桃季ものを言わざれど
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D³s-No.02。カルマ・ラペーシュ。
先日の戦いでついた二つ名は、筒仙恐卿。
自身から放たれた砲弾や光線は、地形ごとアッキを消滅させたことからついた名前。
カルマ・ラペーシュという名前は髪色から取って来たと天童から聞いている。
ヤカゲに自身の名前について聞くと「格好いいし、似合ってるよっ!」と褒めてくれている為、それでいいかとカルマは考えている。
しかし、二つ名と能力は、あまり気に入っていない。
カルマは、心臓を代償にモノリスを生成させられた歩く兵器。
心臓部のコアと魔力的なパスで繋がっている2丁拳銃型モノリス、ジェミニーの能力は物理エネルギーの無限生成及び収束と放出。
放出と言っても形は様々、弾丸の形を作る事もできれば、光線を薙ぎ払う事もできる。
ナット曰く、学園で学べる魔法とは少し性質が違うらしいのだが…。
それ以上に、同い年のナットやクリオネと違って何か形に残る物を作り、癒し、育むものでは無く、壊し滅ぼす事に特化したような能力だなとカルマは我ながら思う。
エネルギーを作り出す事ができても、何かを生かす事に全くと言って不向きな代物だった。
施設内での射撃訓練を4歳の頃から始められ、5歳になった頃には、訓練用のアッキを遠くから射撃する実践訓練が始まり、同年の半年後には最前線で跋扈するアッキに向かって砲撃を行っていた為、身体的にも精神的にも疲労が溜まっていた。
しかし、それが苦に成らず、能力に関しては少しだけ受け入れられるようになった出来事があった。
理由は、新しいD³sが誕生。
ヤカゲだ。
彼女は、D³sでありながらD³s特有の身体的特徴を一切持たずに生まれた。
俺のように心臓が。
ナットのように全身が。
クリオネのように女性機能が。
五体満足で、何かを奪われては、いない。
《白嶷》の研究員からは「欠陥品」と言われているが、カルマにとっては「希望」だと思った。
ナットも同じ感想を持ったらしく、人間ともアッキとも判別できない中途半端な俺達からすれば、何の変哲もなく五体満足で生まれてきてくれた妹を大いに祝福すべき事だ。一方で、真逆の評価を下す大人達を酷く蔑み、憐れんだ。
兄弟に感情を吐露すると「気にするだけ無駄だろう」と軽くあしらっていたので、カルマもそれに倣うことにした。
実際、ヤカゲの成長はきっと素晴らしいものになると、勝手に思っておけば、大人は関係ないのだ。
カルマは、施設の廊下を歩きながらヤカゲが一歳になった時の事を思い出す。
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いつものように戦地から帰還し、D³sが生活しているホームへに着くと、ジジイとアネモネ姉さんがヤカゲを抱っこしながら身体を起こし、粉ミルクをスプーンで飲ませている光景を見ていると、なんだか温かい気持ちになった。
それと同時に自分自身には何が欠けているような…そんな気持ちを襲ったが、直ぐにそれは掻き消えた。
「カルマくんも飲ませてみる?」
「……お、おれはいいよ」
「なんじゃ? 怖いのか?」
「…こ、怖くはねぇーよ」
「ふふっ、可愛らしいものよ」
ジジイとアネモネ姉さんの綻んだ顔から目を離し、ヤカゲの顔をみると、キョトンとしたような表情をした後、ニチャっと笑っていた。
(な、なんだ…?)
何かを試されているかのような気分になったので、スプーンを渋々手に取り何口か飲ませてやった。
するとヤカゲはもぐもぐと口を動かした後、
「あぁとぉ」
「ねぇ! 今『ありがとう』って言った? ねぇ?!」
「わ、わしの子は天才かもしれん!?」
「?!、あ、あぶねぇーよ 落とすぞ!、親バカが!!」
その時、カルマはヤカゲの事を妹として共に育ち、自分自身は長男としてこいつに接してやる事が責務だと感じた。
そうしてやりたいと心の底から思った。
この時から、俺自身のモノリスは確かに何かを生み出す事はできないかもしれないが、何かを生かし、守る為には使えるんじゃないか。
カルマはそう願い、これからも頑張る事にした。
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「マー兄!!ちょっと待って!!」
カルマがそんな事を思い出していると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「どうした?、ヤカゲ」
「テンじぃが見学してこいって…。ダメ?」
ヤカゲは不安げにカルマの顔を見つめる。断る理由は一切ないのに。
「そうか。ーーー別にいいぞ」
「……おぉ! やった!!」
自身より先に訓練所の方に走っていくヤカゲの後ろ姿を見ていると、今から砲弾か光線が飛び交う訓練所にどのような魅力を感じているのか、もう少し女の子らしいものに興味を持って欲しいなとカルマは、我の妹ながら少し残念な気持ちになる。
それも《白嶷》に居続ける限りは難しい事である為、仕方がないかとも思う。
カルマは他人の気持ちに、まだまだ疎いと自覚していた。
ナットやクリオネ、そしてアネモネのようには振る舞えないとも考えている。
もっと彼らに妹の事を聞くべきか。
そんな事を常日頃、思い始めていた。
本人には恥ずかしくて聞けない。
妹に嫌われたくないのだ。
(妹か……)
「ふっ、 俺も大概兄バカだな…」
「何やってるのー? 早く行こー!」
ヤカゲがカルマの目の前まで戻ってきた。
綺麗な黒髪、中世的な顔立ち、少し緑がかった透明感のある瞳。
赤ん坊の頃から変わらない。
綺麗で可愛らしい妹だとカルマは思う。
カルマは思わずヤカゲの頭に手を伸ばしそうになったが、引っ込め、服の襟で口元を隠す。
「……行くか」
「え?!、なんで止めるの? えっ!」
カルマは少し恥ずかしかった。
黙って誤魔化し、早歩きでヤカゲを追い抜いく。
するとヤカゲは、「そいっ」 と言いながら小さな両手で、カルマの片手を手に取りヤカゲ自身の頭上にグリグリと持って行ってしまった。
「はぁ」とため息をつきながらもカルマはヤカゲを撫でる。
カルマ自身が内心、満更でもない気がしてきた。
酷く落ち着くのだ。
「あはは、それで良いのですぞ〜」
ヤカゲは時折変な口調になる。
クリオネの影響だろうか。
いやヤカゲがクリオネに移したのだろうか。
そんなくだらない順序を考える余裕くらいはこの世界にもあるのだと思うと、少し可笑しくて笑ってしまう。
「準備は手伝って貰うぞ」
「うん!、楽しみっ!」
時折、見せる取り繕ったようなヤカゲの笑み。やはり、この妹は戦う事に向いていないのだとカルマは改めて実感する。
しかし、D³sである以上、戦場に投機されるのは時間の問題である事は言うまでもない。
だからせめて、ヤカゲが戦場に出る頃には、最前線である防壁近くのアッキの数を出来る限り減らしてやりたいとカルマは考えるのであった。
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