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閑話 〈漆黒の魔王〉の面々




「…あからさまに、嫌そうだったよね?」

「そうだね。何だか気を使わせちゃったかな」

二条エリカと、成田が話し出す。


二人が話すのを聞きながら、小鳥遊穂香はお茶を飲んでいた。

現実問題、彼の名前を無条件で呼べるようにはなったけれど、あまり良くない状況だ。


「…タメ口とか、名前呼びとか急でしたからね」

無花果が言うと、成田が溜め息を吐く。

「うん、我が魔王って呼びたかった欲を優先してしまった。有架君で良かったんだけど」

「気を使い過ぎて、具合を悪くされてしまうのでは駄目だね」

二条ローズが頷いて、話に加わる。


「後で、名前はさん付けで良いってメールしようかな」

妹をエリカがみる。

「そうだね、その方が良いかも」

「穂香ちゃんはどう思う?」

いきなり成田が話しを振って来た。小鳥遊穂香は悩みながら意見を言う。


「名前の事だけじゃなくて、別の事もあるのではと、思っています」

「え、別の事って」

「ええと、皆さんは有架くんの夢の話をしますよね?それが彼には不本意のような気がしています」

「え」

成田が固まったのを、小鳥遊穂香は見ている。


「あまり覚えていない事を人間関係の中心に置かれて、戸惑っているように見えました。今の有架くんのことを知っていて、そうしているのなら良いのですけど」

小鳥遊穂香の言葉は、その他の四人に重くのしかかる。


小鳥遊穂香の言う通り、四人は今の九条有架を良くは知らない。

この場所に来てから見てはいるが、今まで生きてきた時間が離れているから、知り様もなかった。

「もっと、今の彼を見てあげて欲しいです。好意は好意として受け取っているけど、過剰過ぎて目いっぱいになっている気がします」


無花果が成田の前にお茶を置いたが、成田は小鳥遊穂香を見たまま、視線を外さなかった。


「実は、このようになるのではと、おばあさまから言われていました。過去を知る者は彼に過剰に期待をかけてしまうだろうと。だから注意しなさいと言われていまして」

「え、おばあさまって、大魔女かな?」

少し乾いた声で、二条エリカが質問する。

「はい。自分の名前を出せば納得するだろうと言われています。自分も最初、〈光輝の勇者〉に会った時、同じ事をしたのでと」


「大魔女の名前は、公表されていないよね?」

「はい、聞いたところ、皆様にならいいと」

「え、どうして」

成田が小さく呟くが、二条の双子は小鳥遊穂香に答えて貰おうと身を乗り出した。


「おばあさまの名前は、小鳥遊舞奈といいます。聞いたら分かるだろうと言われていますけど、分かりましたか?」


一同がどっと肩の力を抜いた。

小鳥遊穂香が皆を見回すが、理解があったようだとほっとした。


「なるほど、それは確かに経験者だろうね」

「疑ってはいたけど、本人かあ」

「ああ、それじゃあ、こっちの事も知っているんだね」

尋ねられて、小鳥遊穂香は頷く。


「はい。虐めないように頑張れだそうです。今の彼は十六歳の子供だよ。と言っていました」

「うん。聖女様、いや、大魔女に忠告ありがとう、身に染みましたと返しておいてくれるかな?」

「はい」

小鳥遊穂香は頷いてから立ち上がった。


「おばあさまの忠告を伝えたかったので残りましたが、有架くんがいないので、私も帰ります。それではまた」

そう言ってドアを開けて帰って行く小鳥遊穂香を見送った後、顔を見合わせて四人が話し始める。


「我が魔王の事は後で本人に謝るとして」

「有益な情報が貰えたね」

「光の勇者が、聖女の傍に居る、と」

無花果がお茶を入れて、こんどこそ魔王の四天王たちの密談が始まった。





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