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威力はチート級

まずウチさぁ、真っ直ぐ飛ばせる20mmがあるんだけど。寄ってかない?


 「コ、コルセア司令。あれは一体……」


 「知らん、分からん。ただ敵では無いようだし、不気味ではあるが魔法の様な攻撃もあのレッドドラゴンの翼膜を簡単に穴だらけにしたんだ。下手に刺激しない方がいいだろう」


 コルセアは地に落ちて昏倒しているレッドドラゴンに意識を向けながら生き残ったワイバーン騎兵達、元々300騎居た兵士達は今や約200騎少々となっていた彼等を一度纏め、一個の中隊を作り上げ、大盾を持ったホームガード隊を前面に出し密集隊形を取らせ待機させた。


 考えるのは今起こった見たこともないシルエットに聞いた事も無い音、そして圧倒的な攻撃力を持っているのに羽ばたき一つしないで高速飛行する、雲をまき散らす飛龍についてだった。


 本来は強力なドラゴンを相手にする場合は、ドラゴンに取って有毒であるミスリル製のランスを使い、その硬い鱗や凄まじい弾力を誇る翼膜に突き刺して、それでも小さな傷口が出来る程度ではあるがそこから更に突きを繰り返しミスリルの鋼鉄毒を与えていくのが基本だ。


 一人が与えられるダメージは微々たる物なので普通は500以上の攻撃専門のランス部隊を引き連れるのだが、今回はそこまでの数が居ない。

 

 (長く苦しい戦いになると思っていたが、何はともあれ助かった。あの二頭の飛龍は地上に落ちたレッドドラゴンに攻撃を加えない様だが、これ以上の手助けは流石に望めないか?それとも地上にいる敵には攻撃を加えられない?)


 少ない情報から何とか予測を付けてみるも全く正解に辿り着ける気がしない、せめて意思疎通が出来ればいいのだが、先ほどから繰り返しワイバーンに吠えさせても不気味な唸り声を響かせ続けてるだけだ。


 尤も、零戦は機械であるので意志は無いし喋る事等出来無い。

搭乗員(パイロット)の存在に気づけば近づいて話しかける事が出来るが、それも双眼鏡等遠くの物を見る道具が無いために気づくよしも無い。





 「竹田さん、彼等は隊形を組んだまま動きませんね。気を抜いてる様には見えないので、赤いドラゴンを"ただ落としただけ"だと言うのは彼等も分かっているみたいですけど」


 「俺らへの警戒半分、そのまま倒してくれるかの期待半分ってトコロか?あの兵士達の攻撃も余り効いてる様に見えなかったし仕方ない事か」


 「翼には7.7mmで通じましたけど、流石に本体には20mmを使わないとですね。貴重な弾薬ですが、数発だけでも撃ちこんで弱らせる程度はしてみますか?」


 「それがベストだな。昏倒してて動いていないようだし、極力頭を狙って行け」


 「了解です」


 ひと通りのやりとりの後、真っ直ぐ飛んでいた零戦二機が大きくバンクし、お互いの距離を少し取りながら高度1200mまで落ちていた高度を更に落とし地面に横たわる大きな目標を98式射爆照準器に捉える。


 「多分俺の最初の攻撃でドラゴンは起きるはずだ、もし暴れる様なら無駄弾にならないように胴体を狙うか、当てるのが難しいレベルならそのまま通り過ぎろ」


 「言われなくとも分かってますよ」


 「ま、だろうな」


 小さい頃から航空自衛隊の父からレシプロ機の良さを教えられ、特に零戦を好きだったその父から勧められた本や映画、ゲームを嗜んだ俺と、それに巻き込まれた冬子は実践経験ゼロの素人でありながら知識だけは一丁前の似非(エセ)ベテランパイロットだ。


 こういう小言レベルなら特に言う必要は無い事はよく知っている。

 それでも言いたくなるのは長く一緒に居たせいで身についた兄貴肌のせいだろう。


 そんな事を言っている間に、みるみる目標に接近する零戦。

唯でさえレシプロ機にしては速いエンジン出力を持つこの零戦に、降下による加速が加わり中々無茶な速さまで達している。


 それでも空中分解を起こさないのは現代技術で補強された機体の強度増加によるもので、パイロットの竹田と冬子が意識を失わないのはアクロバット飛行で鍛えられた日頃の努力の賜物と言う奴だった。


 「距離二百!貴重な20mmだ、弾く何て無粋な真似するなよ!」


 ダダダダダ!と現代版97式7.7mm固定機銃(改)(かっこカイ)を撃った時とは比べ物にならない重々しい音が鳴り、機体にも振動が伝わりガタガタと揺れながら20mmの機銃が唸りを上げる。


 20mm機銃は所謂『ションベン弾道』と言われる程弾道が落下しやすく当てにくい物だったのだが、これも弾の初速改善と威力をそのままに弾自体を軽くすると言う、現代技術の粋を集めた技術者の努力により、真っ直ぐな弾道を描いたまま、レッドドラゴンの頭部に突き刺さった。


 両翼合わせて十発も撃っていないであろう20mm機銃を見事頭部に当てた手応えを感じた竹田は上昇しながら身体を捻り、レッドドラゴンを確認しようとするが木々が邪魔をして見ることが出来無い。


 攻撃を受けた時の咆哮が聞こえない、そう簡単に死ぬとは思え無い強烈な生命力を感じるドラゴンだ。

 

 それでも銃撃を加えた瞬間に赤黒い血が噴き出したのは一瞬見えた。


 結果的には20mmではダメージが通らずドラゴンを昏倒状態から起こす事も出来無かったか、と考えた竹田だったが雪村からの気の抜けた声で通信が入り怪訝な顔で応答する。


 「どうした、傷一つ付いて無かったか?」


 「いえ、逆です。頭部がミンチになっていました」


 「……ん?」


 「ですから、20mmで木っ端微塵です。頭部が無くなっていました」


 雪村からの戦果報告に思わず竹田も気を抜けた声を出す、幾らなんでも数発で……。


 ファンタジーの物語では剣で切っても槍で突いても弓を放っても、はたまた魔法で焼いたり凍らせたりしても簡単に首を切り落とされないドラゴンを、簡単にミンチにした事に二人は驚きを隠せなかった。




 そして勿論上空で零戦がレッドドラゴンを攻撃する様を見ていた約200人の兵士とコルセア司令官は一同声を揃えて吠えた。


 『ハァ!?』

私はトイレは小さな方も座ってするタイプです、掃除する時メンドクサイ。

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