ある日の食卓
<登場人物>
アリア・・・中級魔術師。ロジーナの弟子。
ロジーナ・・・師範魔術師。アリアの師匠。クレメンスの弟子で妻。
クレメンス・・・師範魔術師。ロジーナの師匠で夫。
「お師匠様もペンダント作ったんですか?」
アリアがポテトサラダを頬張りながら訊いた。
「もちろんよ。課題ですもの」
ロジーナはハンバーグをナイフで切りながら答える。
「誰のペンダントだったんですか?」
「え?」
ロジーナの手が止まる。
「誰のためにペンダント作ったんですか?」
アリアは身を乗り出すようにして言った。
ロジーナはチラリとクレメンスを見る。
「内緒」
そう答えると、ハンバーグを口に放り込んだ。
「えー。教えてくださいよぉ」
アリアが甘えた声を出す。
「イ・ヤ」
ロジーナはアリアの目を見据えて言った。
アリアは一瞬頬を膨らませたが、クレメンスの方を向くとにっこり笑った。
「旦那様はご存知ですよね」
「まぁな……」
クレメンスはアリアから視線を逸らす。
「誰ですか?」
アリアは目を輝かせながら尋ねる。
クレメンスはロジーナの方を見る。
ロジーナは黙々と食事を続けている。
「ん~、誰だったかな……」
クレメンス視線を宙に彷徨わせる。
アリアはクレメンスに疑惑のまなざしを向ける。
「それよりもアリア。お前は誰にペンダントを作るのだ?」
アリアは眉間にしわを寄せる。
「それが、悩んでるんです」
「ほぉ」
「伯父さんも伯母さんも、どっちも同じくらい大切だから……」
「ならば、二つ作ってみてはどうだ?」
「それは妙案ね。二つ作りなさい」
ロジーナが会話に入ってきた。
「ちょ、ちょっと待っ……」
アリアは慌てる。
「アリアは付与魔法が苦手だから、いい訓練になるわ」
ロジーナが明るい声で言う。
「明日、さっそく本部でもうひとつ買ってくるわね」
「あの……」
「いいわね。アリア」
ロジーナは有無を言わさぬと言わんばかりににっこりと笑った。
「……はい」
アリアはそう返事するしかなかった。




