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一人百物語 2

訴え

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


友人から聞いた話。

友人の同僚の渡辺さんはアパートで一人暮らしをしている。

ある夜、ぐっすりと眠っていた渡辺さんの左耳のすぐそばで


メリメリバキン!


という生木を折る様な音が突然鳴り響いた。

びっりして目を覚ますと、仰向けに寝ていた渡辺さんのお腹の上に、誰かが乗っていた。

それは小さい頃から可愛がってくれた、実家の隣の家のおばあちゃんだった。

おばあちゃんはもう十年以上も前に亡くなったが、生前と同じ和服に割烹着姿で、何故か渡辺さんのお腹の上で正座していた。

お腹の上に乗ったおばちゃんは重さはあったが、ひと一人分の重さよりはずっと軽かったという。

正座した姿のまま、おばあちゃんは何か困った様な顔をして、渡辺さんをじっと見つめていた。

怖いとも思わず、どうしてここにおばあちゃんが、と思っているうちに、渡辺さんは眠ってしまった。


翌朝、渡辺さんはあれは夢だったのかな、と思いながらも、それにしては目が覚めてからもやけにはっきり覚えている事が気になり、実家に電話をかけてみた。

電話に出た母親は、それに

「あらまぁ、そうなの。こないだね」

と言った。

「お寺のお墓が悪戯されてね、お隣りの家の墓石が倒されてたんだよ。でもうちの墓石も倒されたのに。うちのおじいちゃんおばあちゃんは出なかったの?」


隣家の人たちのところに、おばあちゃんが来たのかどうかはわからないらしい。



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