肩書きには責任が付き纏う
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『ーーー作戦開始を開始してください。ニュクスに高貴なる勝利を!』
司令部の通信を合図に標高約35mにヘリを近づけてから飛び降り、悪鬼の討伐に向かう予定。
「先行部隊は俺が救助。お前ら俺が降下しきった後に続け〜。転けんじゃねぇ〜ぞ〜?」
「「「了解」」」
童子は背中越しに手をヒラヒラさせながらラフに指示を出す。童子が先行し、《方舟》の一般兵、第一部隊の援護。その他の部隊は私達が担当する形。
ヘリから直接、降下し始めた童子は風を切り、刀を納刀した状態で左脇に構え、音もなく着地した。
土煙が舞い上がる中、一瞬だけ時が止まり、辺り一体がスローモーションになったように見えた。
次の瞬間ーーーーー
数十体の悪鬼の動きが一瞬止まり、真上へ飛び上がりながら二つに切断されていた。
「閃剣八ノ太刀ーーーー秋の麒麟」
相手が、斬られた事にすら気づいていないような絶技。
「す、すげぇー」
「ーーふっ」
ジノは素で驚くような反応をみせる。
カルマは隊長はこうでなくてはという澄ました反応を見せるクールな反応は昔から変わっていない様子。
後方腕組み系ってカルマのことかな?
ビルを経由して飛び降り始めた私は、童子が道を切り拓いていく様子を確認しながら全身に空気抵抗を感じる。
戦場に飛び交う魔法と、武器と悪鬼の装甲がぶつかり合う音が耳を通過する。
多少緊張するかと思っていたが、数年前までの生活に比べれば、カルマや童子がいる分、孤独は感じないため、存外大丈夫な気がした。
(あははっ、ちょっといいかもっ)
呑気な感想を抱きながら、私について行く形で飛び降り、空中でバランスを取るカルマとジノを横目で確認。
カルマはモノリスに呼びかける。
「ジェミニー、第一、第二上限解放」
『はいよ、マスター』
「ヤカゲの着地地点付近の悪鬼を狩る。エネルギー充填、セーフティ解除。 ヤカゲ、目の前のは大丈夫か? 」
「うん、大丈夫だよ。マー兄!」
『ほんと、シスkーーっ! 何すんのさー!』
両手に持つ銃のリアサイド部分同士を勢いよくぶつけ、ジェミニーを黙らせる。
「……黙って仕事をしろ」
『さっきは、僕モドキに浮気してるくせに!!、バカァッ!』
「なら、お前の方が優秀である事を証明しろ」
『もうッ!! ーーー完了したよ!マスター』
「ーーーふっ、いくぞ」
銃口に緻密なエネルギーが収束する。
「『穿てっ!』」
なんだかんだ息ぴったりなカルマとジェミニーは、私の後方から光を放つ。
その輝きは複数の悪鬼を貫通し、私の着地点周辺の悪鬼を削いでいく。
着地時の硬直は戦闘時に於いてリスクである為、それを徹底して排除してくれるのは非常に嬉しい。
(……私もそろそろかなっ)
「ジノくんは、そのまま待機してて」
「りょーかーい」
「カロン、第一、第二上限解放…ッ!」
『ーーー』
言葉は返ってこないがカロンの意識は確認できる。
ちょっとは返事して欲しい。
ジノに命令を飛ばし、眼前に見えてきた悪鬼と対峙する。
「カロン、第二棺《縁断》」
『ーーん』
(あ、してくれた )
空間から純白の棺が出現。
その棺を右手で担ぎ、目の前の悪鬼の顔面に着地のエネルギーごと叩き込む。
「よいしょっ!」
ーードゴッッ
鈍い音を立てた悪鬼が地面にめり込み、バウンドしてから地面に叩きつけられる。
息の根が消失するのを確認。
棺をさらに目の前の悪鬼数体に投げつける。
「そりゃっ!」ーーーーバゴォッ
『ーー雑』
「あはは、だって硬いんだもん、これ」
「ヤカゲちゃん、怖っ、 縁起でもねぇ…」
「…ふっ」
『ぎゃははは! なにそれヤバァ!』
カルマは終始無反応だったが、遠くから反応するジノはちょっと引いている気がする。
一方、ジェミニーは楽しげに笑っていた。
(やっぱり、ダメだった…?)
『ーーダメ』
ちょっと呆れたような反応を見せるカロン。
「えぇ、蹴るのは良かったのに?」
『状況による。今のヤカゲには必要ない』
「そっかぁ」
珍しく長文なカロンの素体である投げ飛ばした棺を遠隔で操作し、宙へ浮かす。
その上に乗って大きく跳び、空中で体を捻りながら悪鬼の攻撃を避け、「おいで」と棺の中から刀を呼ぶ。
「あーー、すぅーっ、今日のパンtーーー いって なにすんだよ! ピンク!!最高です!」
「…見るな、黙れ、殺すぞ」
着地し終えたカルマが肩に担いでいたライフルをジノの頭目掛けて投げ付けている様子が一瞬見えたが、作戦中に何を戯れているんだろうか。
(まあ、いいや……)
目を細め、悪鬼の数を確認。
さらに弱点であるコアを位置を見つけ出す。
音を置き去りにした閃光。
放たれた抜刀術は、悪鬼の肉体を切り裂く出なく、コアのみを的確に壊した。
「閃剣八ノ太刀ーーーー秋の麒麟」
童子と全く同じ技。
しかし起きた現象は全く違うもの。
「…おい、あいつ、切ったよな?」
「……ああ、たぶん」
「傷一つ、付いてねぇーぞ」
「でも、活動が止まったよな?」
前線で戦う《方舟》の兵士が感想を漏らす。
ヤガゲが悪鬼を横切っただけに見え、静かに倒れる数十体の悪鬼は、まるで眠りについたような光景に見えているのだろう。
「カロン、第一棺《斗掻星の鎖》」
『ん、今度はちゃんと使って』
本当に嫌だったのだろう。
今度から控えてあげよう。
私の真後ろの地面から反り立つ棺は、悪鬼の突進を受け止める。
開いた棺の中から鎖を解き放つ。複数の悪鬼に物々しい音を立てながら貫通し、縫い付けた。
ーーーグルゥッ?!
「カロン、引き寄せて」
『ーーー』
鎖に繋がれた悪鬼はなす術もなく、私を中心に引き寄せられ、
「閃剣四ノ太刀ーーーー赤椿」
斬る対象の体表をすり抜けながらコアのみを破壊する《緣断》は、斬りつけた際の抵抗が殆どないに等しいため連続で、剣術を繰り出す事が可能となっていた。
傍観する一般兵に声をかける。
「……第三部隊の方々は悪鬼の回収をお願いしますね」
「しょ、承知しましたッ!」
「おい、お前ら急げっ!!」
「保存状態の良いものから優先しろッ」
「「はっ」」
一般兵に回収作業を与え、防壁付近へと後退させつつ、先行した童子とシズクを追う。
「…ヤカゲ」
「ん?、どうしたの?、マー兄」
「先行した隊長とシズクが数十メートル先まで殲滅完了している…」
「俺ら、仕事ないっすね…」
「あはは、みたいだね。厳しかったのは第三部隊だけっぽいし」
カルマとジノの分も残しておいた方が良かったかな?と無粋な事を考えてしまう。
防壁付近に悪鬼が異常に多かったが、出現傾向が変わったのかな?
何にせよ、目標の大型悪鬼付近に大量発生していない印象なので有難い事この上ないが…。
少々気になるところではある。
「おぉ、見てたぞ〜、できるようになったなぁ。オヤジとの時間は無駄になってないようで何よりだ。副隊長さん」
「はい、お陰様で、なんとかなりました」
いつの間にか悪鬼の屍で山を作り、その上でタバコを吸う童子は、満面の笑みを浮かべていた。
そんなにのんびりしてて良いのだろうか。
少々、シズクのことが不安になりつつもヤカゲは副隊長としての初任務を卒なくこなしていくのであった。
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