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幻想新桜抄《霊幻想》  作者: 滝龍
3/3

第2話:地の底の騒動

遅くなってすいません…!

ヤバイ、書きたいもの多すぎて困る((


仕方ない、こうなったら年齢指定モノを(グシャッ!!!


霊夢「第2話、始まるわよ!」

「───あっはっはっはっ!中々やるねぇ、お嬢さん。気に入ったよ。」


 喜びに浸っていた時、境内に大きな声が響く。振り向くと神社の屋根の上に一人の少女が立っていた…かと思うと少女は飛び降りて、何事もなく着地し、此方へと近付く。

 容姿は茶色く長い髪に、二本の角。幼さい体でありながらも堂々としている。腰には瓢箪が見える。


「私は伊吹 萃香!経緯は少しだけ聞いてたよ。見ての通り私は鬼さ!」


 鬼らしい要素など正直角以外見当たらない…という事は流石に呟かず、私は尋ねる事にした。


「えーと…そうなると萃香…さんは、ここにいちゃマズイんじゃ…?」


「萃香でいいよ、それで、どうして?」


「どうして…って、巫女さんが妖怪を許す訳ないでしょ。」


「それなら大丈夫。霊夢は無害な妖怪を退治するなんて事、よっぽどの事がないとしないからね。

それより、ほら友達の証として、飲みなよ。」


「あ、これはどうも御丁寧に。…って、中身、お酒…?」


 そう言えば会った時から既に顔は赤く、千鳥足にも見えた。こんな子がお酒を飲んで大丈夫なのだろうか。いや、そもそも私も未成年だし。

 それを察したのか、萃香さんは笑って答える。


「外来人は皆ある年齢まで行かないとそう答えるんだね。ここじゃ年齢制限ないよ。霊夢だってまだ二十もいっちゃいない。

それに、お前さんはここで暮らすんだろ?」


 あー、まぁ、はい。と、私が濁しながら答えると、萃香さんは勝利を確信したかの様な笑みを持って続ける。


「それなら郷に入れば郷に従え…だ。ほら、飲みなって。」


「うぐ…それはまぁ、そうだね…。じゃあいただきます。」


 法律を蹴飛ばし、私は人生初めての飲酒をする。やや辛めだが滑らかに飲めた。


「あ、意外とイケる…。鬼は酒好きってイメージあるけど、萃香ちゃん見てるとそれで合ってるんだね…。…どうしたの?」


 ぽかん、と、口を開けていた萃香ちゃんはくっくく…と堪える様にして笑っていたが、やがて限界が来たのか盛大に笑う。


「──あはははははっ!!まさか、人間にちゃん付けで呼ばれるたぁ思わなかったや。飲め!どんどん飲め!」


「あれ?萃香あんた、いたの。」


 魔理沙さんを介護し終えた霊夢さんが現れる。眠たそうな顔をしており、ここだけ見ると平和な場所なんだなぁと感じた。

 それは私と霊夢さんが異変を感じある方角を睨んだ時までだが。


「どぉした、お二人さん?…ん?」


 萃香ちゃんもそれに気付いたのか同じ方角を見ると、その先で爆発音、次いで地鳴り。そして私達の見る先には黒い煙が吹き出ている。


「あれは…?」


「今のは…きっと地底からね。何が起きてるのかは分からないけど、ほっとけば悪霊がこっち…地上に大量に漂う可能性があるわね…。」


 再び戻ると今度はお払い棒と何枚かの札を持って現れる。そして飛び立とうとした時、思い出したかの様に霊夢さんは振り返り、私に聞く。


「…神奈も行ってみる?異変や事件を見た方がこれからの生活でどう動くか、ためになるかもよ。」


 成程。それに地底という世界は非常に興味深い。少なくとも損はないだろう。


「はい、是非…あっ、でも魔理沙さん…気絶したままですよ?流石にそんな魔理沙さんを一人置いていくのは…。」


 それもそうね…と唸りながら悩む霊夢さん。ほれを見て、これ以上時間や迷惑は掛けられないと感じた私は諦めようと口を開いた所で何かが空を通過する。

 それに気付いた萃香ちゃんは見上げ、いい事思い付いたとでも言わんばかりの顔をして、大きな声を出す。


「お~い、天狗ぅ!ちょっとこっち来いよ!」


 天狗と言われた空にいる人は一瞬止まると、高速で此方へと向かう。着地する際に強い風が吹き荒れるが、二人とも動じない。

 新たに現れたその人は素早く萃香ちゃんに近付く。


「…こ、これはこれは萃香さん…今日はお日柄も良く…ぐえっ!!」


 鳥の様な羽の生えた少女の挨拶を無視して、首に腕を回して居間へと連れていく。萃香ちゃんに敬語を使っている所、何か上下関係があるのだろうか。少しすると萃香ちゃんだけが戻って来た。


「魔理沙と神社の事は天狗の事に任せた。…んだけど、神奈、その条件としてお前を取材したいそうだ。あれを片付けたら、悪いけど受けてくれないか?」


「まぁ、それ位なら大丈夫だよ。」


「よし、それじゃあ改めて行くわよ。神奈、あんたは思った事がその通りになるのよね。なら空飛ぶ事をイメージして。空の移動の方が早く着けるからね。」






 ───私達が地底へと移動するとその先の景色は土煙と火の手が見える。時折する爆発音が先程の『平和』という言葉を霞ませる。


「普段はこんな風じゃないんですよね…?」


「えぇ、こんなになってる事なんてそうないんだけど…。………アイツは…。」


 誰かを見つけた霊夢さんと萃香さんは急降下し、私も後を追う様に降下する。そこには金髪のロングの女性。そして一番目を引くのは赤く長い角。もしかすると萃香ちゃんと同じ、鬼なのかもしれない。


「勇儀、こいつぁ一体どうなってるんだ?」


「………。」


 突っ立ったままの勇儀さんと呼ばれた人は萃香ちゃんの問いに答える事なく、黙っている。


「おい、勇儀?眠いのか?」


 目の前で左右に手を振る萃香ちゃん、それに気付いたのか、勇儀さんは髪を揺らし、薄暗い顔にある目を動かした。

 その目に、私は恐怖さえ感じ、叫ぶ様に声を出す。


「…!萃香ちゃん、伏せて!」


 萃香ちゃんが此方を振り向こうとしたその時、勇儀さんの蹴りが脇腹に直撃。一瞬静止した様に見えたが呆気なく吹っ飛んで、家屋にぶつかっていった萃香ちゃんの姿は見えなくなる。私の脚は自然と萃香ちゃんの吹き飛んだ方へと向かうが、霊夢さんに止められた。


「待って、神奈!大丈夫…萃香はあんなのでやられはしない。すぐに来るだろうから私達は、勇儀があぁなった原因を調べる為に、先に進みましょう。」


「…でも、あんな人がいたら簡単に通れる訳…ッ!」


 視界が少し薄暗く感じた私達はすぐにその場から離れる。と、先程まで立っていた位置に勇儀さんが着地。大地に亀裂が走り、立っていられない程の揺れに襲われる。

 あのパワーでこの速さ…切り抜けるのは本当に難しいだろう。などと考えている内に次の攻撃が迫る。バランスを崩していたが故に避けられないと判断し、腕を交差させ防御の体制に入り、目を瞑る。


 強い打撲音が、響く───────だけで、覚悟していた衝撃は来ない。うっすらと目を開ける。




 そこには、堂々と立っている萃香ちゃんがいた。髪をなびかせ、鎖を揺らし、傷と泥だらけの細く小さな体から溢れ出る妖気。微笑みすら見えるその顔に少し見とれていた。


「神奈、ここは私に任せて先に行ってくれよ。私はアイツと…ちっとばかし遊んでくるからさぁ…!!」


 恐らく萃香ちゃんに殴られたのであろう、勇儀さんは立ち上がり、前に姿勢を傾ける。

 が、その時には萃香ちゃんは爆風と共に駆け、拳を放つ。その拳は勇儀さんの腹を捉え、先の一撃よりも遠くに吹き飛ぶ。


「萃香ちゃん…強いんですね。」


 合流した霊夢さんに話し掛けると霊夢は苦笑いしながら答える。


「まぁ…種族が鬼だしね。それに能力もフルに使ってんでしょ。」


「能力…?萃香ちゃんの能力って一体…?」


「それは飛びながら話すから、先を急ぎましょう。」


「はっ、はい!」


 集中し、ふわっと浮かぶと一気に高く飛ぶ。そして、こうなった原因が分かる可能性の高い場所、地霊殿へと向かう事になった。

 その最中に萃香ちゃんの能力についての説明を聞く。


「萃香の能力は『密と疎を操る程度の能力』。つまりある対象を集めたり、拡散させたりする事が出来るの。」


「でも、さっきの動きは?あれは鬼特有の早さなんですか?」


「あー…萃香が風を作りながら攻めに行った時の事?…あれは多分、大気を集めたとして…そしてそれを爆発的に拡散させる。それの推進力であんなに早く動けたんじゃない?…っと、止まって。」


 霊夢さんが突如、私の前に手を出して止める。見ると不思議そうな、警戒してる様な顔をしている。


「れ、霊夢さん……?」


「…あいつもか、とうとう雲行きが怪しくなってきたわね……。」


 霊夢さんの視線の先、そこには天狗さんと同じ、黒い鳥の羽を生やし、右手に大砲の様な物が装着されている。そしてまた、あの人の"首にも"首輪がある。


「あの人は…?」


「この地底にある地霊殿って所の主のペットの一人。…ねぇ、神奈、ここは私に任せて先に行って。コイツ倒したら私も行くから。」


「でも…!」


 その続きの言葉は熱いレーザーによって遮られる。次のレーザーが射出された時には霊夢さんは札を取り出し、防御用の結界を張る。


「早く行って!」


 レーザーが消えるとすぐに結界を解いて突っ込む。空中での激しい肉弾戦が始まり、それは遠くにいる私でも聞こえる。

 霊夢さんは、負けない。萃香ちゃんもきっと………。会ったばかりでも信頼の出来る二人をそれ以上見る事なく私は地霊殿へと向かった。




 神奈がしっかり地霊殿へと向かったのを確認すると、睨む空と対峙する。

 霊力を纏った札を投げる。空はそれを躱すが、追尾型の攻撃なので避けてもキリがない。


 空は素早く上昇し、下から迫る札を制御棒で全て焼き払う。その隙に私は殴りにかかる。

 勿論下に気を取られていた空は連打に対応しきれない。防御の姿勢のまま耐えていたが、空の妖力は時間が経つ度に高まっていく。


 マズイ、私がそう思った時には既に空は攻撃に出た。妖力で出来た熱風を全方位に放つ。その風の強さに堪らず吹き飛ばされ、岩壁に叩き付けられる。持っていた札が散らばり、宙を舞う。

 追撃を始める空が此方へと飛翔。外す事のない射程距離を取るか、それとも肉弾戦か…。


「…まぁ、そんなの関係ないんだけどね。」


 霊力を使い、私と空の間にある札を操作、規則的に動く札は空を囲み、やがて動きを寸とも出来ぬ程までに封じ込める。

 霊力の札に縛られた空を確認し、ゆっくりと体を起こして近付く。


「…あんたらが誰に何をされて、こうなってるかは分からないけど、少し眠って貰うわよ。」


 一枚の札を取り出す。そして天高く上げると、やがて巨大な霊力の光弾となる。

 充分過ぎる大きさになり、振り降ろす。巨大な弾は吸い込まれる様に空へと接近し、大爆発を起こす。

 先程の空よりも強い風を発生させ、地底全土が揺らぎ、少し遅れて真下で落下した音がする。確認すると、それは間違いなく空が地面に激突した事によって生じた音。


 黒い羽は上空に地面に散らばり、その下で気絶している空──の首にある見慣れない鉄製の首輪は割れている。


 その時、ドオォンと、また大きな地響きがする。音のした方を見ると先程別れた萃香と正気を失った勇儀が戦っていた場所だ。恐らく彼方も決着が着いたのだろう。


「…さて、私は早く神奈の加勢に向かわないと……。」


 萃香が勝利したのだろうと思った私は地霊殿へ向かう為、体の向きを変える。同時に鎖のついた枷が私の首にかかる。空との戦闘が終わった直後で油断していた私は息苦しさに耐えながら枷の先を見る。

 そこには白髪の女が、敵役だと言わんばかりに笑っていた。


「私は『服従』…。首輪を掛けられたお前はもう、私の支配下にある……。」


「ぐ…何を…い、言って……?!」


「さぁ、私の犬となれ!博麗 霊夢よ!!」




「ここが…。」


 地霊殿と言う屋敷に到着し、私は恐る恐る屋敷の中へと入る。熱い事には変わりないが、外よりも冷たく感じる静かな空間。

 ここにいる主、古明地 さとりなら何か分かるかもしれない。その霊夢さんの言葉を頼りに私はここまできたものの、明かりも気配もない。


「まさか…もう、さとりさんは………!?」


 最悪の事態を想定するが、まだそうと決まった訳ではない。ひとまず探索しようと決意し、周囲に警戒しながら進む。が、早くも足元にある何かにつまずき、盛大に転んでしまう。ゴッという音が響く。


 悲しくも床とキスする羽目になった私は手で顔を押さえながら、『発光する妖精』をイメージする。球体のそれは緑色に光り、辺りを照らす。

 最初からこうしとけば良かった…と思いながらつまずいた何かを確認する。触れたのは、液体。いや、血だ。


 ゾッとした私は慌てて振り返る。そこには、ピンク色の髪の少女が這う様にして倒れていた。

全身傷だらけで、周りの床を血という赤い液体で染めながら。幸いな事に、息はしている。


「だ、大丈夫!?」


 背中へと腕を回し、軽く揺する。幼い少女はむせながらも、必死に呟く。それは、助力を求める声………ではない。


「来ちゃ、駄目…。早く、逃げて…っ!」


 それってどういう──そこまで呟くと、薄暗い部屋の中で何かがきらめく。寒気を覚えた私は反射的に手で迫る何かを払う。

 何かが倒れる音がすると、私はすぐに少女を抱えてその場から離れる。


 薄暗いものの、やはり誰かいる。払った手に触れたのは恐らく、人の腕。きらめいたのは刃物だろう。

 しかし前にばかり集中していたせいで背後からの攻撃の反応に遅れた。怪しく光る弾幕をなんとか回避する。


 さとりさんを降ろして、次の攻撃はどこから…と模索していると急に前から押され、呆気なく倒れてしまう。


 そこへ誰かが私の上に馬乗りになり、何かを振るう。素早く両腕で防ぎ、すぐさま霊力を拳に集中させ、爆発。私も少し傷を負うが何とか脱出に成功。しかしこのまま戦ってれいれば負けるのは確実だ。もっと、明かりがほしい。


「もっと強く照らして!」


 クオォン…!と鳴きながら妖精は周りを照らす。目の前には緑色の髪をした帽子を被り、ナイフを持つ少女と、猫耳で赤い髪の、紫に光る…恐らく妖力で出来た爪を持つ少女の、二人がいた。

 どちらともやはり、首には重々しい首輪がある。


 ──勇儀さんも、空というペットさんも、この二人にもある首輪。とても趣味とも流行とも思えない。明らかに同一犯による、人を操る物なのだろう。

 逆にもし、私の考えが当たりならば、首輪をどうにかすれば操られてる人達をどうにか出来るかもしれない。




 ───今は私だけ、それでも…やるしかない。




 そう思い、イメージして剣を作り出した私はタイルの床を蹴った。

遅くなった第2話を御拝読頂きありがとうございます!

何か色々と記憶が飛んでますが気にしない!

それより誤字とか何か抜けがないか心配←

次は早めに更新したいなって思います(フラグ


そいでは!

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