第4話 優しかった女性
第4話です。
第一章は、これで終わりしたいと思います。
誤字脱字がありましたら、教えてください。
「おはよう華恋。」
「おはよう実咲。」
「朝から、華恋に会えるなんてラッキー。」
「ふふ。あ、猫だ。」ニャー
「本当だ!かわいいー。にゃーニャー」
「、、、」
「どうしたの?猫、嫌いだっけ?」
「ううん違うけど。なんか、最近猫を見ることが多くて、、」
「そうなんだ。きっと猫も、華恋を見たいんだよ。」
「は?何それ。意味わかんない。うざ」
「え?」
「あ、なんでもない。ごめんね」
お、ビンゴ。ごめんね、華恋さん。
「店長ー。見ますかー。きましたよー。」
「ああ。」
俺たちは、俺のお願いした猫を通して、華恋さんたちの様子を見ている。合わせ鏡っていう道具で、向こう側の様子が見えるっていう優れものだ。
「それにしても、かわいいなー。」
「なんだ、こういうのが好みなのか?」
「いや、別に。でも、優しそうだし、いい人だし。モテるんだろうなー」
「どうだろうな。」
「え?」
「本当に優しかったら、あんな奴に憑かれないだろ。」
「確かにそうですね。あ、そろそろ行きますね。」
「ああ。」
さぁーて、帰って準備するかー。
ふんふふーん
ん?なんか向こう側が騒がしいな。
「はなせ、はなせよ!うざい、うざいんだよ。」
あれは、華恋さん?
「どうしたの華恋。いつもの華恋らしくないよ!」
確か、友達の実咲さん?だったかな。
「いつもの優しい私じゃなきゃいけないの?なんでよ!おかしいでしょ!いつもいつも、うざいのよ!」
うゎー。思ったより早く成長したな。
やばいやばい、店長に連絡しなきゃ。こうなったら、成熟まですぐだぞ!
「おい、綾人。大丈夫か?」
「店長!」
「まだ、成熟まで時間があるか?」
「もう、ほぼないですよ!」
「8丁目まで連れて行けるか?」
「無理ですよ!」
「ううーーー、わぁーーーーーー」
やばい。成熟した。華恋さんが唸ってる!
成熟とは、妖怪が人に取り憑いて、その取り憑いた妖怪が人間の生気を吸い取り成長すること。
取り憑かれた人間は、正気を失い、姿を妖に変える。
そして、妖になった人間は、他の人間を襲う。
そう、俺みたいな奴を。
「うゎーあーー。」
やばいやばい。成熟について語ってる場合じゃなかった!
死ぬ死ぬ!
「綾人、そのまま8丁目まで走れ。」
「え!ちょっと店長!」
逃げやがったーー。いや、正確には8丁目に行ったんだろうけどさ。
ひどくね。俺、生身の人間だぜ?
あ、8丁目っていうのは、あやかし市8丁目。
人間じゃなくて、妖怪とか幽霊とか住んでる。
時々、人間も迷い込んだりするらしいけど、、、。
おれたちは、争いごとに巻き込まれるとそこで戦う。
なぜって?
普通の街で暴れるわけにもいかないからだよ。
修理代がバカにならない。
まぁ、そんなこんなでおれは、そこまで逃げるのだが。
8丁目の行き方が、わからない。
方向音痴なわけじゃないぜ。ただ、存在しない街に行くっていうのは、道があるわけじゃないからムズイんだよ。
一歩間違えれば、隣町の東市に行っちゃうし。
じゃあ、なんで妖喫茶には行けるなかって?
それは、店長が道を開けてくれるから。
ようは、迎え入れてくれるってわけ。
でも、8丁目は、迎え入れてくれないから入るのがムズイ。
と、そんなこんなしてたらついた!!
やったーーー!!!!
「店長ーー。助けてーーー。」
ズドーン
きゃーーーー。コンクリート割れてる!!怖
力強すぎだよ!
ゴロゴロズドーン
「ちょ、店長。雷危ないですよ!俺は、当たっちゃう!」
「ノロノロ逃げてるのが悪い。」
ひどすぎ、あの非道店長め!
うわーーーー、全然倒れてくれないよーーー。
ズドーン。ゴロゴロズドーン。
怖すぎあの人たち!
華恋さんもなんでこんな形に!
「おい、綾人。ここまで来い。」
「え?そこ、屋上ですよね?どうやっていけと?」
「飛べ。」
はぁーーー!!飛べ?無理だろ!
あーもう。ピアス外すしかない!
スパン(ピアスを外す音)
「う」
死悪子呪意無身滅奴殺星堕皆夢黒没死悪子呪意無身滅奴殺星堕皆夢黒没死悪子呪意無身滅奴殺星堕皆夢黒没死悪子呪意無身滅奴殺星堕皆夢黒没狐犯血穢炎燃死悪子呪意無身滅奴殺星堕皆夢黒没
う、うー。頭が、割れるー。
はぁはぁ。
「き、来ましたよ。店長。」
「じゃあ、行け。」
「ひ、ひどい。きゅ、休憩は?」
「そんなのない。」
ブラックだ!訴えてやる!!
キュキュー
うん?
「あ、きゅう太郎」
キュキュー
「かわいいなー。」モニュモニュ
ふぅ。やるか。
えっと、尻尾に力を込めて!
行け!炎!
「名前、ダサ」
「カフェの名前が鬼、の人に言われたくない!」
なんで言えばいいか、わかんないからこうなってるのに、バカにされた!元々、俺の力じゃないし、、、
考えるのやめよ。
「てか、店長も攻撃してよ!そんな立派なツノ生えてるんだから!」
「めんどくさ」
「早くやれー!」
ビューン。コツン
あ、パンチした。
ズドーン
うわーーー。地面にヒビ入ったー!
コツンって音でなんであんな威力出るの?
おかしくない?
パターン
「華恋さん!」トテテテ
「ふぅ、息は、してる。」
「連れて帰るぞ。早くピアスしろ。」
「あ、はーい。」カチャン
「あ、あの。ありがとうございました。」ニコ
「いえいえ、無事に祓えてよかったです。」
「これからは、ちゃんと自分の意見を言うことだな。
また、溜め込むと憑かれるぞ。」
「はい。気をつけます。」ぺこ
ここは、あやかし市9丁目の妖喫茶。カフェ鬼。
無事に祓えてた華恋さんは、お礼を言いに来てくれた。
本当なら、俺たちが行くべきなんだろうけど、店長はめんどくさがり屋なのでいかない。必然的に俺も行けないのだ。
華恋さんは、自分の思いを心に溜めてしまっていた。そのため、自分というものを押し殺していたらしい。だが、心は繊細だ。自分を押し殺していればいずれ壊れる。それを、華恋さんは、察していたのだろう。そして、悩み、悩みまくっていた。そんな、弱った心に今回は運悪く、妖怪が取り憑いたのだ。
「あの、これ。」
「これは?」
「お礼です。カフェの人にクッキーあげるのは、どうかと思ったんですけど、、、これしかなくて。すいません。」
「いえいえ、わざわざありがとうございます。」
ほんとにいい人だーー。
「あ、それじゃあ、そろそろ失礼します。」
「あ、はい。またのお越しお待ちしておりません。良い、日々を。」
「え?、、ふふ。はい。来ないように頑張ります。」カランカラン
こうして、優しい女性の奇妙な体験は、終わりを告げた。
読んでいただきありがとうございます。
途中で出てきた意味わからない漢字の文は、特に意味ありません。
綾人が九尾になる時のサインだと思っていただけたら嬉しいです。あれは、綾人の幻聴で、他の人には聞こえません。
綾人はあれを聞くと頭が割れるほど痛くなります。
また、九尾の力を使いすぎると綾人は死にます。
自己紹介で言うの忘れてすみません。
では、次回頑張ります!