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幸せを掴む迄の軌跡  作者: 清香


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07 やっぱり来たトラブル

 呼び出された時から嫌な予感は有ったのですが、本当に酷かった。


 「私達、あなたに紹介してもらえるって言われて、いろんな事を我慢させられたのです。それなのに、いつまで経っても合わせてもらえませんでした。」


 「ふとした事がきっかけで、私だけじゃ無い。と分かって、こうして皆んなで来ました。」


 寮の応接室には入らなかったそうで、食堂を隔離して場が設けられたのです。私もポールとファッブルを伴いましたけど、相手には大人も居ました。雰囲気の悪さに寮監が立ち会ってくれる事になりました。


 「初めましての方ばかりで、私にはどういう状況かが分かりません。まず、私に紹介と言うのは誰が間に立ったのか、どういう目的なのかから説明して下さい。」


 頭の中に父様からもらった手紙の内容が浮かびましたが、先ずは、この空間での立ち位置の確認です。最初に発言した女性の親と思われる男性が、


 「ビルダー子爵家当主ヨアヒムだ。娘はコンポート子爵家に嫁いだ、友人の姉を通してキルリアン子爵に紹介を頼んだ。勿論、ミッシェル殿と縁を繋いでもらう為だ。」


 と威張って言いました。私はため息を吐いてから、


 「他の皆さんも同じ目的ですか?ならば、何故シュバイツアー家に直接来ないのですか?他家を通す意味が有るのですか?

 今回の件ですが、私には何の連絡も有りません。何故なら、コンポート子爵家と我がシュバイツアー家は、5年前に絶縁しているからです。

 特に、コンポート子爵家は私と接近禁止令すら出されています。」


 と告げました。お祖母様が社交界に話を流して下さったので、特に上級貴族には周知徹底されている筈です。


 「そ、そんな話は聞いていない!」


 と叫ばれても、それは私の責任では有りません。ザワザワする人達を見ながら、


 「そんな筈は有りませんが、多方面からの情報収集は貴族の基本とお祖父様から教育されてます。あなた方はそれを怠っていたのでは有りませんか?

 ビルダー子爵殿のお話は聞きましたが、他の方も同様ですか?」


 寮監が付いているとは言え、数人の大人に囲まれているのはストレスが大きいです。でも、此処には父様もお祖父様もいないので、私が自力で乗り切るしか有りません。本当に迷惑な話です。


 「私は、トリトーン様に声を掛けてもらいました。トリトーン様とお付き合いすれば、侯爵になる弟に紹介するからと言われて、いろいろ振り回されました。

 要求がどんどん上がって行って、私では対応出来ない処まで来たので困っていたら、クララ様に声を掛けてもらい、私だけでは無いと知りました。」


 泣きながら声を上げた女性の肩を抱いているのは、最初に声を上げた女性です。クララ・ヒルダーさんと言う名前の様です。私は最初から知らない人達と言っているのに、何故自己紹介をキチンとされないのでしょうか。


 「つまり、此処に集まっている3人の方は、私と縁の切れた実家と関わっている方で、私に冤罪を掛けに来た方と認識して良いのですね。

 私と面識が全く無く、しかも私の預かり知らない所で好き勝手した上で、希望と違う事態を引き起こし、その上で侯爵家に文句を言いに来た。と言う話でしたか。」


 全員から私を非難する雰囲気が出ているし、私に対する応対も不愉快です。先頭に立った方が子爵と言う事は、残りの二人も子爵家か男爵家なのでしょう。侯爵家に対する態度では無いと思うのですよ。かなりムッとしてしまい、私も表情を出して抗議しました。子供だからと舐められたままではいられませんからね。


 「私はパーヴォー男爵家当主のザールと申します。娘はクララ様の付き添いとして行ったパーティーで、ミッシェル様を名乗る人から呼び出され、個室に連れ込まれ、何とか逃げ帰った事が有る。あれ以来、娘はパーティなどの人が集う場所が苦手になりました。

 今日は私が付き添うからと無理を言って此処に連れて来ましたが、娘から呼び出されたミッシェル様と貴方は別人だと、此処で今、聞きました。ですから、私は、ミッシェル様に言いたい事は、もう有りません。」


 一番後ろで俯いていて、声を上げなかった女性の親から、押し殺した声で発言が出ました。彼女は父親に縋り付いて怯えていますね。侯爵家に冤罪を掛けると言われたのが余程怖かったのでしょう。


 「分かりました。パーヴォー男爵は此処にいらしただけで、もう目的は果たしたと言う事と認識します。

 それで、ビルダー子爵殿と、もうお一方の目的を教えてもらえますか?私から父と祖父に対応してもらう様に話しますので。」


 言いたい事は雰囲気で伝わって来ていますが、私が認められる事では無いですし、絶対に望まない事です。此処まで来たくせに名乗りもしない様な常識外れとのやり取りに、これ以上時間を取られたく無いのも有って、言い方がドンドンキツくなって行くのは自分でも気付いています。


 「サンスー子爵家のウミユと申します。ミッシェル様とは小さい頃に話した事が有るのですが、あの頃から大人しいミッシェル様なら娘のカーテとも上手く行くと思って応援していました。

 まさか、絶縁されたままだとは思わず、トリトーン殿からの申し出なら大丈夫だと確認を怠りました。カーテから、カーテの希望しない事を無理強いされる様になり困った。と言われて、此処に付き添いました。」


 パーヴォー男爵は黙ってしまいましたが、ビルダー子爵家とサンスー子爵家からはいろいろと、こんな事をされたとか、こんな要望に応えて来た等と訴えられました。いつの間にか紙とペンを用意したファッブルが記録を取り始めていたので、全部書いてもらいましたよ。


 両子爵家からは娘を私に嫁がせたいと言う思惑が見えますが、二人とも年上な上に、発言の内容から多分、綺麗な体では無さそうです。特にトリトーン兄と関わったカーテ嬢は間違い無さそうです。兄は二人とも自分の使い古しを私に渡すのが当然だと考えてましたから、この二人にもそういう扱いをして来て当然だと思います。


 まぁ、既に結婚しているキルリアン兄がそういう事をしていたら、問題となるのは彼方でしょう。クララ嬢は何がしたかったのか分からないな。カーテ嬢はトリトーン兄が責任を取って一緒になるのが筋だと思いますよ。と思いながら、私は一方的に話す二人を黙って見ていました。


 取り敢えず言いたい放題をして気が済んだのか、間が空いたので、


 「では、ビルダー子爵家とサンスー子爵家からそういう話をされたと伝えます。侯爵家としてどういう対応を取るのかは父と祖父に一任しますので、決定が出るまで、私は一切関わりません。それはご了承下さい。

 本日はこれで失礼します。」


 ただ聞いているのも疲れたので、そう言い切って席を立ちました。ポールが立ちはだかり、記録した紙を持ったファッブルが私に続いて食堂を出ました。時間を掛け過ぎたのか、人が集まり出していますが、寮監が察して別の出口から彼らを連れ出しています。



 「疲れたね。」


 部屋に戻っての第一声です。本当に迷惑な話です。まさか今頃になって元実家にトラブルをなすり付けられるとは思いませんでした。


 「金銭的な問題は確実に彼方の責任だけど、侯爵家の名前を出されるのは困るな。侯爵家に詐欺の問題を持ち込まれるのは名誉に関わる。正式に訴えるべきかな。」


 ファッブルに書いてもらった記録と一緒に送る手紙を書きながら呟くと、


 「物理的に殴り込みに行くか?あの、子爵家の二人は何度叩いてやろうかと思って、睨み付けたか。手を出さないで我慢した俺は偉いよな。」


 とポールが溢すと、ファッブルは、


 「だから、彼等が不利になる様に、喋ったままの言葉で記録を取ったよ。侯爵様が此れを読んでどれだけ失敬な態度にミッシェル様が我慢していたのかの実感を得てもらえるか、私の文章力も褒めてくれ。」


 と笑ってます。ちょっと昏い笑顔が怖いですが、そうですね、あの場でストレスを浴びていたのは私一人では有りませんでしたね。後で寮監に呼び出された時には菓子折りでも用意しておきましょうか。


 後日、侯爵家からは三子爵家に対する訴えと、あのニ子爵家から元実家の子爵家に対する訴えに対しての裁判が始まり、正当な判決が出たと報告が有りました。


 侯爵家からは名誉毀損と詐称問題で元実家を、ニ子爵家には迷惑行為と名誉毀損で訴えたのですが、満場一致で侯爵家の勝訴が決定したそうです。ニ子爵家の反論に対しては、情報収集を怠ったのが問題視されたそうです。


 正直な話、この件が広まって、実は娘も〜と被害者が増えるのを恐れていたのですが、余りにも注目を集め過ぎたせいか、追加が現れなかったのにホッとしました。


 元実家に対してはニ子爵家からも訴えられていたので、問題を重く見た王家からの叱責も有り、降爵が決まり、男爵に落とされたそうです。三家に払う罰金も有り、キルリアン兄さんのお嫁さんが怒りまくっているとか。どんな人かは知りませんが、キルリアン兄さんの事です。意味不明に威張りまくっていたのでしょうから、嘘がバレても自業自得としか言えません。


 私は無事に冤罪が晴れて、元実家との絶縁も広く浸透したので、落とし所としてはまぁまぁかな。と割り切る事にしました。裁判が終了した後に、パーヴォー男爵からは、ソッとしておいてもらえて助かりました。と礼状が届いたそうです。下級貴族でも常識の有る人は居ると知れて良かったです。

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