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最強の部下たちと征く、異世界魔王戦記  作者: 犬鈴屋
第2章 キセトの町

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2-9 それぞれの仕事

大目標:安寧の地の確保、元の世界に戻る

中目標:侵攻してくる敵を撃破、元の世界に戻るための研究人材の確保

小目標:城塞都市の建設、難民たちを救援

ザクッ……ドシャ。

ザクッ……ドシャ。

「おめぇらさぼるんじゃねぇぞぉ!ちゃんと掘れぇ!!」

ザクッドシャ。

ザクッドシャ。

はい、みなさんこんにちは。

俺は今、強制労働場所のような音が鳴り響く場所に来ています。

ご覧のように多くの者が無心にスコップを振り下ろしては、後ろに土を放り投げる作業に取り組んでおりますが、心なしか彼・彼女たちの目に光りが灯っていないようにも。

よほど劣悪な環境で労働に従事させられていることは想像に難くありません。

ここの労働環境や労働者の権利、そしてその裏に眠るなんとかかんとかは一体どうなっているのか、俺が独占インタビューしていきたいと思います!


「旦那ぁ何言ってんだぁ?」

「あぁ?なんでもない、独り言だ」

誰がリポーターごっこで遊んでいたなんて言えるか。

「そうかい、それよりも見てくれぇ。こんな感じで大丈夫かぁ?」

ランドが工事現場のヘルメットをクイっと上げて聞いてきた。

「あぁ大丈夫だ。問題ない」

うん大丈夫、きっと、多分、メイビー。

俺風に言えば、大丈夫、知らんけど。


一応釈明しておきたいのだが、本当に今の工事が順調なのかどうかなんて俺にはわからん。

だって本当に一列に並んだ鬼人族とエルフたちが、一心不乱にスコップを振り回して地面を掘り下げているだけなのだから。

地面が数センチ下がったのを見て「うむ上手く行っている」なんていうほど、俺に知見はないんだ。


「ただランド。やるきがあんまり無いように見えるんだが、何かあったのか?」

「やるきぃ?確かにねぇみてぇだがなんでだぁ?」

う~ん俺も分からんから聞いてるんだよなぁ。

一応ランドが喝を入れたら作業スピードは戻るが、気を抜くとすぐにスピードが落ちる。

根本的にやる気がない問題ってどうしたらいいのか、常にやる気のない俺に聞かれても分からんのよな。


「すいません1ついいですかな?」

「ん?エルフの村長。何か?」

実は俺と一緒に監督者として付いてきていたエルフの村長に、声を掛けられた。

「恐らくですが、自分たちが何を作っているのか分かっていないからやる気が出ないのかと。あと可能であれば褒美などもあるといいかもしれません」

「自分たちの作っているものが分からないぃ?あっしが説明したじゃねぇか」

「いえいえ、恐らく防壁を作っているのは理解しておりますが、どのような結果になるか皆分からないのです。なので何卒、ランド殿が以前見せて下さった模型とやらを公開していただければ……」

ランドが見せた模型っていうのは、各族長に見せた完成予想図の町を適当に作ったジオラマだ。

手のひらサイズで作ったから町とかの建物は一切ないが、その代わりに半分に割れて断面図が分かるようになっている。

「あっしは別に構わねぇけど……」

「俺も別にいいぞ。説明は村長に任せるけど」

ランドがチラリと見てくる前に俺は言った。


「あと褒美の件だが、給金アップでいいか?」

「いえ、それは使いどころがないので……可能でしたら昨日食べたようなものがいいかと」

プルプルと両手でジオラマを受け取ろうとする村長だったが、褒美の話をした途端に目を輝かせる。

う~ん、これまで篭絡の手段として食事っていうのは懐疑的だったけど、最近は本当に有効な手段だったんだなって思うようになってきた。

「分かった。何かしら菓子類を用意しておくから、それも併せて連絡してくれ」

それを聞いた村長は、スキップしながらまとめ役であるスーラーへと向かうのだった。




さて工事の進捗はあまり進んでいないことが分かった。

だからといって新しく町を、しかも城塞都市を作るのだからそんな1日で完成するとは思っていない。

ローマは1日してならずってやつだ。

この言葉は建物だけでなく人材にも言える。

「おう、調子はどうだって、うぉ!?」

俺は元村長宅の2階に上がり聞くと、顔を真っ青にしたエフィーがグリンとこちらを向いてきた。

「なんだエフィー?俺の出した処罰に文句でもあるか?」

「ち、違います!ですが、ちょっとこれはあまりにも……」

そう言って天を仰ぐエフィーの前には、3人の人間がいた。


この人間たちは最初の戦闘で捕虜にしていた5人のうちの3人で、エデルとイルマ、ユルクのことだ。

「そんなに勉強が難航しているのか?」

エフィーの前に置かれていた紙を取って確認すると、そこには様々な戦術や陣を纏められていた。

「いえ、エフィー様は分かりやすく丁寧に解説されるのですが……」

「あまり理解できず……すいません!」

人間のリーダー風の男エデルが気まずそうに顔を反らし、唯一の人間女性のイルマが後に続いた。

2人は見る限り素養はありそうだから気にしていないが、もう1人のユルクは口をポカンと開けて白目を向いているからきっとこいつは駄目だったんだろう。


「別に問題ない。もし無理だと思うなら別のポストを考えるから、今はとりあえず勉強してくれ」

この3人にこんな教育をする理由は、指揮官に据えようと思っているから。

文化レベルが中世のこの世界で、教育を受けている人間というのは結構珍しい。

だから会話できるが識字率は低く、亜人種で最も識字率の高いエルフでも1割程度だ。

そんな中エデルとイルマは文字の読み書きができる上に、小学生レベルの計算能力まで持っていたのだ。

聞けば元々住んでいた村に長老と呼ばれる人に教育を受けたらしく、知識や亜人種への侮蔑がないのもこれが理由らしい。

しかも仲間たちと報告でも驚いたが、どうやら長老はアイテムボックスらしきアイテムも所持しているかもしれないとのこと。


亜人種に理解があり勉強もできアイテムボックスも持っている、正直俺はこの条件に当てはまる人物像は【元プレイヤー】以外に思いつかない。

いずれ会ってみたいとは思っているが、そいつに会いに行けるだけの余裕がない今、その長老と呼ばれる者が教育してくれたことに感謝しつつ、こいつらの才能を磨いていきたいと思う。

ちなみにユルクには一般人レベルだから文字の読み書きもできなかったのだが、1人だけ仲間外れにするのは可哀想だという一緒にした。

このまま向いていないなら亜人種と同じく一般人として何かやってもらおう。


俺の思考とは別に、俺の言葉を聞いたエデルとイルマは顔を見合わせて気合を入れなおしたようだ。

うむうむ、若者は若者らしくちゃんと勉強するのがいい。

歳を取ったらあれこれを勉強しとけばよかったって後悔の連続になるのだから。

そう考えたら小さい頃からずっと勉強しろって言ってきた大人たちは正しかったと思う。

「よし人間たちのやる気も問題ないな。だからお前もやる気を出してその人見知りを何とかして直せ。せめてコミュニケーションできる程度にはしろ」

ずっと俺の横顔を期待の目で見ていたエフィーに絶望の宣言を下してから、俺は作戦室を後にした。




こうやって色んなところを見て回っているから暇そうに見えて、実は俺も結構忙しい。

仮設置してもらった魔電の発電機、通称魔電炉の動作実験をしないといけない。

適当な大きさの魔石を取り出しては魔電炉の中に放り込み、魔電線と魔電池を通して魔電化製品に付けて動かしてみる。

魔電線は電線、魔電化製品は電化製品と、何でもかんても電気の頭に魔を入れただけ意味は同じ。

この辺りは一から設定を考えることを放棄した運営の手抜きさが目出つ。


「オウキ様、ヘレンたちが戻って来たみたいですよ」

「おうシーラ。ヘレンたちには昼休憩を取った後、もう2度同じことをやってもらってくれ。採ってくるのは……鉄と銅を頼む」

今のヘレンには団体行動を学ばせるため、護衛役のハーフゴブリンと採掘要員のハーフリングと共に、森へ資源採取に行かせている。

恐らく城塞都市1つ分くらいなら俺たちのアイテムボックス内のアイテムや資材で足りるのだが、自分たちの暮らす場所くらい自分たちで材料を集めてもらいたい。

これは今やっている作業にも言え、ランドと俺たちの魔法を使えば──騒音と発見のリスクを無視すれば──1日で建てられるが、それだと住民は俺たちに依存することになるだろう。

いくらなんでも独り立ちもしない村民を養うほど俺たちも甘くはないので、こうやって自分たちで苦労してもらっているというわけだ。




「それでシーラ。今のところ怪我人は?」

「いませんよ~。だから暇で暇で……。先に娼館を建ててくれませんかぁ?」

「医者が暇なのはいいことだろ。それと娼館は最後だ」

一応即応態勢の医者として待機してもらっているシーラを俺は振り払った。

「えぇ~。いいじゃなぁ~い。鬼人族の女の子の固い筋肉とか、ハーフリングのちっちゃさ気にならな~い?」

「ならんならん」

「ぶぅ~。そうよね~人間の男って、エルフの年増が好きだもんね~」

「違うって言ってんだろぉ!?先に建てるものがたくさんあるの!性欲は……掘っ建て小屋で勘弁しろ」

「そんなんじゃあ楽しめないわよぉ~。ほらオウキ様の()()より先に建ててよぉ~」

一瞬首を傾げそうになるが、すぐにシーラが言わんとしていることを理解する。


「お前……俺の提案した公衆浴場は必要に決まってんだろ!?」

俺が提案していた施設、それは公衆浴場!

風呂、NRGを楽しみ身体が自由だった時は入るのが面倒で、そんな時間があればダンジョンを攻略したいと思っていた。

身体が不自由になった後は大勢の介助が必要な入浴を楽しめるはずもなく、余計に風呂嫌いになっている。

だがしかし、本当にそれでもだ。日本人としての心が風呂を求めてやまない。

あの綺麗で温かい湯舟に沈み、体の汚れや感情を溶かしていく風呂はまさに心の洗濯!!

綺麗な水が貴重で薪が大量に必要になる風呂なんてほとんどないのは知っているが、魔電があるからその問題も無い。

ただ流石に重要設備をほっぽり出して俺の自室に風呂なんて提案したら仲間すらも凍てつく視線を向けられること間違いなしだから、衛生面を改善するため公衆浴場を建設すると言ったんだ。


そんな涙ぐましい言い訳を無下にするシーラは、決して許せない!いや許してはならない!!

「シーラ、前にもいったが衛生面の改善のためだ、文句には耳を貸さんぞ」

「そうだとしてもねぇ。別にパイプでシャワーを作るんだから、それでいいじゃなぁ~い」

それを言われると反論に苦しい。

正直シャワーだけで事足りると言われたらそうかもしれない。

だが違うんだよ!!シャワーだけと湯舟にゆっくり浸かるのでは、雲泥の差なんだよぉ!!

だからこそ、俺は小さい脳みそをフル回転させ、どうにかしてシーラを納得させる方法を……ピーン!


「ふっふっふっ」

「な、何よどうしたのよ、オウキ様」

「シーラ、お風呂ってのは熱い湯に浸かることを指すんだ」

「それは知ってるわよぉ。だから別に熱い湯にする必要はないって……」

「ということはだ。普通に服を着て入るのは危険だとは思わんか?」

「え……?それはぁ、そうねぇ」

「だからこそ風呂に入る時は溺れにくく涼しい恰好をする。俺の文化ではそれこと一糸纏わぬ姿になってな?」

おぉっと、ここでシーラの目つきが変わったぞ?

「……それは、すごいわね」

「この文化を俺は公衆浴場にも取り入れようと思っている。安心しろ、他の者は風呂なんて知らないから簡単に馴染むことだろうよ」

「……そうね。でもそれって私には関係ないでしょ?」

「そうか関係ないか。いやそれは残念だったな。男女で分かれて風呂に入るわけだから、裸でのコミュニケーションが取れると思ったんだがなぁ。確かにお前はエフィーやヘレンと比べても──」

「いいえ、すぐに公衆浴場を作りましょう!!なんなら最優先にしましょう!安心して、ポンプが開通してなくても水ならいくらでも出しますから!!」

シーラは目を輝かせながら俺に迫ってきた。

その迫力に押され気味に了承すると、彼女の口からは個室とか視線隠しの曇りガラスとかの単語がリズミカルに出てくる。

もしかして公衆浴場、想像以上にデカくなる?


近い将来、俺の危惧した通り計画の2倍ほど大きくなった公衆浴場が建てられ、その入り口には【被害者多数により出禁】と書かれた文字と共にシーラの顔写真が張られることになるのだが、それはまた別の話。

主人公たちの目的が分かりやすいよう前書きに目標を書いてみたんですが、これ効果ありますかね?

もし何かあればXか感想で教えてください。


面白いと思った人は、ぜひブックマークや評価、レビューをして頂けると嬉しいです。

筆者の執筆モチベーションにも繋がるので、ぜひよろしくお願いします!

X(@KenRinYa)もやっているので、フォローもよろしくお願いします!

また感想や質問、要望などもコメントかXで受け付けていますので、ぜひぜひお送りください!

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