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39 賭けの内容

少し展開を早くしたいので、あと一週間だけ毎日投稿を続けます。




「よろしくお願いします。本大会のブックメーカーを務めさせていただきますガンバンシャギルドのギャンジーです。早速ですが、お互いの希望を考慮させていただいた結果が出ました」



 話は数十分前に遡る。


「私の望みは、あいつの破産だ。あいつの人生が壊滅的になることだ。それができるなら、私にできることなら何でもしよう」

 レティシア。


「私の希望は、あのお姫様を奴隷にして抱くことだ。それができるのならいくらでも払う」

 ハビエル。


 ギャンジーはお互いの希望を聞いても心を静かに保っていた。

 このような人達は一定数居る。


 怒りや欲望を自分の望み通りに達成しようとする人間。

 そういう人間がギャンジーの飯の種である。

 そういう二人から、条件を細かく聞き取り、オッズと併せて調整するのが仕事なのだ。



「試合は一回戦第一試合にしました。どちらかが怪我をして試合が成立しなかった場合は手数料のみいただきますが、賭けは不成立。当然相手選手に対する手出しは反則。自分の選手への指導は認められます。オッズはこのケースの場合であれば百倍以上でロングオッズとなります。当然サイナー選手一のアーロン選手が百です」

 ギャンジーはここで一旦息継ぎをする。

 目の前の二人は特に反応はない。


「ですが、ロングオッズで行う訳には行きませんので、今回は二十倍で行います。当然フィックスオッズで、大会開始後、どちらかの選手が人気になってもこのオッズに限っては二十倍で固定です」

 ギャンジーは二人の反応を見るが変化はない。


「それでは契約書となります。レティシア様にはこちらの契約、アーロン選手が負けた場合、賭金の一億ギニーを娼館で働いて返していただきます。稼働期間は一年間となります」

 ギャンジーはレティシアをちらりと見るが変化も動揺もない。


「ハビエル様は、サイナー選手が負けた場合、二十億ギニーをお支払いただきます。担保はハビエル様が所有しておりますカウチョ商会の株券全てと、レガネスギルドの総資産、更に父親のカウチョ様に残りの金額をお支払いを要請いただく内容の信書となります。お二方ともこの条件でよろしいでしょうか」

 改めて二人を見る。


「もちろんだ」

 レティシア。

「異論はない」

 ハビエル。


 ギャンジーの懐は痛まない。

 ハビエルが負けた場合、立て替える金の数億ギニーが取りっぱぐれるだけだ。

 取り返せなくても、カウチョ商会とつながりができればそれだけで良い。

 レティシアの実家とのつながりも欲しい。

 それが可能になるのは、レティシアが負けた場合のみだ。


 レティシアが負ければ即娼館行き。

 最初の客はハビエル。

 レティシアが娼館行きと言う話は、レティシアの実家にすぐに伝わるだろう。

 当然実家からはレティシアの身受け要請が来るだろう。

 身受けが終わるまでに、どれだけ偉い人達が客になるか。

 レティシアの経歴から、大金を払ってでも抱きたいという客は引きも切らさないだろう。

 ハビエルを通してそういう客への連絡はしてもらうことになっている。

 もちろん秘密裏に。

 レティシアの実家と揉めることはしたくない。

 レティシア自らが望んだ賭けの結果であれば、表向き、レティシアの実家は文句を言えない。

 しかも身受け要請に『簡単』にそして『誠実』に応じてやれば、それなりの対応しかできないだろう。


 更に、レティシアを抱いた高貴なお客様とは深いつながりができる。

 美味しいつながりがたくさんできるのだ。

 これはチャンスだ。

 この女が自らを代価に知らない人間の破滅を願うとは。

 人を呪わば穴二つ。


 レティシア嬢にはせいぜい頑張ってもらうことにしよう。



 それでもよく知らない選手が勝つと言える。

 自分の流派が最弱と言われたことに対する反発だろうが。

 流石、十剣の中でも一番の脳筋と言われる暴風(ストーム)(プリン)(セス)

 頭で考えず剣で考えると噂の女傑。


 この見目麗しい姫君を好き勝手にできると言うのは、変態的な嗜好を持たない者でも羨ましい、と思うギャンジーであった。

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