交戦許可
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――――竹田が発見した王国より東南へ少しの上空2000m
そこから竹田が見たのは王国の西に位置する山岳地帯から、真っ直ぐに王国へ飛来するB-52程もあろうかという巨大な一頭の赤いドラゴンだった。
「お、おいおい。異世界に来た事には不思議と納得したが、ドラゴン何て現れても信じらんねぇぞ。しかも、何て大きさなんだ……」
「真っ直ぐあの国へ向かって飛んでいるみたいですが、どうしますか?」
「どうするって言われてもだな……」
城はともかくとして、その周りを囲っている城下町はあのドラゴンが上に降り立っただけでその質量によりペシャンコになるだろう。
長い尻尾はそのまま軽く振っただけで何十人と薙ぎ払えそうだ。
「あのドラゴンがそのまま飛んで行くって事も考えられるし、何より航空機が飛ぶ程の文明がある様に思えない。下手に俺達の姿を見られるのは不味いんじゃないか?」
「確かに。それに7.7mm機銃は効きそうに見えませんし、20mmも両翼合わせて120発です。補給も望めない……。燃料計が動いて無いのもあってどれだけの時間激しい機動に耐えられるか……」
確かに全くの別世界で、しかも見るからに現代で言う16・17世紀の俗に言う中世レベルの文明では航空燃料が手に入るとは考えられない。
別に異世界に来て最初に見つけた国なだけで交流がある訳でも無い、仮にドラゴンが襲いかかったとしても助ける義理は無いが……。
「竹田さん、あれを見て下さい!北東の兵舎と思わしき場所です」
「ん。小さいが結構な数のドラゴンと……、人が乗ってるのか!槍を持ってるがあれで倒すつもりなのか?」
自動車程の大きさの黒いドラゴンに跨がった鎧を身につけた人間が自分の身の丈以上の円錐状に尖らせて槍、ランスを担いで巨大な赤いドラゴンに向かって200~300騎が数個の纏まりを作り飛んで行く。
そして最初に接近した30騎が、ランスを繰り出す。
だがそれも有効打になっているとは見えない、赤いドラゴンは攻撃された場所に滞空するとその場でコバエを払うかの様に火の玉を噴いたり尻尾を振り回してドラゴン騎士を簡単に倒していく。
「火の玉に当たった奴も、尻尾に当たって吹き飛ばされた奴も間違いなく死んだな。ああも簡単に虐殺されるのを見るのは流石に胸糞悪い」
「あの黒いドラゴン達も速い事は速いですが、それでもやはり私達の零戦よりも遅いです。撹乱目的で飛び込んでみますか?」
「赤いドラゴンの吐く火の玉も弾速が随分遅いし、尻尾にさえ気をつければそうそう墜落する様な事にはならんか」
このままここで飛んでいても仕方ない、いずれ人と接触しないことには生きていく事は難しい。それなら良い印象を与えて置いた方がいいだろう。
零戦の姿を見られるのは不味いが……、仕方ない。
「冬子、スピンドルオイルは残してるな」
「スモークですか、確かにドラゴンの目を引けますね。機銃での攻撃もしてみますか?」
「そうだな、7.7mmを軽く撃つ程度なら構わない。20mmはまだ使わない方がいいだろう」
「時計のタイマー機能は正常に動作するみたいですし、燃料の為にも交戦時間は決めておきましょう」
「じゃあ15分にしとこう。タイマーいいな、行くぞ!」
「タイマー、良し。行きましょう」
今、一時代の空を制した零戦が、異世界の空を制する戦いに参加しようとしていた。
次回は空戦の様子が入るので力が何時もより入ると思います。
つまり今回は嵐の前の静けさ的なつまらなさなんです!
……次回は空回りしないように面白い話を書けるように頑張りますのでお待ちください。