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24 第四試合~ウンベルト

 第四会場がうるさい。集中力を欠いてしまう。

 俺は今年、優勝を狙っている。

 ダニエルにだって負けるはずはない。


 第三会場のウンベルトは、第四会場の騒がしさを不快に感じていた。

 賑やかな理由も分からず、ただ騒いでいる奴らに殺意すら覚えていた。



 去年は負ける可能性があったから、ダニエルに八百長を申し込んで負けてやった。

 実際やっていれば、俺が勝った可能性は結構高かったと思う。


 しかし今年は違う。

 今年は絶対に勝てる。ダニエル相手には、練習でも本気を出していない。

 普通に打てば決められるところを練習では敢えて決めていない。

 油断を誘っているのだ。


 あいつは俺のことを自分以下だと思っているはずだ。


 でも実際はそうじゃない。俺の方が強い。

 今日、それをみんなに見せつけて優勝してやる。



 最近良いことがあった。

 俺の兄貴であるエリオドロが大怪我をしてきた。

 嬉しくてたまらない。

 あのクソ兄貴は今までさんざん俺のことをこき使ってくれた。

 少し体が大きくて力が強いだけで、少しばかり俺より早く生まれてきたからって、今までさんざん偉そうにしてくれた。


 だが、もう終わりだ。

 そんな生活は終わった。

 クソ兄貴は大怪我をして帰ってきた。

 これからは、俺のような弟を持って不幸だったと思いながら生きていくことになるだろう。


 もうクソ兄貴の怪我が癒えることは永遠にない。

 癒える前に壊すから。

 癒えてしまったら、奴隷の生活に逆戻りだ。

 絶対に癒やしてやる時間は与えない。



 俺の第四試合は、セブリアンだ。

 こいつは、ラワータ地区の出身だが、そこそこの強さを持っている。

 こいつの親父が指導者の一人で、しっかりと教わっているようだ。

 しかし、田舎の村の中でも更に田舎の地区では、ヤドーラとアドチ地区の者たちに勝つのは難しい。

 村長の家にある訓練場で練習しているのは、ヤドーラ、アドチ、イナーク地区の者たちだけだ。

 その中でもイナーク地区は少し遠いので、練習にくる頻度が少なめだ。

 他の地区は村長宅から遠過ぎるので、それぞれの地区の自警団で練習している。

 近くに強い奴がたくさんいないと、練習しても強くはなれないんだろう。


 俺は田舎地区出身の選手に負けたことはない。

 本当に田舎の奴らは下手くそとしか言いようのない腕をしている。

 どうやったら、あんなに弱いんだろう、と不思議に思っている。

 普通に練習したら普通に強くなるのが普通じゃないのか。


 やっぱり弱い奴らだけで群れていると、弱くしか育たない。


 あーあ、セブリアンが親父に何か言われているぞ。

 きっと対俺への戦略だろう。

 何言っても負けるのにな。


 アドバイス一つで勝ち負けって決まるものなのかなあ。

 強い奴が勝って、弱い奴が負ける。

 ただそれだけだろ。


 あーあ、セブリアンの親父、剣を振る仕草をしてやがるよ。

 カッコ悪いったらありゃしない。

 どうせこの後の試合で息子が負けるのに。



「それでは、ウンベルト選手、セブリアン選手、前へ」


 エリオドロに怪我を負わせた奴はどこのどいつなんだろう。

 エリオドロに聞いても頑として口を割らなかった。


 審判の声に従い開始線に立つ。


 ホント、礼をしたいくらいだぜ。

 もう、あいつの言いなりにはならない。

 生まれて初めてクソ兄貴をタコ殴りにした。

 まだ今までの分を返せるくらいじゃない。

 これからも時間を掛けてやられた分を返さなければ。



「試合開始、始め」


 こいつに勝てばベストエイトだ。

 気合を入れて叩きのめすか。



 試合が始まると、思いっきり連打を繰り出した。

 セブリアンは姿勢正しく俺の剣を受けるが、防戦一方だ。


 やっぱり弱いよな。

 負ける理由が見つからない。


 セブリアンは俺の木剣を受けながら、じりじりと下がる。

 俺はセブリアンの隙を探しながら連打を繰り出す。


 やっぱり負ける理由がないよな。

 もうすぐ隙が出そうだ。

 受けが間に合わなくなってきている。

 最も隙なんて見つからなくてもいいけど。

 見つからなかったら、パワーで押し出して場外反則を取るだけだから。


 場外際でセブリアンは焦って何とか踏みとどまろうとする。

 止まったら終わりだ。本人もそれが分かっているだろうに。

 なのになぜそこで止まるんだろう。


 俺は連打の速度を上げた。

 セブリアンは防御しきれなくなった。

 受ける剣が間に合いそうにないな。


 バン!

「一本、開始線に戻って」


 セブリアンは息が上がっている。

 おれも息が多少は上がっているが、セブリアン程じゃない。


 守っているより攻めている方が俺の性に合っている。

 全く負ける気がしない。


 セブリアンの親父が顔を赤くして何か怒鳴っている。

 そんなアドバイスだけで俺に勝てるわけないだろ。

 俺より体が小さくて、力もなく、下手な奴に。


「二本目始め」

 開始早々前に出る。

 思いっきり剣を振る。

 上段から縦切りだ。



 セブリアンは反射的に剣を受けようとした。

 剣と剣がぶつかり合ったものの、セブリアンの剣は力で押し切られた。


 バン!

 「一本、それまで」


 審判が宣告する。

 当たり前の顔でウンベルトは勝ち名乗りを受ける。

 ウンベルトは周囲を見回すが、第四会場程の反応はない。


 こいつら俺の試合を見てもこの程度なのか。

 一体第四会場は何だってんだ。


 ウンベルトは軽く苛立つ。


忙しさにかまけて、予約すらしておりませんでした。

寝不足で頭が痛いです。

誤字脱字はないかとは思いますが、もしありましたら報告していただけると幸いです。

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