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幕間:静かなる語らい

(舞台裏。ラウンド2の余韻が残る控え室のような空間。照明は柔らかく、BGMは落ち着いたクラシック調。対談者たちはひとときの休憩をとっている。)


---


トクヴィルとリンカーンの静かな語らい


(舞台奥のソファに、トクヴィルとリンカーンが肩を並べて座っている。テーブルには紅茶とワイン。)


トクヴィル:

あなたとこうして言葉を交わせるとは……思いもしませんでしたよ、リンカーンさん。

大統領となったあなたに会うことなく逝ってしまいましたから…


リンカーン(微笑して):

そうでしたね、あなたが亡くなった翌年に大統領に就任しました。

それまでにあなたの著作は何度も読み返していましたよ。

特に『アメリカのデモクラシー』は、私にとって大きな指針でした。


トクヴィル:

それは光栄です。

当時、私はアメリカを旅しながら、“自由が制度だけでなく、習慣として根づいている”ことに深く感動しました。

ただし、奴隷制の問題には強く懸念を抱いてもいました。


リンカーン(表情を引き締めて):

あれは、我々の最も深い矛盾でした。

“自由の国”と名乗りながら、何百万という人々が鎖につながれていた。

私はその矛盾に抗うために、戦争の道を選ばざるを得なかったのです。


トクヴィル:

あなたの勇気には、敬意を表します。

フランスでは……革命の嵐が何度も吹き荒れ、王が倒れ、皇帝が生まれ、そしてまた民衆が立ち上がる……

安定と自由の両立がいかに難しいか、骨身に染みております。


リンカーン(遠くを見つめるように):

私も、時に思うのです。

本当に人は、自由を扱いきれるのか、と。

でも、あなたの言葉が思い出されます。

「民主主義とは、未完の理想であるがゆえに、育てる価値がある」と。


トクヴィル(微笑):

そうです。我々は、希望に手を伸ばす存在でありたい。

どんな時代であっても。


(二人は静かにグラスを合わせ、短く乾杯する。)



---


始皇帝と石丸伸二、意外な共鳴


(舞台手前。対談会場の袖、木製のベンチに二人が並んで座る。始皇帝は腕を組み、やや沈黙気味。石丸は慎重に口を開く。)


石丸伸二(やや緊張しながら):

……実は、私はあなたのことをかなり知ってるんです。

『キングダム』という漫画、読んでいまして。


始皇帝(少し眉をひそめ):

“まんが”……とは何だ?


石丸(微笑みつつ):

絵と物語で歴史や人物を描く現代の書物です。

あなたが中華統一を目指していた頃のことが、感動的に描かれている。

……少年のような夢を持ち、命を賭けて、時に非情に、それでも国の未来のために進む姿に――私は、胸を打たれました。


始皇帝(目を細め):

……ふむ。

我が思いを、今の世の者が“読んでいる”というのか。

貴様のような、現代の政治の徒が。


石丸まっすぐに

はい。

だから私は、あなたがどれだけ困難な決断をしてきたかも知っているつもりです。

民のためとはいえ、非難を浴びることも選んだ。

その覚悟……尊敬します。


(沈黙が数秒。始皇帝は石丸をじっと見つめていたが、やがて鼻を鳴らすように笑う)


始皇帝(やや低く笑いながら):

……貴様、なかなか面白い男だな。

わしを恐れず、見知った上で語るとは。

だが――わしは貴様の考えを“全て”認めたわけではない。


石丸(にっこり笑って):

もちろんです。私も、陛下の政治手法をすべて支持しているわけじゃありません。

でも、互いに尊敬しながら――言いたいことは言い合える。

そういう関係でありたいと思っています。


始皇帝(少し笑顔を浮かべ):

……ならばよい。

わしも、貴様との議論、悪くはないと思っておる。


石丸(手を差し出す):

では、次のラウンドでも、全力でぶつかり合いましょう。


始皇帝(その手を握りながら):

ふん……かかってこい、令和の政治家よ。


(二人の間に、微笑ましい緊張感と新たな敬意が生まれる。)



---


(舞台に再び照明が灯る。ラウンド3の幕が静かに上がりはじめる――)



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