憧れだった『学校の屋上』
青空広がる学校の屋上。
漫画やアニメでは今でも定番の舞台なんじゃないでしょうか。非常階段もそれに近いですね。昼休みに友達と集まったり、放課後に告白のシーンがあったり。僕たちが親しんできた多くの物語には、学校の屋上が「特別な場所」として登場してきます。
でも現実の僕の学校では、屋上は完全に立ち入り禁止。(少なくとも僕が在学したすべての学校はそうでした)理由は簡単「危険だから」。柵はあるけれど、風の強い日などに落下の危険があるということで、生徒は立ち入れませんでした。まぁ実際に僕もそう思います。
だからこそ、僕にとって屋上は永遠に触れられない空間であり、強烈な憧れの象徴でした。
そして今、大人になってから改めて思うのは、「学校そのもの」が遠い存在になってしまったことです。
在学中は毎日のように通っていた校舎も、卒業してしまえば簡単には入れない。(いわゆる5教科の勉強自体は好きじゃないので、戻りたいとは堂々と言えないですけど)そこには事業参観や入学式、卒業式のような特別なイベントでしか、校舎の中に足を踏み入れることはできません。
かつては日常だった教室の匂いも、雨の日の湿った体育館の空気も、いまではすっかり非日常になってしまった。学校が「子どもだけの特権的な空間」だったのだと、大人になってから気づきました。多分ほとんどの大人はそうなんじゃないかな?
今の時代はどんな街並みもインターネットで覗けます。グーグルマップを開けば世界中の道路を歩けるし、航空写真も見れる。
それでも、学校の屋上に降り立つ視点や非常階段の中までは流石に見られません。そこは、子どもだった自分にとって「閉ざされた秘密」のまま残り続けています。
だからこそ、もしもVRで学校空間が完全に再現できたなら――と想像してしまいます!
例えば、VRゲームで学校がそっくり再現され、誰もが自由に屋上に立てるようになったら面白そう……。僕だけ?
放課後の夕日を浴びながら、友達と屋上で語り合う。あるいは非常階段で風に吹かれながら、校庭を見下ろす。現実では叶わなかった光景が、仮想空間でなら実現できる。
そうなったら、現実の学校ではなく、完全にバーチャルの学校がもうひとつ誕生するのかもしれません。
しかもそれは屋上に限らず、教室での雑談も、体育館での部活動も、VRなら再現できるはずです。そう考えると、かつてはただ見るだけだったものが、本当にリアルな学校生活や祭りのように体験できる未来が来るのではないかと思います。
生きている間に、それくらいの変化はきっと起きてしまうんだろうなと思います。
このエッセイは、この僕がすでにこのアカウントで執筆、投稿した【30分読破シリーズ】の1作品を書いていて思ったことを書き綴ったものです。
作品名は
『【30分読破シリーズ⑥】屋上の君とスケッチブックの俺』
です。ぜひ、合わせてこちらもお読みください!