ラウンド4:未来の国のかたちをどう描く?
(照明は温かみのある明るさに。対談者たちは全員着席し、あすかが中央に立つ。
観客席もどこか希望と静かな緊張に包まれている。)
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あすか(司会):
いよいよ最終ラウンドです。
本日のテーマは――
「未来の国のかたちをどう描く?」
激しい対立、敬意の芽生え、そして観客の声……
この時間を経て、今の皆さんだからこそ語れる“理想の国の姿”があるはずです。
では、ここはあえて“順番なし”で自由に語っていただきましょう。
皆さんの“未来”を、教えてください。
(一瞬の沈黙の後、トクヴィルがゆっくりと話し始める)
トクヴィル(穏やかに):
私が夢見る国は、地方の自由な営みが国家の力になる社会です。
小さな村の会話、地域の学校、農地の手入れ――
そうした営みが国を形づくるのです。
リンカーン(頷きながら):
そしてそのすべてが、“国家の理念”とつながっているべきです。
自由、平等、尊厳――
それらは法律だけでなく、日々の暮らしの中に根ざしていなければなりません。
始皇帝(やや瞑想するように):
……わしは、未来の国においても“統一”の力を軽んじてはならぬと考える。
ただし、その“統一”とは、かつてのように命令と服従で成るものではなかろう。
理念で心を一つにすることこそ、現代の統一なのかもしれぬな。
石丸伸二(しっかりと前を見据えて):
私は、“多極分散型の国家”を目指したいです。
それぞれの地域が、自らの特色と力を持ち、
中央はそのつながりをサポートする“プラットフォーム”のような存在になる。
始皇帝(意外そうに):
プラットフォーム、だと……?
面白い。“玉座”とは違うな。
石丸(微笑):
はい。“玉座”に座って命令を下すより、
下から国を支える台座でありたいと、私は思っています。
(トクヴィルが拍手を送るように軽く手を叩く)
トクヴィル:
それはまさに、“民主的な王の姿”かもしれませんね。
リンカーン(静かにうなづく):
私はこう思うのです。
未来の国とは、“聞く耳”を持ち続ける国家であるべきだと。
中央も地方も、富める者もそうでない者も、
すべての声に価値があると信じること――
それが未来をつくる根幹です。
(始皇帝が大きくうなづく。今や、その表情に怒気はなく、静かな誇りが宿っている)
始皇帝:
ならば、わしはこう語ろう。
“国をつくる”とは、“民の信を得ること”に他ならぬ。
民を従えるのではなく、民が“託す”に値する存在になること――
未来の王は、もはや孤高の存在ではないのだな。
(石丸が静かに歩み寄り、始皇帝に語る。)
石丸:
はい。
私は、地方の人々が“国を信じられる社会”をつくりたい。
そのためには、首都も変わらなければならない。
変革は痛みを伴うかもしれませんが――
それでも私は、“信じ合える国”を未来に託したいと思います。
(照明が対談者たちを照らし、エンディングに向けた雰囲気が高まる。)