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最強の部下たちと征く、異世界魔王戦記  作者: 犬鈴屋
第2章 キセトの町

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2-10 戦闘は刃を交えるから始まっている

大目標:安寧の地の確保、元の世界に戻る

中目標:侵攻してくる敵を撃破、元の世界に戻るための研究人材の確保

小目標:城塞都市の建設、難民たちを救援

現在の目標:キセトの町の防衛 ← New

「さて各々方、討ち入りでござる!」

「……」

「……」

うん、誰も反応返してくれないことは分かっていたけど、いざそれを実感すると悲しいものだ。

じゃあなぜやったのかと言われると、重たい話を少しでも軽くしたかったがこうなっては仕方がない。

「冗談はさておき、戦争の時間だ」

俺の言葉に周囲にいた誰もが顔をひきつらせた。


元村長宅の2階、作戦室のイスに腰かけているのは俺たち(ディッシーズ)と各種族のトップ、人間3人、記録係のエンメルだけ。

この面々が集まっての会議は、実質この村の最高会議と言っても過言ではない。

「オウキ殿、戦争と言いましたがまさか……」

「エルフの村長、そのまさかだ。戦場はここになる」

ヘレンによる高高度からの撮影により得られた周囲一帯のマップの1点を指さす。

そこは大きな川同士が合流した少し下流の場所であり、大きな橋の近くにあり壊れかけの城壁に囲まれた町、キセトの町だった。

侵略しているのは以前ヘレンが偵察した時に見つけた海岸線沿いを進行していた軍隊で、エデルたちが所属していた軍でもある。


だから俺たちからすれば既に知っていたことではあるのだが、初めてそんな情報を開示された面々は目を見開いて静止している。

「リーダー、敵は何人くらいなんだ?」

「キレツ、今度からこういう真面目な会議の時は自由な発言をするな。情報が錯綜してしまう」

「あいや!そいつぁ済まねぇ」

キレツが素直に謝り背もたれに体重を預けた。

「気にするな。そしてキレツの気にしていた敵軍の数だが、凡そ1万5千人くらいだ」

「1万5千……だと……それってどれくらいなんだ?」

ガックリ。

そ、そう言えばこいつは脳筋だったんだ……!

「えぇい、キレツ、お前は黙ってろ!!話が進まん!」

緩い雰囲気なのは別にいいが、こんな面倒な奴に算数を教えるとかまっぴら御免だ。

そういう面倒な役はコミュニケーション能力向上とか何とか言ってエフィーに押し付けるに限る。


「とにかく、だ。敵の数は大軍なんだがハッキリ言ってお粗末すぎるから相手にならん。だから重要なことは戦争よりもその後の処理だ。分かるな?」

俺はこの場に座る全員に聞くがハッキリと分かっているのはエフィーくらいで、他は首を傾げていた。

多分日光のない夜ならもう1人増えていたと思うが、今はそんなこと愚痴っていても話が進まない。

「処理で1番面倒なのはキセトの町だ。敵を追っ払った後、あの町の防衛力とか俺たちが救援軍であることの説明、俺たちとの今後の関係とかを決めないといけない」

「オウキ殿。キセトの町は堅牢な城壁に守られた都市、いくら人間の大軍と守れないくらいの被害を受けるとは到底思えないのですが……」

挙手したエルフの村長から冷静な意見が出てくる。


確かに攻めては大軍と言えど守りは城塞都市なのだから、そんな簡単には落ちないように思う。

だが敵は海岸沿いを木の板を使って破城槌を持ってきており、あんなオンボロ城門は呆気なく粉砕されるだろう。

そうなれば残るは貧弱な装備を纏う訓練不足の兵士のみ。

数も質も圧倒的に劣っており、唯一勝っているのは僅かな地の利と種族による身体能力の差だけ。

『攻城側の守備側の3倍の兵力が必要』と言われているが、キセトの町の規模を見る限り5千の兵士はいないだろう。

この時点でエルフの村長の言うことは常識的だが認識の甘さが露呈していたのだが、俺は敢えてそれを突っ込まない。

「防衛に成功するかどうかは攻撃が始まって見ないと分からん。だが最悪の事態を想定して行動しておいた方がいいのは確かだ」

「ううむ確かに……」

そう言ってエルフの村長は背もたれに沈んだ。


俺は横目でエフィーを盗み見ると、彼女は満足そうにコックリと頷いている。

そう、実はこれは俺とエフィーが考えた策でもあるのだ。

安寧の地を手に入れるという目的を達成するためには、相応の戦力が必要となる。

戦力の拡充なんてたかが一村の村長ができることなんてたかが知れているが、それが町の領主や国のトップになれば話が変わってくる。

そしてキセトの町の領主になる1番簡単で効率がよく仲間から勧められている方法は、前領主を含めた町の住民が今回の戦いで()()()()()を遂げることだ。

亜人種に植え付けられた人間への憎悪はあまりにも根深いが、その根に栄養では壊死させるための毒素を与えなければいけない。

その毒素となるのが本人たちの血であり、俺たちの行動というわけだ。

正直この作戦は悩んだ。良心の呵責や善悪の意味を考えさせられるが、綺麗ごとでまとまるならば苦労しない。

だからこそ、この作戦の裏の目的は仲間たちにしか伝えていないのだ。




「えっと、オウキ様発言してもいいですか?」

「おおいいぞ、ポルゾン」

ハーフリングの族長ポルゾンが立ち上がって質問してきたので、全力でそちらに話を寄せる。

「戦争だというのは分かりました。ただ我々種族ごとの動きは如何様に……」

「種族ごとの動き?馬鹿言うな、そんなものは無い」

「なんですと?」

ポルゾンが肩眉を上げているがが、俺としては変なことを言っている自覚はない。

「俺がトップになったからには、あっちの種族がどうとかこっちの種族がどうとか言うつもりはない。得意な種族が得意なことをすればいいし、その中でも得意な奴がやればいい。だからあえて種族で纏めることもない」

亜人種たちは種族ごとで暮らしていたせいもあってか、物事を全て種族で図る傾向がある。

俺から言わせてもらえば才能の無駄遣いという他ない。


「それに俺たちキセトの町救援軍は、どうしても種族混合になる。そんな時種族に固執するのは非効率極まりないことじゃないか?これはハーフリングだけに言っているんじゃなくて鬼人族もエルフも、ハーフゴブリンも同じだ」

俺の言葉に頭を傾げるばかりのトップたちだが、これは今から話す内容で嫌でも納得するだろう。

「そうですか。どうなるかは分かりませんが、今は納得しましょう」

明らかに表情とは正反対の事を言いながら、ポルゾンはイスから飛び降りイスに座り直した。


「軍の話になったからちょうどいい。これから救援軍の詳細について説明するぞ」

机に置かれていた紙をエンメルに渡して内訳を書いてもらうが、まだ教育を開始したばかりで半分くらい文字が読めないので口頭で説明していく。

「まず部隊は2つに分ける。1つがメインとなる本隊で、もう1つが本隊をサポートするために独立で動く支隊だ。この支隊はエフィーを指揮官とした部隊で、遠距離武器メインの者を配置する。つまりエルフの狩人全員と、後はハーフリングとハーフゴブリンには数人ずつ出してもらう」

「わ、私たちも戦うのですか!?」

せっかくイスに座り直したポルゾンが再び立ち上がろうとするが、何度も立ち上がれては目障りなので手で静止する。


「落ち着けポルゾン。さっきも言ったが種族関係なく戦ってもらうと言ったがお前たちの種族が戦いに向いていないことも百も承知だ。だからお前達には戦うのではなく後方部隊を頼みたい」

「こ、後方部隊とは一体何をするのでしょう?」

ゴクリとポルゾンの嚥下音が聞こえる中、静かに答える。

「簡単に言えば荷物持ちだな。前線に出て戦うエルフたちの矢とか食料、後は野営用の道具を持ってもらう。それと後方部隊の護衛はハーフゴブリンに任せる」

「あ、あぁそれならば何とか……分かりました」

安堵したのか、ポルゾンが崩れ落ちるようにイスに座り直したのを見てから話を続ける。


「あとはこの部隊に火力補助でランド、殿(しんがり)としてオルクス、あとは後方部隊の補佐として人間3人を入れる」

事前に仲間には話を通しておいたから反対意見は出てこないが、反対に分かりやすい反応をしたのは人間と亜人種たちだった。

「私たちが補佐……?まだそれはちょっと勉強不足なので……」

「あっしらを指揮するのが人間だぁ!?ふざけんじゃねぇ!」

気まずそうに答える人間と、今にも杖を投げ出しそうなハーフゴブリンのリーダーゴスス。

ポルゾンも口には出していないが、不満な感情がありありと顔に出ている。

「エデルたちはまだ勉強中だから出陣は控えたいところだが、そうは時間が許してくれない。実地研修と思って取り組むほかない。ゴスス、さっき俺は種族関係なくと言ったはずだ。当然人間かどうかも関係ない」


エデルたちはそれで一端は退いたが、隣で緑の肌に赤い血管を浮かべて震えるゴススの様子を伺っている。

「それともお前はエデルたちよりも指揮できると?それならば一考の余地はあるが、時間も算数も分からない奴に任せられるほど軽い立場でもない」

良くも悪くもハーフゴブリン種はゴブリンの特性を受け継いだ種族だ。

洞察力の鋭さや体躯の小ささからは想像できないほどの筋力を持っているが、少々感情的になりやすい特徴を持つ。

「文句は実際の指揮を見てから言ってもらおう。その時はたっぷりと愚痴と言い分を聞こう」

「わぁったよ。あっしらがじっくりと見ててやるよ」

敵意を隠しもせずゴススはそう言って、尻をイスの上へと戻した。




1番問題になる人間の振り分けを納得させたら、後はスムーズに事が進んだ。

本隊のリーダーは俺で近接戦闘メインで固めて、残りの戦えない農民や職人たちはまとめて留守番を任せている。

「よし、以上が俺たち救援軍の内訳だ。ホワイトボードに書いてもらったが……さっき言ったことと同じことが書いてある」

手を痛そうに振っているエンメルを横目に、大きなホワイトボードにはギッシリと色んなことが書かれていた。


========================================

・救援軍本隊:20人

指揮官:オウキ

副指揮官:シーラ

メンバー:ヘレン、鬼人族全員、ハーフゴブリン7人


・救援軍支隊:22人

指揮官:エフィー

副指揮官:ランド

後方部隊指揮補佐:エデル、イルマ、ユルク

メンバー:オルクス、エルフの狩人10人、ハーフゴブリン3人、ハーフリング3人


・留守番組:約40人

指揮官:ドーシュ

副指揮官:スーラー

メンバー:非戦闘員の各種族

========================================


救援軍と大それたこと言っているが、実働部隊はたった40人の超少人数。

大きめのレイドボスとかなら軽く超えそうな人員で1万5千人の軍隊を相手取るんだから、傍から見たら間違いなく狂人だろう。

だがここは剣と魔法のファンタジーを舞台にしたNRGの世界であり、レベルや職業の概念がある。

多種多様な職業をマスターしており1人1人が一騎当千、いや万夫不当の俺たちに敗北の2文字は存在しない。


多くの者が不安そうな顔で会議室を出る中、唯一俺たちだけが悠然とした顔で座っていた。

……いや正直に言おう。エフィーとシーラ以外ほとんど話は聞いていなかったから、会議の終わりとか関係なかっただけです。

ゴススのことをゴブス、イデルのことをエデルと書き間違いをする癖が付いています。

間違っていたらごめんなさい。


オウキ「よし!これで会議は終わりだ!」

オルクス「???」

ドーシュ「太陽神よぉぉぉぉ!」

ヘレン「うへへぇ~オウキ様だぁ~(恍惚)」

ランド「カチャカチャカチャカチャ(機械音)」

エフィー&シーラ「こいつら大丈夫か?」


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