家族と私の目標
12時代に試験的に投稿してみました。
本日も時間を空けて17時にもう1話投稿。
「づがれだぁーーーー」
だらっと野生を捨て去った猫のように仰向けで伸びきっている銀髪の女の子、クリオネがソファーに横たわっていた。
真っ白な修道服が本当に似合う。
「お疲れ様ね、あとお帰りなさい。クリオネちゃん」
「ッ!! 姉さん……ッ!!」
「わっ! ちょっと…ッ!ーーーうふふ、びっくりするじゃない」
アネモネの声を聞くや否や、急にソファーから跳ね起き涙目になりながら抱きつきに行っていた。
無駄に動きが早い。
母性の塊に顔を押し付けてニヘラと破顔している一見残念そうな姉。
外ではかなり気を張っているそうで、聖女やら女神なんて呼ばれていたりするらしい。
実のところ、クリオネと会ったのは3歳くらいの頃だったような気がする。
初対面で泣かれのが印象に残っている。
「クー姉、おかえりー!」
「ッ!! カゲちゃん!! 大っきくなったわね!! 5センチくらい伸びた? ね? 伸びたでしょ!!、クンカクンカ」
「あは、あはは、くすぐったいよ。クー姉…っ」
今度の標的は私になった。
私の脇を抱えながら、こそばゆい手の動きをする高等テクを見せてくる。
やたらとスキンシップが激しい姉ちゃんである。
「……おかえり、クリオネ」
「カァルマだーっ!! ひゃっほーーい!!」
「っおい、やめろ… 、ふっ 相変わらずだな」
「にししッ 聞いたぞ〜?、この前の小規模作戦、地形ごとアッキを蒸発させたんでしょ?、バケモンじゃん!」
「ふっ、撃ったらそうなっただけだ…。俺のモノリスはすぐに調子に乗る…。お前こそ、戦死者ゼロに抑えたって聞いたぞ?」
「にゃははーッ 私の目が黒いうちは誰も死なせんよー」
クリオネの目は紫色である。
それはD³s共通。
しかし私は緑色。
こう言う細かいところでも先輩D³sと少し違う事に感傷的になってしまう。
でも出来るだけ顔には出さない。
心配させたくないからね。
同い年であるカルマとクリオネは脇腹を小突きあいながらお互いの快挙を褒めあっていた。
良い光景だなと思う。
私もいつか戦場に出る時が来たらどうなるんだろう。
何となく。
いざとなったら自分の命を優先して戦ってしまいそうな気がした。
死んでたまるものか。
(あぁ、今の感情やだなぁ…)
ある意味確信めいたものを感じてしまって胸の奥がズキッと痛み出した気がした。
私としてはただ、普通に生きたいだけ。
ただ、生きたいだけなのだ。
できたら、女の子らしく。
しまった。
表情に出てしまっていたのか、
「んにゃ、カゲちゃんは心配性だね〜」
「そうよ。貴女はまだ考えなくていいわ。寧ろ最前線で戦えない私を許して…」
「アー姉は、側に居てくれるだけで安心するし、嬉しい…。ぎゅうして」
私はアネモネの顔を覗きながら両手を広げる。
泣きそうな顔を見られたく無いから。
「?!、うっひゃー なにそれ! 、ねぇ 私はっ!?、 ねぇ!!わたしッ!!」
「クリオネ、うるさいぞ」
「今のは、流石に私もクラッと来たわ…」
「あはは、クー姉も、マー兄もだよ?」
「やったーっ!カゲちゃんラブゥ!」
「…そうか」
2人の姉が両脇から優しく抱きしめ、兄が優しく3人の光景を見つめる。
素敵な家族。
もちろん血は繋がっていない。
話題に出していないがD³sの少年少女はおそらく全員家族が居ない。
お互いがお互いに母性や父性、家族という存在を強く求めているのだと思う。
アネモネの両親については詳しくは聞いていないが、《白嶷》の研究員という事は知っている。
あまり話題に出てこないので触れていない。
ただ現在最前線で戦う、天童の息子さんを兄のように慕っているのは聞いた事があり、家族の話より優先的に出てくる。
学園でも一緒だったとか。
私自身、前世では両親共に健在ではあったものの5歳の時点で意思疎通が図れなくなり、身体の感覚は無く、動かす事が出来なくなっていた。
そのため、
思いっきり抱きしめられた事も。
手を繋いで歩いた事も。
一緒に食事をした事も。
学校に通うことも。
お洒落をして街に繰り出す事も。
何もかも満足に経験する事がなかった。
それでも、私は両親という存在を知っている。
紛いなりにも知っている。
家族というものに対しての明確なイメージを持っている。
そういう部分でいつかね。
この出来た姉兄達に恩返しができたらなと強く思う。
前世で家族に愛されていたかと言われると少し自信はない。
あまり思い出したくないのかもしれない。
それでも別に構わない。
気持ちの部分でも強くならなくては。
だから精神的には皆んなを支えるお姉さんになりたい。アネモネみたいな。
無理かもしれないけど。
きっと私達にはそういう親愛や家族愛みたいな温かいものが必要なのだろう。
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