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75 マスクマン~その4



「君があのマスクマンかい?」

 補助員を務めている団員がアーロンに尋ねる。

「すみません、試合に集中したいので」

 アーロンは答えることを拒否する。


 全剣から、マスクについての回答はするなと厳命されている。

 質問に答えると、次から次に質問が飛んでくることが予想される。

 全て全剣に責任を押し付けて試合に集中しろ、と言われている。


「ちっ」

 面白くないことを態度で示しながらも補助員はアーロンを会場に案内する。


 待機している選手、そして会場の観客がアーロンの動きに注目する。

「あれがあのマスクマンか」

「本当に彼なのか」

「誰かマスクマンを見たことある奴いないのか」

「うちの班長たちなら見ているけど、今日も仕事だし」


「あの少年が本当にバンダリを潰したのか」

「あれにやられるようじゃ、バンダリもハッタリだけだったんだな」

「いや、あれでも本当は強いのかもしれないぞ」

「俺でも勝てそうな少年じゃないか」


 色々な声が出ている。



「第三試合会場、第五騎士団フアン選手対、第十騎士団アーロン選手」

 呼び出しがされる。

 会場内が一気にざわめく。

 何でざわついているのかも知らない者でさえ注目する。



「今年は第十も出るんだ。しかもディエゴじゃないんだ」

 第五騎士団のフアンがアーロンに話しかける。

 無視するアーロン。

「ディエゴよりはまともな試合になるといいね。ディエゴは俺の同期だったんだよ」

 フアンが嫌味で言葉をつなぐ。




「試合始め!」

 審判が試合開始の合図をする。


 今までざわついていた会場が急に静かになる。


 フアンは簡単に考えていた。

 試合の相手は、ディエゴよりはるかに弱そうな見た目をしている。

 一応団内で予選会をしているのだから、弱過ぎる選手を出すことはないだろう。

 しかし、せいぜいディエゴ並みの腕であろう、と思っていた。


 目の前の少年は小さい。

 騎士としては小柄な部類だ。

 線も細い。

 パワーはないだろう。


 仮に噂になっているマスクマンだったとして、仮にそれが三十人倒していたとしても、どうだって言うのだろうか。

 チンピラ程度なら自分だって倒せる。

 バンダリ三兄弟だって、噂程じゃなかったのだろう。


 初戦でマスクマンと当たったのはラッキーだった。

 普通の騎士団員なら、目の前の少年に勝つことは難しくないだろう。

 逆に負ける方が難しいだろう。


 技術で勝つか?

 パワーで勝つか?

 勝つか負けるかではなく、勝ち方を見られる試合だ、と考えていた。


 自分の手の内を晒すことなく勝つか。

 きちんと技量を見せつけて勝つか。


 目的はマスクマンに勝つことじゃない。

 午後からの本選に出場すること。


 目標を明確にしたフアンは正攻法でアーロンに襲い掛かる。


「やあ!」

 上段から切りかかるフアン。


 アーロンはフアンの上段切りを受け流そうと木剣を傾ける。

 フアンはアーロンの動きを見て体の向きを変え、受け流しに備える。


 二人は正対する。


 (思ったよりも厄介かも知れない)

 フアンはアーロンの実力の片鱗に気が付く。


 今度はアーロンが先に仕掛けた。

 上段から切りかかる。

 フアンは合わせて上段から同じように切りつける。


 バン!

「一本!」

 先に仕掛けたはずのアーロンが、後から打ったフアンの上段切りを受け流してさらに上段から面を打っていた。


 会場がざわつく。

「速い」

「何をしたんだ」

「アーロンが打たれた剣を受け流して決めたように見えた」

「俺もそう見えた」

「けど、どうやって? 先に打ったのはアーロンだろ」

「フアンが合わせた剣だって、タイミングは合っていたように見えたが」

「しかもあれは近衛流剣術正派守りの型、一だろ」

 騎士団の連中が観察結果を言い合う。


「やっぱりマスクマンよ」

「何をしたのかよく分からないが、マスクマンが取ったのだけは分かる」

「まだ若いだろ。それなのにしっかり騎士団から一本取ったのか」

「彼だって騎士団でしょ」

 観客も口々に言いあう。



「開始線に戻って。二本目始め」

 会場のざわつきをよそに審判が試合を再開する。


 フアンは深呼吸をした。

 勝てなければ勝ち方にこだわる意味がない。


 なりふり構っていられない。

 取られた一本が、狙っていたのか偶然なのか分からない。

 とにかく勝つ。

 勝つためには、自分が優れているところを出すのが一番だ。

 自分が確実に勝っているところは何だ?


 確実に勝っているのは身体能力だ。

 身長体重とも自分が上だ。


 これだけは誰が見ても間違いのないところだ。


 力で押す。

 これが正解だろう。

 身体のない者は強くなれない。

 全てとは言わないが、身体イコール才能だ。


 (大きい体にするのも才能の一つだ)

 心の中でそう言ってフアンは圧力を掛ける。


「やあ!」

 打ちながら体当たりを仕掛けるフアン。


 ドン!

 バン!

「一本、それまで」


「「「おお!」」」

 試合場の回り、そして観客席から歓声が聞こえる。


 フアンの体当たりを喰らう前に、アーロンは足払いで転がして、試合場に転がったフアンを打ったのだった。


「強い!」

「体格差があっても相手を寄せ付けなかったぞ」

「まぐれだ」

「自分で転んだんじゃないのか」

「実力は本物だ」

「これがマスクマンか」


 会場がざわつく。

 次の選手が試合場に立ってもまだアーロンの試合の余韻が治まらない。



 レオカディオはその様子を見て満足そうだった。

 (もっと自分から攻めて行けば百点を上げられたんだが)

 そう思いながらも、同じ役員席のダルミロが興味を惹かれた態度を示す姿を見て、作戦が順調に進んでいることを感じていた。

正月にアップして以降、上げられなくて済みませんでした。

職場で無断欠勤した者がいました。

更に風邪で休んだ人もいて、私はその穴埋めをしていました。

その間の、私の仕事は誰がしてくれるんだろう?

私の穴埋めは私ですね。

今週末から繁忙期に入ると言われ、急遽有給消化で休みました。

おかげで二話分アップ出来ました。

久し振りにパソコン起動しました。

Windowsの更新がありました。短時間で済みました。

生きていくにはお金が必要ですが、年末ジャンボ宝くじ外れました。

宝くじ外れても仕事は残っています。

一応生きていくのに必要十分なお金は貰っております。

あとはメンタルがやられずに、趣味の小説を書けるくらいの休日が欲しいです。

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