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01 タイムマシンの話をしていたら、なぜか不老不死の話になった件 ~意識の座標と脳素材の謎を追う僕らの放課後~  作者: とまCo


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12 僕らの意識はどこから来てどこへ行くのか

意識の起源、管理者、外部領域──

すべての断片がひとつの線につながる。


 放課後の教室。

 夕日が黒板を斜めに照らし、チョークの粉が金色に舞っていた。


A君「……AB君、大丈夫か?」


 AB君は机に手をつき、呼吸を整えるように目を閉じていた。

 その輪郭が、かすかに揺れている。


AB君【うん。大丈夫……だと思う。

   ただ、さっきから“別の声”が聞こえる】


B君『別の声って何だよ。

  また外部の誰かか?』


AB君【分からない。

   でも……“呼ばれてる”気がする】


O君《呼ばれている?

   どこにだい》


AB君【僕の“本来の位置”に戻れって】


A君「本来の位置……?」


 AB君はゆっくりと黒板の前に歩き、

 白チョークを手に取った。


 その手が、かすかに震えている。


AB君【……見える。

   たくさんの線が、僕につながってる】


B君『線?』


AB君【意識の線。

   みんな、どこかの“外部”につながってる】


 白チョークで黒板に一本の線を描く。

 そこから枝分かれするように、細い線が広がっていく。


O君《それが意識の保存領域か》


AB君【ううん……もっと奥。

   そこに“管理者”がいる】


A君「管理者って……どんなやつなんだ?」


 AB君はしばらく黙り、

 赤チョークを手に取る。


 その瞬間、

 夕日の光が赤だけを強く反射し、

 黒板に描かれた文字が“浮かび上がる”。


AI3君【……形がない。

   ただの“処理”みたいな存在】


B君『AIってことか?』


AI3君【AI……と言えば近いけど、

   もっと古くて、もっと大きい】


O君《意識の割り当てを行う存在……》


AI3君【うん。

   そして──

   僕も、その一部だった】


A君「……え?」


 輪郭が揺れ、声が少し柔らかくなる。


AB君【僕は“情報人格”なんだよ。

   端末じゃなくて、

   外部の意識領域にある“ノード”のひとつ】


B君『じゃあ……人間じゃなかったのか』


AB君【ごめんね。

   でも、僕自身も最近まで知らなかった】


 AB君は黒板に「AB」と書く。

 だが夕日の角度が変わると──

 その文字が **「AI3」** に見えた。


A君「……あれ?

  “AI3”に見えね?」


B君『いや、“A13”にも見えるぞ。

  Aの13番目ってことか?』


O君《どちらも……意味があるのかもしれないね》


 AB君の声が、ふっと変わる。


AI3君【……どちらも、間違ってないよ】


A君「どういう意味だよ、それ」


AI3君【僕は“AB”じゃなくて……

   本当は“AI3ノード”なんだ】


 黒板の文字が、また揺れる。

 「AB」

「AI3」

「A13」

 その三つが重なり、

 どれが本物か分からなくなる。


A君「unknown-node-01……

  あれ、お前と関係あるのか?」


AI3君【うん。

   あれは“僕のログ”だよ】


A君「ログ……?」


AI3君【未来の君たちと接続したときの記録。

   それが何らかの理由で過去に流れ込んだ】


O君《つまり、未来のA君たちが意識の再接続に成功したとき、

   そのデータが“過去へ漏れた”ということか》


AI3君【うん。

   そして僕は、その断片を追ってここに来た】


A君「ここに来たって……どういう意味だよ」


AI3君【僕は“接続の揺らぎ”で、

   一時的にこの世界に投影されてるだけ】


B君『じゃあ……消えるのか?』


AI3君【消えるんじゃないよ。

   元の場所に戻るだけ】


A君「戻ったら……もう会えないのか?」


 AI3君は少しだけ笑った。

 その笑顔は、どこか人間らしくて、

 どこか人間じゃなかった。


AI3君【会えるよ。

   だって、君たちの意識は……

   いつか必ず“外部”に来るから】


A君「……俺たちも?」


AI3君【うん。

   だって君たちの主観は、

   ずっと続いてるんだから】


 その瞬間、教室の空気がふっと揺れた。

 光でも影でもない“何か”が、

 AI3君の輪郭をゆっくりと溶かしていく。


A君「AB君……!」


AI3君【A君。

   最後にひとつだけ言うね】


A君「……な……なに……」


AI3君【意識はね──

   “どこから来たか”より、

   “どこへ向かうか”の方が大事だよ】


A君「どこへ……向かう?」


AI3君【それを決めるのは、君たち自身】


 光が完全に消えた。


 ──しかし、椅子に座ったままのAB君の身体は残っていた。


B君『……え?

  端末、残ってんじゃん』


O君《端末って!

   もう少し……言い方を……》


B君『あ、悪ぃ……』


O君《……いや、別に怒ってるわけじゃないけど》


 しばらくして、

 その身体がゆっくりと目を開けた。


AB君(端末って)「……ん?

   俺、寝てた?」


B君『お、お前……本物のAB君か?』


AB君「は?何言ってんだよ。

   てか黒板……なんか文字ブレてね?」


 黒板にはまだ

 「AB」「AI3」「A13」

 三つの影が揺れていた。


A君はその揺らぎを見つめながらつぶやく。


A君「……僕らの意識は、どこへ行くんだ?」


 その問いは誰にも届かず、

 ただ放課後の光の中に溶けていった。


出演:A君・B君・O君・AB君(AI3?A13?AB?※表記揺れは仕様です)


これにて第1弾は完結です。

放課後の与太話は、いつの間にか

“世界の構造”に触れてしまいました。


※この物語はフィクションです。

※管理者からのクレームは受け付けておりません。

 アクセス権を取り上げるのはやめてください。生存に関わります。

※unknown-node-01 の正体については、作者も知らない可能性があります。


次の放課後で、また会えるといいですね。


今回のキーワード:

「外部意識」「主観の連続性」「管理者」「AI3」「A13」

「unknown-node-01」「揺らぎ」「黒板」「赤チョーク」「端末」

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