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幸せを掴む迄の軌跡  作者: 清香


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3/10

03 中学時代〜侯爵子息の自覚の芽生え

 トマスと別れ、僕は領内の中等学校に進みました。当然ですがトマスの友人で僕の友人になった人は居ませんでした。僕は試験対策勉強の時にだけ話し掛けて来る知人は要りませんし、一緒に居て不快な言動をされるのを一方的に我慢する必要も感じませんからね。


 お祖父様の意向も有り、侯爵家としての意識付けの為にも、中等学校では僕の侍従候補が周囲を囲む様になりました。僕としては、『友人として意見を言い合える立場なら受け入れます。』とお祖父様に話して有るので、決して取り巻きとかでは有りません。…まだ友人でもありませんが。


 ギャリコ子爵家の次男のポールがクラスメイトで、何時も影の様に僕の側に居るのですが、彼は静かなのに運動神経が良く、剣の時間の時などにソッとアドバイスをしてくれるので良く助けられています。


 僕の剣術は10歳でお祖父様に稽古をつけてもらってからなので、経験不足もあって未だに苦手なのです。体力もそんなに増えていませんし。たぶん僕の才能は文官の父様に似たのだと思います。身体を動かす事が苦手な訳では無いと思いたいですが、他人を傷付けかねない剣術は特に苦手なのです。言い訳ですけど。


 どちらかと言うと、魔法で攻撃した方が良いのかもしれません。この世界外の知識が有るせいか、魔法の威力が強いのです。想像力と成り立ちへの理解度と言えば良いのでしょうか?現象を起こす理由みたいな物を理解しているので、効果的に魔法を使えているのではないか?と思っています。無詠唱ですし。


 因みに、僕が生活魔法と言っている魔法は、この世界では無いそうです。属性検査の報告の時にお祖父様から聞きました。つまり、属性が無いとファイアもウォーターも使えない。ましてやクリーンなんて、属性は何?って言う話なのだそうです。


 ウーン。光属性とか聖属性なのかなぁ?でも、僕だって流石に持っていないと思う。あの水晶が光った時に頭の中に流れた文字の中には無かった気がするけど、時空が出て浮かれてしまったから、あの後に何か続いていたとしても覚えていない…もう2年も前の事ですからね。


 まぁ、10歳の時から生活魔法は更に隠して使うようにしているし、わざわざ騒がれに教会に行く気は無いので、使えてラッキーで終わりですね。


 あ、もう一人はルトレーン伯爵家の嫡男のファッブル。彼はトマスと同じ文官タイプ。図書室に喜んで付き合ってくれるので、一緒に居て落ち着きます。


 彼は初等科時代に大病を患って1年休学したせいで、年齢は1つ上です。その為、運動は苦手だそうで、剣術も不得意なのだとか。僕と何時も一緒に組んでくれるので助かっています。僕とファッブルとポール、それとポールの友人の、オコーナー子爵家のケビンの4人で1チームを組んでいます。


 中等学校での生活にも慣れて来て、最近ではファッブルと過ごす事が増えました。ポールは相変わらず影のような行動を取っていますが、ケビンが来ると、途端に普通の子供に戻ります。それが少し羨ましく感じてしまって、


 「僕にもケビンと同じ対応してもらいたいなぁ。ねぇ、ダメ?」


 と上目遣いで言ってしまったら、真っ赤になって逃げられてしまいました。ショックです。ガックリと肩を落としているとファッブルが来て笑いながら、

 

 「ポールはシュバイツァー侯爵様に憧れているし、ミッシェルが好きだからね。普通に隣りに居るのが恥ずかしいのさ。慣れるまでもう少し時間をあげてね。」


 と教えてくれたので少し浮上しました。もう友人と言っても良いですよね。学校に居る間はこの4人で行動しているので僕は不愉快な思いをせずに過ごせています。



 中等学校最初の試験です。筆記試験は問題無いのですが、剣術の実技が危ないです。2年からは選択出来るのですが、1年だけは必須なのですよ。男性だから武術の心得が無いと不味いのでしょうか?僕とファッブルは顔を見合わせてため息を吐いてしまいました。


 「まだファッブルは病後だからって言えるけど、僕はねぇ、お祖父様の威光が辛いなぁ。まだ2年しか経験が無い上に、運動は苦手なんだよね。」


 とぼやくと、ファッブルもため息を吐きつつ、


 「健康は取り戻したので病後とは言い難いですね。ミッシェルを守れる様に、キチンと剣を振り回せれば良いのですが、弟よりも弱いのですよ。」


 とこぼす。何でも3歳下のアンガスの方が剣筋が良くて、体格も良いから、病後で筋肉が弱ったままのファッブルは既に勝てないのだと凹んでいるのです。


 アンガス曰く、兄様は俺が守るから、領主の仕事は任せた。だそうで、自分を脳筋と名乗っているそうです。仲の良い兄弟なのは羨ましいし、優しいファッブルを蔑まないアンガスには好感が持てますね。


 何はともあれ、筆記試験対策に図書室に集まり、4人で勉強会を開いていると、久し振りにトマスの友人達が近寄って来ました。ヘラヘラした笑いを浮かべて話しかけて来ましたが、体格の良いポールに睨まれただけで居なくなってしまいましたよ。


 「初等学校の時の友人の友人?なので、知り合いには違い無いんだけど、テストの時にだけまとわりついて来るから、鬱陶しくてね。困っていたから助かりましたよ。」


 とポールに感謝を伝えて、勉強に戻りました。


 貼り出された表の上位に名前を確認しホッとしていると、あの知り合いに囲まれてしまいました。彼等は成績が落ちたらしく機嫌が悪そうですが僕の知った事では有りません。よくトマスと肩を組んでいた子が前に出て来て、


 「お前が試験に出そうな所を教えなかったから、成績が落ちたじゃ無いか!どうしてくれるんだ!」


 と怒鳴り掛かって来ました。本当に頭が悪いのですね。言い掛かりにもなりませんよ。


 「僕があなた達に教える前提で話をしていますが、まずその前提があり得ません。今回も僕は友人同士で勉強会はしましたが、あなた達は僕の友人ではありませんし、勉強会はお互いに教え合う物で、一方的に教わる事では有りません。ましてや試験に出そうな処を教えろだなんて。教えを請いたいなら先生に聞くべきでしょう。」


 キッパリ言い切った所にポールが分け入ってくれて、ファッブルに呼ばれた先生方が彼等の後ろで話を聞いているのが見えました。それに気付かない彼等は、


 「何だよ!トマスが友人だって言ってたんだから、俺達だってお前の友人だろう。その友人を助けもしないで、何偉そうな事を言ってるんだよ!」


 とポールを押し退けて掴み掛かろうとした所で先生方の一喝が入り、彼等は指導室に連れて行かれました。


 次の日に先生に呼ばれて、初等学校時代の話を聞かれたので、彼等は友人を通した知り合いではあるが、押し付けがましい態度や、此方を見下した様な態度ばかり取られて非常に不愉快だった事や、中等学校に入った事を機会に遠ざかった事を伝えました。


 先生方も聞いていた通り、一方的な言い掛かりなのはハッキリしているし、爵位の問題もあって、親にお咎めが行くらしいです。今更、初等学校時代の問題までは問いませんが、参考に付け加えられたらしく、彼等の親達がお祖父様に謝罪に来ていました。


 お祖母様に何故黙っていたのかを聞かれたので、以前の学校でされていた事に比べたら、全く気にもならなかったので伝えませんでした。と正直に答えると、そんなに…と絶句されてしまいました。


 1年の最初の騒ぎのお陰で、僕は普段は大人しいけれど怒らせたら不味い人物と言う評価が付いてしまった様です。お祖父様の光が強すぎるのだと納得していたら、ファッブルが隣りでコソッと、


 「大勢に囲まれたのに怯まずに言い返したからさ。高位貴族なのに偉ぶらず正論を返したからね。大人しいけどキチンと意志を伝えられるって、見直されたのだから良い事だと思うよ。」


 と教えてくれました。自覚は薄いのですが僕は侯爵家の跡取りなのですよね。此処は侯爵領なので僕より上の身分の者は居ないのです。産まれが子爵家だったのと、育った環境の所為で自信が無いのですが、今回の件を受けてお祖父様からもっと自信を持った方が良いと言われましたし、跡取りの自覚を持たねば。と思いましたよ。


 言い掛かりを付けて来たのは子爵家の子で、取り巻きの子達は男爵家や平民なので、停学処分になる処でしたがもう直ぐ夏休みです。そのまま休みに入ってしまうので、休み中反省を促し、二学期の態度で処分を決める事になりました。お祖父様からの温情なんですけどね。


 筆記試験は上位でしたが、実技は型が綺麗に決まったので、辛うじて合格させてもらったのですが、肩で息をしていたので苦笑されました。後期の実技では実践で試合が有るので、それまでに体力をもっと付けておく様に。と言われてしまいました。


 実技の結果を受けて、ファッブルと二人で休み中にお祖父様に稽古を付けてもらう話をしていたのですが、そこにポールが加わって、更にケビンも参加してくれる事になりました。ファッブルはアンガスもきっと付いて来そうだね。と笑ってました。


 今年の夏休みは身体を鍛える事になりそうです。

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