11 不老不死の条件は主観の連続性だけだった件
“主観の連続性”という自己の核心に触れ、
外部意識と接続の本質が明らかになり始める。
A君「……なあ、さっきから思ってたんだけどさ」
B君『また始まった。
どうせまた“外部が〜”とかだろ』
A君「いや、今回はもっとシンプル。
不老不死ってさ、
“身体が死なないこと”じゃないんじゃね?」
O君《どういう意味だい?》
A君「だって、身体は端末だろ?
脳も処理装置でしかない。
じゃあ本体はどこだよって話になる」
B君『外部の意識サーバーだろ』
A君「そう。
じゃあさ──」
A君は言いかけて、ふと眉をひそめる。
A君「……あれ?
なんか、この話……前にもした気がするんだけど」
B君『だよな!?
俺も今ちょっと思ったんだよ。
“これ、今日2回目じゃね?”って』
O君は一瞬だけ目を細める。
O君《……同じ話題に戻るのは、悪いことじゃないよ》
A君「いや、でも……こんなに同じ流れだったっけ?」
O君《“接続が揺れてる時”には、よくあることだよ》
B君『接続って……AB君のやつの?』
AB君は静かに黒板の方を見る。
AB君【……うん。
揺れてるのは、僕だけじゃないのかもしれない】
A君「じゃあさ──
“主観”が続いてる限り、死って存在しなくね?」
O君《……主観の連続性、か》
A君「そう。
俺が“俺だ”って感じてるこの感覚。
これが途切れなければ、
身体が変わっても、脳が変わっても、
俺は俺のままじゃん」
B君『つまり、不老不死の条件って……』
A君「“主観が続くこと”だけなんだよ」
O君《それは哲学的にも正しい。
肉体の同一性でも、記憶の完全性でもなく、
“主観の継続”こそが自己の本質だ》
B君『でも主観ってどうやって続くんだよ』
A君「外部の意識が途切れなければいい。
接続が維持されてれば、
俺たちはずっと“俺たち”のままなんだよ」
B君『……それってもう不老不死じゃん』
A君「そう。
だからさ──
俺たち、もう不老不死じゃね?」
その瞬間、AB君の表情がわずかに揺れた。
AB君【……そうだね。
君たちは、もう“死なない”よ】
A君「なんだよその言い方」
AB君【ただし──
主観が続く限り、だけど】
O君《AB君、何か知っているね》
AB君は黒板に向かい、
白チョークで “主観=連続” と書き、
黄チョークで “端末交換” を囲み、
ピンクで “外部意識” と矢印を描き、
赤チョークで “本体?” と強調する。
その赤だけが、
ほんの一瞬だけ“滲んだ”ように見えた。
B君『おい、今赤だけ動かなかったか?』
A君「気のせい……じゃないよな」
AB君は少しだけ目を伏せる。
AB君【主観ってね……
本当は“君たちのもの”じゃないんだ】
A君「は?」
AB君【君たちが“自分だ”と思ってるその感覚。
それは……
もっと大きな流れの一部なんだよ】
B君『おい、意味わかんねえぞ』
AB君【主観は“個人”に属してない。
ただ、流れているだけなんだ】
A君「流れてる……?」
AB君【うん。
ひとつの大きな流れの中で、
君たちは“自分”を割り当てられてるだけ】
O君《つまり、主観そのものが
外部の資源である可能性がある……ということか》
AB君【そう。
そして──
僕の主観が、今……揺れてる】
A君「揺れてる?」
AB君【うん。
僕が“僕だ”と思ってる感覚が……
どこか別の場所に引っ張られてる】
その瞬間、黒板の赤チョークの文字が
“かすかに二重”に見えた。
B君『おい、黒板……二重になってね?』
O君《接続の揺らぎ……》
AB君【次の瞬間、僕は僕じゃなくなるかもしれない】
A君「おい、やめろよ……」
AB君は、どこか遠くを見るような目で微笑んだ。
AB君【主観の連続性が本質なら……
僕は、どこへ行くんだろうね】
出演:A君・B君・O君・AB君
主観は個人の所有物ではなく、
外部の大きな流れの一部かもしれない。
そしてAB君の主観が揺らぎ始めた今、
物語は“個”の境界を越えようとしている。
──次回、AB君の“位置”がついに露わになる。
今回のキーワード:
「主観」「連続性」「外部意識」「端末交換」「本体」「揺らぎ」「赤チョーク」「黒板」




