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大好きな家族と

 今日は久方ぶりの休日。


 学園に行っては軍に戻り、軍に行っては学園に戻りの毎日であった為、学休日を学休日として過ごした事が、転入して一度たりとも無かったが今日は正真正銘、誰が何といようと休日なんです。


 異論は認めません。


 そんな呑気な事を考えられるのも、毎日クリオネやカルマが別のところで頑張ってくれているからと思うと2人には頭が上がらない。


 そして、今日はそんな2人も休日。


 水上都市ティアネコッタに遊びにきてくれるのだ。


 天童と童子がわざわざスケジュールを開けてくれるという優しさから生まれた最高の休日である。


 最近貰ってばかりだと申し訳なく思う。


 それに…、


「カゲロウ!!、いくでありますよ!」


「う、うん!、そうだね。仕方がないよね」


「どうしたであります?」


「ううん、休日も…、まぁ仕方がないよね」


 現実は非常だった。


 ティアネコッタにいる時点で、私は夜影ではなく蜻蛉なのだ。


 私とシズクは学園の敷地を抜け水上都市の中央広場へと向かう。


 水が流れる音、賑わう人々、ここにはニュクスやノトスには無かった活気が満ちていた。


 地球で言うところのベネチアみたいな場所だろうか。


 中央広場の噴水。


 補装された乳白色の石畳。


 繁華街はパステルやペールカラーで塗装された建物達。


 そこから覗く雑貨や洋服、全てに品がある。


 とにかくノトスとは違ったお洒落な街並みに男装している事を忘れるくらい心が躍っていた。


 いや忘れたいのだ。


「あっ、カゲちゃん!!、おはようっ!、今日も可愛いねっ!!」


「クリオネ、y…カゲロウは男装中だ、忘れるな」


「クー姉、マー兄 おはよっ!」


「お二人ともおはようございます!」


 適度に挨拶を交わし、目的地へと向かう。


 どうやら兄姉は休日を楽しむために色々考えてきてくれたそうだ。


 街を眺めながら私は、皆んなの服を観察した。


 クリオネはシンプルな白ワンピースにクリア素材で作られたサンダル。バックもサンダルと同じ素材で作られたもので中身が見える作りになっているが、中は非常に整理されており、香水やら化粧品やらがポーチの中に入っておりそのすべてが淡いオレンジに統一されていた。


 おしゃれである。


 カルマはシンプルな黒いスラックスに、フェミニンな印象を受ける白いレースのポプリンシャツをタックインし、靴は革でできたブーツ。長い足が強調され自身の素材を活かしたコーディネート。バックもややレディースよりなのか。それ何が入るの?という大きさの黒い光沢感の素材が目立つショルダーバッグを肩からかけていた。


 おしゃれである。


 シズクは、高身長を生かし、カルマよりスレンダーな黒いスラックスに襟元に細やかなフリルがついた白いブラウス。その上からビビットグリーンのライトブルゾンを羽織っている。靴はややスポーティな印象を受ける黒一色のスニーカー。カバンはカルマ同様、何が入るねんとジノがツッコミそうなショルダーバッグを肩からかけていた。


 おしゃれである。


 うぅ、みんなおしゃれだなぁとマジマジと見つめてしまった。


 そもそも身長が皆、高いのだ。


 カルマは186cm、クリオネは163cm、シズクに関しては172cmもある。


 一方私は、156cmと平均的。


 あっ、1年前から3cmは伸びました。


 でも小さいのに変わり無いね。


 泣きたい。


 ちなみに私は体型を誤魔化すために、大きめの白ティーを黒のスラックスに緩くタックイン。


 可もなく不可もなく普通。


 むしろ皆んながお洒落過ぎて見劣りする。


(こんなので、一緒に歩きたくないなぁ……)


「今日は、カゲちゃんに色々買うわよ!、化粧品揃えなきゃねっ!」


「そうでありますな!、この前話を聞いたらテンでダメダメなのである」


「シズク、言わないで…」


「ーーーーふっ」


 シズクは驚いた事にそれなりに化粧品に詳しく、軍に居ながらも密かにチェックをしており、クリオネとも良くガールズトークをしていたそうだ。


 また元々の人柄も相まって他の女性職員とも良くお話をしていたところを目撃していた。


 カルマも一見無頓着そうだったか全くそんな事なく、街行く人々がカルマを見るや否や振り返り目で追っていってるのは一目瞭然だった。


「カゲロウは、普段何を見ていたでありますか?」


「んと、作戦司令書と歴史書、国際法と交戦法規に、戦闘時に於ける距離の詰め方10選、奉仕生物図鑑に、あとはーー」


「ーーーも、もう大丈夫でありますよ」


 何故か、憐れむような目でシズクが私を見つめ肩をポンポンと優しく撫でてくれた。


 泣きたい。


「そんな、カゲちゃんも好きなのよねー、私って変わってるかしら?」


「いいんじゃないか、面倒見甲斐がある」


「お二人は本当に優しいのでありますなぁ」


「ねぇ!、みんなして私を何だと思ってるのさ?!」


「「「色んな意味で出来のいい妹」」」


「ーーー帰る」


 そんなやりとりをしながら目的地の店へと到着した私は、いじめてくる皆をよそ目に店の中を覗いた。


 そこに広がっていたのは沢山の洋服やアクセサリーだった。


(こう言うのって私には似合わないんだろうなぁ…、でも)


「ーーー可愛いなぁ」


 感情が口に出てしまっていた事にはあまり気づいていなかった。


「ねぇ、カルマ見てよ、あの初心さ。……控えめに言って最高よ」


「……いいなこれ」


「クリオネ殿の気持ちよーくわかるでありますよ」



 私はガラス越しに服を眺めていると後ろでヒソヒソと話していたが、そんな事はどうでも良いと思えるくらい感動していた。


 だって、初めてだしね。こういうの。


 ウインドウに張り付きながら目に穴が空いてしまうんじゃないかと思うくらい見つめ続けてしまっていた。


「ねぇ、入ってもいい?」


「ええ、もちろんよ!」


「行くでありますよー!」


「…あぁ」


 許可を取らなくても良い事くらいは知っていたが、聞かずにはいられなかった。


 私にとって全てが眩しくて、手を出すのが怖かったから。


 カルマもクリオネもシズクもそんな私を見て何やらニヤニヤしているが、きっと悪い事を考えている訳ではないと私は思う。


 今日は何をして、何を見て、何を買おうかな。


 私も女の子らしくなれるかな。


 そんな事を考えながら店の中へ入って行くのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。


ブクマ&評価&いいねもありがとうございました。


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これからもよろしくお願いします。

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