして抱き締めたままでいた。




 「後ろからギュッってして・・・」




 姉さんがそう言って立ち上がりツリーの方を見たので、僕は姉さんの腰を後ろから抱く。




 **********




 「ケンちゃん・・・、きれいだね・・・」


 「うん・・・」




 姉さんを後ろから抱いたまま、二人でツリーを眺めている。


 ツリー眺めながら、横からチラチラと姉さんを見た。


 (きら)めくイルミネーションの中にある姉さんの顔は、何時(いつ)もの何倍も綺麗に見える。


 姉さんはツリーを見て言っているが、僕は姉さんを見て言っていた。




 「ケンちゃんはお姉ちゃんを包めるくらいに大きくなったんだね・・・」




 姉さんは、前を向いた状態で前に回した僕の手を握る。




 「ケンちゃん、もっと強く抱いて・・・」


 「(ギュッ)」


 「はぁ・・・」 




 姉さんが更なる強い抱擁を要求してきたので、僕が強く抱くと。

感に耐えない溜息を漏らす。




 「ケンちゃん・・・、気持ち良い・・・」


 「僕も気持ち良いよ・・・」




 僕の抱擁に、姉さんがそう言ったら。

僕も姉さんの柔らかく抱き心地の良い体に、ついそう言ってしまう。 




 **********




 こうして僕は、抱き心地が良い姉さんを後ろから抱きながら、二人でクリスマスツリーを何時までも眺めていたのであった。






                   二人で見上げるクリスマスツリー 終

こんなやっつけ作品をご覧くださり、有難う御座います。

それでは皆さん、良いクリスマスお送り下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 他の読み切りもそうですが、らぶいちゃが感じられて良かったです。 [一言] その後の二人がどうなったのかが読みたいです。
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