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悪鬼討伐用特殊部隊

毎日12時と17時に更新!!

よろしくお願いします。

2章開幕です!!

 医療研究施設《白嶷》での事件から7年が経った。


 私は悪鬼討伐作戦の為、要塞都市ニュクスに存在する軍事施設《方舟》からヘリに搭乗し、外の景色を眺めていた。


 《方舟》本部基地が建てられた山脈の麓から6kmほど離れた位置に聳え立つ防壁の外側は、廃墟が立ち並ぶ。


 人間と悪鬼が戦う最前線だ。


 防壁の高さは約27m。


 ビルで言うところの9階に相当するらしい。


 さらに遠くを眺めると、数十km離れた位置に隕石ノアが見える。禍々しい黒色の石柱が国境を跨いでも視認できている為、その大きさはかなりのものだと推測できる。


 ノアが墜落した土地は、神聖クスマルクス皇国の元領土であり、近づく事は、私が所属する部隊には現状認められていない。


「ヤカゲ…様子はどうだ?」


「数はそうでもないかな…。目標は、まだ確認出来てないけど、難しくはないと思うよ」


「…そうか」


 私は防壁近くを跋扈する悪鬼と一般兵の戦闘を鬱々と観察しながらカルマに返答した。


 私、ヤカゲは15歳。


 隣に座るカルマ・ラペーシュは19歳。


 悪鬼討伐用特殊部隊《夜爾(ヨルシカ)》の初任務。


 参加人数はたったの5名。


 D³s(ドールズ)第一世代の私とカルマ。


 D³s()()()()のシズクとジノ。


 そして天童の息子である隊長、藤原童子(どうじ)


 作戦内容は前線で戦う《方舟》の一般兵の援護と目標大型悪鬼の討伐及び、その素材回収が作戦の目的。


 出来うる限り、()()()()()()での回収が求められている。


 また、D³s全員を纏めて作戦に投機した際のテストも兼ねているためミスはあまり許されない。


 現在《方舟》が抱える悪鬼専門の少数精鋭部隊は《夜爾》のみとなっている。


 《方舟》が悪鬼の素材回収に力を入れているのは、研究資材である事は無論、別の目的があったりするらしいが、その内容は現在の私達では開示される事は無い。


 その権限は、隊長の童子であっても持ち合わせていないそうだ。


『これより、第一回悪鬼討伐降下作戦を開始します。《夜爾》は降下準備を』


 《方舟》司令室からのアナウンスが通信機越しに聞こえたと同時に、軍事ヘリのハッチが物々しい音を鳴らしながら開く。


 耳に劈くプロペラの音と風を切る騒音。


 ハッチが開き、私の隣で立ち上がった一人の女性隊員が、他の隊員を差し置いて飛び降りる瞬間を童子は目を見開きながら凝視していた。


(……あれ?、もう行くんだっけ? )


 作戦通りではない行動に《夜爾》の残されたメンバーは絶句していた。


「ーーーっておいッ!、シズク!?、なんでしれっと先行ったの?!、はぁ?! ……だぁ、何やってんだあいつ、()()って聞こえなかったのか?!……飛んでったぞ」


 ややオーバー気味にリアクションを取りながらハッチの床から、飛び降りていったシズクをしゃがんで眺める童子の背中は、顔を見なくてもゲンナリしている事が理解できる。


( 作戦終わり、大変だなぁ… )


「あはは、隊長。あれは…うん。……シズクらしいですねっ」


「生まれてこの方27年… 言ってもねぇのに突っ込んでいく、あんな綺麗な鉄砲玉見た事ねぇよ。軍人の鏡かッ!……ちくしょう……」


「…どうするんすか?、あのバカ」


「ジノくん…。シズクは多分、いち早く助けたかったんじゃないかな?」


「ん?、あぁ、それは…ありえそう…」


 隊員との会話もそこそこに、シズクをヘリから見守る。


 黒髪ポニーテールを靡かせながら、作戦を無視して援護予定の部隊に接近する悪鬼に目掛けて、汎用型モノリスを串刺しにし、バッタバッタカマキリと斬り伏せ走り去っていくのが見える。


 あ、逃した。


「ハハッ、はぁ……カルマ、あいつが取りこぼしたやつ。フォローできるかー?」


「可能だ」


 カルマの即答を聞いた童子はため息をつきながら、タバコを取り出し、右手をヒラヒラと振りながら射撃許可を出す。


(風吹いてるのに、タバコ大丈夫かな…?)


 場違いな心配をしている最中、カルマは他部隊の陣形が乱れないよう最小限のエネルギーを狙撃銃のモノリスに込める。


「ーーーヤカゲ、コアの位置はこの距離でもわかるか?」


「ん、ちょっと待ってね」


 魔力を空間全体に広げる。


 地上から約40m下を先行するシズクがガン無視を決め込んだ悪鬼を凝視し、感知魔法で調べる。


「……右前方のは頭部。左後方のは右下腹部。その後ろのやつは尻尾の先端!、他部隊の影響は距離的にも問題無いから、気にしなくて大丈夫だよ」


「了解」


 影響を気にしなくて良いと言われながらも、カルマは的確に私が指定した位置を撃ち抜いていく。


 一体につき1秒に満たない速射だ。


 コアから外れた誤差を威力でカバーしていた頃は別人だった。


 持っている兵器の性能もありそうだが、


「どうだ?、新兵器の感想は」


「…狙いやすい」


「くぅぅッ、しょっぺー感想だな、おい」


「あはは、見た感じ狙いやすさより、モノリスが壊れないように威力調整する方が目立つ感じだね。ジェミニーも文句言ってそう」


「ああ、概ねそれだ。あと、強いて言うならーー」


「射程距離だろ?、まぁその様子だと、どシンプルにカルマ自身のモノリス使った方が早そうだもんなぁ。 作戦終わったらレポート提出しとけー。 めんどくせぇけど」


「了解」


 新兵器というのは、一般兵向けの汎用型モノリスとして開発され始めた遠距離型狙撃銃のβ版。


 今のところモノリスによってエネルギーを生成できるカルマのみが使用できるものになっているが将来的には魔力を使用して悪鬼に通用する弾丸を放つ代物になる予定だ。


 ナットが消息不明になり、モノリスの開発が滞った現状、私達の協力の元、一般の研究員とエクスマキナート学園の教諭が進めている他なかった。


 しかし、彼が居なくなってから8年目、未だ彼を超える成果を出した人間は誰一人としていない。


 そんな事を思い出していると童子に新たな通信が入った。


「……へぇーい、こちら俺らしか居ない夜爾ぁ、ーーーーーあぁッ?、まじか、それ本気で言ってる?、泣くよ? 今きたばっかだぞ?」


「ーーー?」


 首を傾げながら童子を見つめると右手で「まぁ待て」と言った感じで、掌を私に向ける。


 表情は非常に面倒くさそうな顔をしていた。


「……へえへえ、了解。 ん、きるぞー?」


「ちっ」と舌打ちしながら、先程だした2本目のタバコを吸おうとしていたのを止め、通信内容を伝える。


「司令部のクッソタレ隠居め…ッ。まぁ簡単に言うとだな。シズクを回収しつつ、俺達だけで、早急かつ迅速に大型悪鬼を狩って来いとのことだ」


「敵個体の情報は全くありませんがそれは……」


 ヘリの助手席に座っていた研究員兼一般兵の男性が童子に質問をすると「はぁ」と大きなため息を吐きながら答える。


「……そうなんだよなぁ。まぁ、防壁付近は制圧完了してしるし、お前は撤収準備!……補給部隊の増員要請を出しといてくれ」


「ーーんなッ?! しかし!、私も一緒に!」


「おいおい、ここにも居たか鉄砲玉……。あのなぁ、何よりも生きる事を優先しろー? 生き残る事も大事な戦いだぞ〜? ……いいな?、鉄砲玉。何でもかんでも飛んでいきゃ良いってもんじゃねぇのよ〜。なぁ?、カルマ」


「……嫌味ですか?」


「あはは」


「ウケる」


 納得はしてなそうな表情をする研究員は渋々、ヘリの運転手に内容を伝え撤収準備をし始める。


 それを尻目で確認して、私達D³sに向き直る。


「……あー なんつーか、 すまんな」


「ん?」「どう言う事だ?」「なんすか急に?」


 童子に頭を掻きながら平謝りされ、3名は困惑する。


「あの鉄砲玉にも家族が居るのよな…。今年5歳になる娘さんが居てだなぁ、それが可愛いの何のーーーー」


 童子は、作戦に参加した一般兵の家族構成とその関係性を全て把握していた。


 定期的に教官として一般兵の訓練に協力したり、楽園都市に新しくできた孤児院の子供達の教育に力を入れたりと見かけによらず面倒見が良い隊長であることは部隊の誰もが知っている。


 私も数年前から楽園都市の孤児院に天童と足を運び一緒に遊んだり、料理を振る舞ったりしていた。


 アネモネの事件以来荒んでいた感情は、孤児院の子供達のお陰で随分と和らい事は、今でも感謝している。


「…なんにせよ、それぞれ何か抱えてるってこったな。そんな中、ガキンチョ連れて戦場に出てる情けない隊長を許してくれ」


 藤原童子の人隣は、面倒くさがりで不真面目そうだが、根っこの部分は非常に優しいのは、親譲なのだろう。


 たまに言動が変な方向に行く事はあるが、やる事はしっかり熟す。


 出会った中で珍しいタイプの信用できる大人だ。


 私は《白嶷》で育った家族以外の人間で、今のところ一番信用していると言っても過言ではないかも。


「何にせよ、死なねーこったな。勝負は案外一瞬だからな、ハハッ」


 刀状のモノリスを肩に抱え、防壁付近を眺める背中は非常に頼もしいなと感じる。


 見る人が見れば、韋駄天(いだてん)と呼ばれた国軍最強の兵士、若かりし頃の天童の姿がダブって見えている筈だろう。


「まぁ、鉄砲玉一名、飛んでいっちまったが……。最善を尽くそうか、夜爾諸君?」


「「「はい!」」」


 シズク以外の3名は童子の指示のもと降下開始の合図を気を引き締めながら待つのであった。


感想、修正等ありましたら宜しくお願いします!!

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