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実戦は思ったより怖い

毎日12時と17時更新!!

よろしくお願いします。

 皆は私とは違うんだ。


 この子は特別だから。あの子は天才だから。


 それに比べて自分は……。


 そんな事を誰しも一度は考えた事があるだろう。


 転生してD³s(ドールズ)と呼ばれる存在になった。


 身体が動くようになった。嬉しかった。


 それだけでよかったんだ。


 しかし、それは周りにとっては当たり前の事で、D³sとして生まれたからには私達が製造された目的に沿う必要がある。


 身体が動くだけじゃダメなんだ。


 でも私には兄姉と違って特別な事が一つも出来ない。


 いつしか兄姉は、私とは別の何か。


 もっと違う何かなのだとヤカゲはそう思うようになった。


 そう、彼達は天才なんだ。


 私は自身の気持ちを誤魔化し、落ち着かせてきた。


 他者を持ち上げる事によって自身の立場が、普遍的な存在であるを思い込みたかった。


 前世の私は自身を蔑み、陥れ、自身の立場を持ち下げて、普通の人間に憧れを抱いた。


 普通である事がさぞ、贅沢な事であるかのように。


 今度は、他者を持ち上げ、自身が普通である事に縋り付く。


 ー

 ーー

 ーーー

 ーーーーー


「ーーーヤーゲッ」


「ーーカゲッ!!」


「ーーおい!!ヤカゲ!!」


 身体が重い。視界が霞む。


 どうやら私は、先程の地響きと目の前に起きた事故により数秒気を失っていたようだ。


 幸い、カルマが異変に気づき私に覆い被さる形で守ってくれたため大事には至らなかった。


「……大丈夫か?、怪我は? 痛いところはあるか?」


 必死に私の容態を確認しながら取り乱すカルマは頭から血を流していた。


 そんな事をお構い無しに焦っている様子が少し可笑しくて、酷く嬉しくて…。


 少し泣きそうになるのを笑って誤魔化す。


 カルマの血を私の服の袖で拭う。


「…あははっ、大丈夫だよ。マー兄が守ってくれたから、ありがとう」


「…そ、そうか」


 その一言に安心したのか、ホッとした表情になるのは束の間。


 カルマの背中越しに見える巨大な何か。


 耳や身体に鳴り響く音をたてながら、光のようなものが収束し始めていた。


 カルマは安心した表情から打って変わって、その光の先を睨みつける表情は敵を捕捉した。


 その目はスナイパーのような鋭さをしていた。


「お前か…」


「……マーn」


 私の発した声が掻き消えた。


 収束した光はカルマと私に目掛けて放たれる。


 私を抱き抱えながらカルマは飛び起き、極光をギリギリで避ける。


 空気をも焼き切る光。


 遅れてやってきた肺を震わせる鈍い怒号。


 施設の壁を赤々と溶かしながら爆発を起こす光景に二人は絶句する。


 気絶していて気づかなかったが、施設の殆どが崩壊し、空に浮かぶ月が見えていた。


 それよりも明るく、赤く施設は溶け爛れていた。


 施設を溶かしたエネルギーの奔流は、今まで見た悪鬼は、放つ事が一切無かった。


 瓦礫の影に隠れながら私とカルマは息を潜め様子を伺う。


「……何?、あの威力」


「……殺れるか?」


 こんな状況でも冷静でいるカルマは、本当の戦場を知っているのだろう。


 私とは違うのだ。そう思っていた。


 でも違った。


 私を抱き抱えるカルマの左手は、より強く、守りたいという気持ちと同じくらい焦りや恐怖が伝わってくる。


 こんな感覚は始めてだ。


 この場に不釣り合いで、兄に申し訳ないが、少し安心してしまう。


 カルマも私と同じなんだってそう思えた。


「ジェミニー、第二上限解放。起きろグズ」


 そんな安心感も束の間、カルマは右手に持つ銃のハンマーとセーフティ部分に頭突きをする光景に目を疑う。


『っ?! いったいなぁー!、何すんのさーっ!』


「えぇっ!、ほんとに喋った!? 銃が?!」


『?、あっ、ハロー! ヤカゲちゃん、ジェミニーだよー、ぎゃははッ』


「え!? こ、こんにちは…?」


 随分とフレンドリーな子?、いや銃は、どうやら私の事を知っているふうの態度だった。


( …念話っていうのかな? )


 脳内に直接ジェミニーの声が聞こえる。


 空気から伝わっている感じでは無い。不思議だ。


「挨拶は済んだか…。で、あいつはなんだ? わかるか?」


『んー、なんだろね?、いつもぶっ放すだけだったから一々、個体差なんて覚えてないよ? それはマスターもじゃない?』


「それもそうだな。 ……やれるか?」


『やるしかないんじゃない?』


 モノリスが喋るというのは本当だったのかと驚きを隠せない。


 聞きたいことが山ほどあるけど、今は目の前の異形。


 訓練中に見たどのA-CKIよりも禍々しい四足歩行の白い異形。


 あまりの純白さにより一層、不気味さと狂気を感じる。


 まさに悪鬼。怖い…。


 背中から生えかかっている翼は、キチキチと音を立てながら震えており、使い方をまだ、理解していない様子。


 あの高威力の光も撃つ気配は無い。


 インターバルがあると考えても良いのかな。


 それよりも怖い。


 カルマを掴む手が震える。


「……マー兄、早く片付けよ? まだ、翼の使い方がわかってないみたい」


『ふ〜ん、いい目してるね!、てかヤカゲちゃん可愛いねっ! 今度僕とデート……イテッ、さっきから何すんのさっ!、酷く無い?』


「黙れ。とりあえずヤカゲの言う通りだな」


 プレイボーイ?感のあるジェミニーにやや厳しめのカルマ。


 重要な事を一つ忘れていたので、それもカルマに伝える。


「……あと、マー兄」


「ん? また何か見つけたか?」


「いや、そのね。んと、そろそろ離して貰えると……」


 カルマは先程から私を抱きしめっぱなしで、恥ずかしかった。


 お兄ちゃんに、家族に、ここまで必死にギュッとされるのは初めてだったから。


「ん、……すまん」


『ぎゃはははは、妹にきょヒーーーぐへぇっ!!』


「え?!」


 地面に勢いよく叩きつけられたジェミニー。


「いや、そのね?、あの、戦闘になると思うから!、私なら1人で避けられるし! だから大丈夫!!」


 別に嫌というわけではなく、ただ単純に危ないし、足手纏いになるのは嫌だからという理由もある。


 お姫様思考全開にしたいところだけど、今はそうも言ってられない。


 地面に叩きつけられたジェミニーをカルマに渡すために拾おうとすると、


「?!、待てっ!! ヤカゲ!」


「ん?」


 ジェミニーを拾い上げるとカルマは驚いた表情で私の方を見ていた。


『……持てちゃったね?』


「……あ、あぁ そうみたいだ」


「あれ、普通だったらダメなの? 」


「いや、それはいい。ジェミニー、やった事は無いが遠隔で起動できるか?」


『んー多分、問題無いと思うよ』


 悪鬼は、身を震わせながら周囲を観察。


 まるで私達以外の何かを探しているようにも見える。


 こちらとしては冷静になれるし、有難い事この上ないけど…。



 ーー!!!キィリリリリリン



 施設内の警報が今更なり始めた。


『緊急避難警報、緊急避難警報。職員は直ちに施設の外へ避難してください。第一研究施設から大規模な爆発と共にエネルギーを観測。戦闘員は、直ちに爆発の発生源及びエネルギー体の確認を。繰り返すーーー』


 アナウンスが流れる。


「……い、今更だね」


『ほんとにね〜。現場は既に動いてるってのに……』


「ひとまず、二手に分かれるか。あの攻撃は複数同時に撃てないと見ていいだろう」


「そうだね。注意を分散しよう…」


『りょーかーい』


 不安はあるが、カルマと私は異形の悪鬼を挟むように二手に分かれる。


 未だ周囲を見渡す以外、微動だにしない悪鬼は、何かに抵抗し、苦しんでいるようにも見えた。


『問題なさそうだよー、マスター』


「そうか…。ヤカゲ! あいつの翼、付け根部分に銃口を向けろ!」


「え、使った事ないんだけど?!」


「大丈夫だ。…ジェミニー」


『OK.マスター!!』


 両手で拳銃を構え、銃口を悪鬼に向ける。


「『砕けろッ!!』」


 カルマとジェミニーの掛け声と共に、身体から何かが吸い取られるような感覚と共に銃口からスパークが走り、悪鬼の翼目掛けて一直線に光が走る。


 着弾と同時に、光のサイズに似合わない爆炎が巻き上がる。


「ーーーー」


 煙で全く姿が見えないが、悪鬼は一方的に攻撃を受けるも、一切反応を示さない。


 不気味だ。


「『やった(か)?』」


「……それダメなやつ」


『はにゃ?』「ん?」


 お決まりを唱えるカルマとジェミニーは案外仲が良いんじゃなかろうか。


 ジト目で拳銃とカルマに視線を送る。


 硝煙が落ち着き、悪鬼が姿を表した。


 翼はボロボロになっていたが、本体は健在。


 体躯に似合わない口が大きく開く。


「ーーっ!!」


「なっ!!」


 そこには白い金属製の腕が見えた。


 誰のものか、嫌でも容易に理解した。


「ッ?!…ナット」「ナツ兄ッ!?」


 カルマと2人で呼ぶが返事はない。


 悪鬼は大きな口を閉じ、含み笑いをするような顔。


 翼に紫色の光が収束し始め形を変えていく。


「ちっ、再生持ちか…」


「うそ…」


『めんどくさいな〜』


 もう1人の兄への不安が尽きない。


 どうやら本番はここかららしい。

感想、修正等ありましたら宜しくお願いします。

『よかった』『続きが気になる』と思って頂けたら、

ブックマークや評価をしてくれると泣いて喜びます。


ごめんなさい。

編集前のもの投稿してしまったみたいで

大幅修正中…泣 2022/12/05 17:07 時点。


申し訳ないです。18時前後までには

直せていると思いますので宜しくお願いします。

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