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最強の部下たちと征く、異世界魔王戦記  作者: 犬鈴屋
第1章 新しい世界へ

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1-11 俺が一体何をした

共同統治。

俺から言っておいてなんだが、この言葉で想起されるのは問題ばかりだろう。

歴史を紐解けば神聖ローマ帝国、近年では国境付近の川や島、あとはゴタゴタしている場所で取られている方法だ。


まぁ何が言いたいのかと言えば、上手くいっている事例は存在するがそれは互いが戦闘をするよりも益だと思っている、それとも戦闘自体がより強固な組織に見張られできないかのどちらかが多い。


その例で言えば、俺たちがこの村に差し出す共同統治の旨味は大軍すらも退ける戦力だが、エルフたちが差し出す旨味は何もない土地と僅かな情報だけ。

今はまだ俺たちが欲しているものであるからこそ対等に見えるが、将来のことを考えると全く対等ではないのだ。


対等ではない両者が1つの土地を持つ、その行きつく先はどう考えても幸運は訪れない。


つまるところ俺が言いたいことは何か。


「君を迎え入れざるを得ないんだよなぁ……」


目の前で跪く精一杯着飾ったエルフの女を見て、俺はそう口の中で呟いた。

エルフの女の肩が見ただけで分かるくらい震えているが、残念ながら俺には何もできない。


だって鬼の形相で殺気を振りまくヘレンが、さっきから尻尾で床を砕き続けているのだから。




事の始まりは俺が村長と今後についての取り決めが終わった後。

俺は一度仲間を集めて今後の動きについての相談のため呼び出していると、なぜか村長が俺の元まで戻ってきたのだ。

後ろに見たことないエルフの女を連れて。


「どうした?」

「いえいえ。私どもの提案を受けて下さったお礼として、私の娘スーラーをオウキ様、あなたにお送りしたい」


村長がそう言うと見たことないエルフの女が前に出たから、彼女がスーラーで間違いないのだろう。

腰までかかるエルフらしい金髪に、細長い耳、蝶よ花よと育てられていたのが分かるくらいお淑やかで色のある顔つき。


俺がゲームをやっていなかったら唸っていたところだが、残念ながら美しいエルフの女には見飽きている。

プレイヤーの大半はノーマルな人間種を選んでいたが、それでも見た目を重視する奴は見目が綺麗なエルフを選んでいたからな。

それに見た目のカスタマイズも事細かに行えたおかげで、とんでもないエルフの美女なんてそこら中にいた。


ただ今回問題なのは、スーラーと呼ばれる女の容姿よりもその立場。

エルフ村とは言っているが実質どこの支配にも入っていない村だから、村長は領主みたいなものだ。

領主の娘と言えば貴女になり、その娘が送られた場合は受け取らざるを得ない。


「あぁ、分かった。スーラーと言ったか。一旦……」


一旦ここに置いて、仲間たちにこのスーラー含めてどうしようか相談しようと思っていたのだが、後ろで話を聞いていたシーラが皆に連絡をしてくれていたようだ。


だが何を言ったのか、ヘレンが髪を逆立て鱗を出しながら会議場所である作戦室にやってきたのである。




「主……」

「ど、どうしたヘレン?」


いつもと違い凄まじい威圧感を自重もせず垂れ流すヘレンが、俺を見るなり飛び付いてきた。

その様子は明らかにいつもと違う。


「主……本当に結婚するのか!?」

「は、はぁ!?なんの話……って、スーラーのことか!」

「誰だよその女!アタシのことはどうすんだよ!!」


アタシのことどうなるって言われても、そんな関係じゃなかったよな!?

いや、そりゃ滅茶苦茶アタックしてきているのは知っているけど、本気だったのか!?


「ドラゴンは!パートナーしか!背に乗せないのに!アタシは!我慢して!主のために皆を乗せてたんだぞぉ!」


ヘレンが床を殴りつけながら訴えてくる。

ちょ、ランド謹製だと言っても床凹んでいるからストップストップ……


「主ー!アタシが先だろー!?」


ちょ、皆そろそろ助けて……

俺は周囲を見渡すと、ニチャニチャと笑いながらこちらを見るシーラに岩のように微動だにしないオルクス。

ランドは目の前の機械に没頭しているし、ドーシュは窓の外でお祈り、エフィーに至ってはイスじゃなくて部屋の隅っこで背を向けている始末。

味方がいねぇ!


「待て待て待て、ヘレン!俺は結婚する気なんて無いから安心しろって!向こうが娘を差し出すって言いだしただけだ!」


「……ほんとかー?」


目尻に涙を溜めて聞いてくるヘレンに、俺は全力で首を縦に振る。

するとやっと落ち着いたのか、ヘレンは呻きながら手の力が抜けて……。


「あら、そうなるとスーラーって子はどうするおつもりで?」


シ、シーラァァァお前ぇぇぇぇぇええええ!!

せっかく俺の全神経を集中させて丸く収めたのに、なんで蒸し返すんじゃぁぁぁああ!!


「主ー?」


あぁ!またヘレンの手に力が籠り始めてる!

どうすればいい!どうすれば丸く収められる!!


「……俺たちと問題なく交流できるか確認したいから、まずはお手伝いってこ扱い、かな」


違和感ない程度の制限時間で、必死に絞り出した回答だった。




というわけで、半ば強制的にスーラーと仲間たちの顔合わせ、いや交流の第1歩が行われたのだが……。


「……」

「……」

ビッタンッ!パラパラ……。

ビッタンッ!パラパラ……。


誰も何も言わず、聞こえてくるのはヘレンの尻尾が床に叩きつけられる音と、砕け散った破片が床に散らばる音だけ。


「え、えぇと……」


なんだ、この圧迫面接。

どんなブラック企業やねんうちは。


「と、とりあえず自己紹介をしよう。俺はオウキ。このパーティーのリーダーをしている」

「よ、よろしくお願いします!」


俺が頭を下げると、スーラーも勢いよく頭を下げた。


よし!俺の自己紹介は上手くいった!

このまま俺の後に続いてくれ!


……。

…………。

………………。


……そう言えばうちのパーティーは嫌われ者が集まっているだけあって、ちょっとコミュニケーションに難がある奴しかいなかったわ。




「オルクス」

「はっ!」

「……自己紹介しろ」

「はっ、我が主!我、オルクス。我が主、守る」

「よ、よろしくお願いします。スーラーと申します」

「……」

「……」


うむ、まだオルクスはマシな方かもな。


「次、シーラ」

「はい、私はシーラ。よろしくねお嬢さん」

「私はスーラーと申します。よろしくお願いします」

「と・こ・ろ・で~。何かあれば私の寝所にいらっしゃい。オウキ様よりも優しく手取り足取り教えてあげるわ」

「い、いえ結構です!」


最初はマトモだったのに、後から覆していくスタイルのシーラ。

スーラーの顔が明るくなったと思ったら一気に冷えたぞ。

そう言えばこいつ、魅力を振りまいて近寄ってきた男も女も食ってたな。


「止めろ。次は……」


今まで俺が呼びかけたのは、俺の話を聞いていたマトモな奴ら。

これからは聞くのは俺の話を1つも聞いてない馬鹿どもなんだが……。


「おい、ランドかドーシュ。どっちでもいいから俺の話を聞け」

「んあ?なんでい、あっしは忙しいんだ。何でもいいから早く研究させてくれよぉ」

「そう言うならさっさと自己紹介しろ」

「あいよっと。あっしはランド」

「あ、はい……よろしく、お願いします?スーラーと申します」

「うっし。じゃあ、あっしはこの辺で」


そう言って足早にどこかへと消えたランド。

スーラーがこっちを見ているが、俺も困っているんだから見ないで欲しい。

次は……窓際で変な儀式やっている奴でいいか。


「はぁ……ドーシュ。おい、ドーシュ!いい加減話を聞け!」

「オウキ殿!!今ワシは母なる神に祈りを捧げておるのですぞ!?」

「うるせぇ!早く自己紹介しろ馬鹿が!」


俺がそう怒鳴り返すと、やっとドーシュがスーラーを捕えたのかものすごい勢いで近づいてきた。


「ワシはドーシュ。こう見えてもドリアードじゃ」

「あ、はい、よろしくお願いします。スーラーと申します」

「うむうむ。ところでスーラー殿、お主は一体何を崇拝しておるのかの?もしよければワシと一緒に偉大なる太陽神に……」

「はいドーシュはもういいぞ!お前はあっちで儀式の続きやってろ!」


怪しい勧誘そのままのことを言い出したドーシュを、スーラーから引っぺがして蹴りだした。




よしよし残るは2人。

どっちからにしようかとも思うが……エ、エフィーにするか。


「エフィー?自己紹介させても大丈夫か?」

「オウキ様……大丈夫ですよ……」


どす黒い負のオーラを醸し出すエフィーが、シニカルに笑みを浮かべながら越えた。


「私はエフィー。パーティーでは指示役を務めているオウキ様にとって都合のいい女よ」

「よ、よろしくお願いします?えぇと、私はスーラーです」


自嘲的に吐き捨てるエフィーだが、聞き流せない言葉が混じっている。


「おい、エフィー!勘違いされるだろ!?」

「いえいえ。勘違いも何も私は都合のいい女ですので……」


め、めんどくせぇ~!

悪く言えば拗ねる子どものようなことをエフィーは言っているのだが、何も知らないスーラーにも聞かれているから無下にもできない。


とりにかく冷えた視線を向けてくるスーラーに俺は弁明する。


「エフィーはうちのパーティーでもかなり優秀でな?」

「都合がいいって意味でですね」

「他にも色んなことができるし」

「だから都合がいいんですかね」

「そ、その頼りがいがある……」

「便利に私を使えるってことですね」


合間合間に差し込まれるエフィーからの呪詛が止まらない止まらない。

しかも何を言ったら機嫌を直してくれるのか分からないから、なおさら質が悪い。


「それにだな……あ~その、あれだ。エフィーはダークエルフの中でも特に美しい女傑だ」


苦し紛れにいった言葉なのだが、存外エフィーの反応は悪くなかった。


「そ、そうですかね。ふへ、ふへへへへへへっ」


……美しいのは確かだが、その奇妙な笑いは直した方がいいと思うな、うん。

スーラーも後ずさりしちゃうほどドン引きしているから……。




そして最後は最難関でも怒れる竜だ。


「ヘレン。落ち着いて自己紹介をしてくれ」


鋭い視線はスーラーに止まったまま、ヘレンはゆっくりと口を開けた。


「ヘレン。ヘレン・クナウストだ」

「お、お初目にかかりますクナウスト殿。私はスーラーと申します」


今にも心臓が飛び出てしまうんじゃないかと思うほど顔面蒼白になったスーラーの挨拶が終わる……訳も無く。


「主はアタシだけの主だからな。絶対あんたなんかに渡さないぞ」


例えるならば獲物を横取りされた肉食動物のような目つきで、ヘレンは宣言をした。


この場で俺がどっちの味方をしても、後々ややこしい問題になるだけ。

だから俺は可能な限り中立を装うと思っていたんだが、このままではスーラーがストレスで死んでしまう。


「ヘレン。スーラーには一旦、俺たちのお世話係を任せることになる。当然お前の世話もだ」

「ふんっ!竜は主以外の世話なんて必要ないからね、アタシのお世話はいらない!それじゃあ、アタシは偵察に戻るよ!」


言いたいことは言い終わったのか、ヘレンは勢いよく背をこちらに向け、作戦室の窓から飛び立っていった。

器用なことに砕け散った木の破片が、スーラーにだけ振り抱えるように尻尾を振りながら。


すぐに俺が防御魔法をかけ、ヘレンも本気の攻撃じゃなかったからよかったものの、これはどこかで何かしらのご機嫌取りをしないといけないなぁ。


そんなことを思いつつも、俺は問題だらけの顔合わせを何とか無事に終わらせることができた。

シリアス一本は読みにくいし、ギャグ一本は進まないので半分ずつくらいで進めていく所存です。

ちなみに筆者はバリバリの関西人です。マクド派です。マックはPCです。異論は認めません(過激派)

でもお前朝マックって言うだろって言った人、よろしいならば戦争だ。


面白いと思った人は、ぜひブックマークや評価、レビューをして頂けると嬉しいです。

筆者の執筆モチベーションにも繋がるので、ぜひよろしくお願いします!

X(@KenRinYa)もやっているので、フォローもよろしくお願いします!

また感想や質問、要望などもコメントかXで受け付けていますので、ぜひぜひお送りください!

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