第0楽章 始まり
軽い吹雪吹き荒れるとある雪国のとある古城、其所には古くから『暗黒の王』と呼ばれる吸血鬼がいた。
彼は天候を操り、空を舞い、多くの禍災を人びとに与えた。
彼の名はナハト=バルバロッサ、絶対なる闇の父なり。
そんなおとぎ話を私は父から子供の時から聞かされてきたわ。
もちろん信じなかったけどね、だけどおとぎ話は実在した。
彼は存在した、多くの下僕達を引き連れて、時たま人間達を襲ったりして、とても暇そうな顔をして生きていたわ。
え?なんでそんな事を知っているのって?
出会ったのよ、彼と、『暗黒の王』ナハト=バルバロッサに・・・
私はその彼が住む雪国、大都市『ソフラム』に住んでいた。
いいえ、放浪していた。
親がどっちも私を置いて逝ってしまった。
私は孤児になり、ずっと町をうろついていたの、その時がくる日までね。
私が何時もの様に物ごいをしていた時、私は馬車に跳ねられた。
どうやら馬車の車輪が片方走行中に外れて、それに驚いた馬が暴走してしまい、方輪が無い馬車に私は跳ねられた。
跳ねられた時、「私は死ぬんだ、楽になれるんだ」と思っていたに違い無い、だけれど私は死ぬ事はなかった。
私は彼に救われた。
だけれど、とんでもない条件付きだった。
これは彼と私のとても平凡とは言えない、けれどもどこか人間臭い日常を描く物語です。
目覚めた少女は混乱しつつも未来へ翔ぶ。
明日を信じて、例え人間に二度と戻れないとしても。
次回Scarlett Moon ~悪魔達のワルツ~
明日無き少女
貴方も一緒に踊りますか?