表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
‐禁忌の召喚者‐ ~The Toboo summoner~  作者: ろーぐ・うぃず・でびる
最終章 The Toboo summoner
97/117

最終章 第二十四話 我が身の正体

すみません、遅くなりました。

次回、急展開です


 燃え盛る激情。

 氷塊の如き、視線。

 眼前の者を叩き伏せる、溢れる力。

 全てを、憎悪でもって破壊する暴力。

 快は、その空間においての支配者となっていた。

 正面の敵を、ねじ伏せる為に、用意した空間の。

 それは、まさしく悪魔の支配者(サタン)

 内なる憤怒を、解き放った瞬間であった。


「消え失せろ、お前のような奴はいちゃいけない」


 突き出した拳が煌めくと同時に、悪魔が消滅する。

 悪魔が黒き炎に包まれ、みるみるうちに消えていくと同時に――快の周囲を包み込む空間も瓦解していく。

 それは、二者を閉じ込める、ガラスでできた箱から元の世界へと解放していくように。

 完全に元居た場所へと戻ると、快にまとった、赤黒いオーラは展開した空間と共に消えていった。

 消えていく赤黒い炎は、薪を燃やし尽くし――残ったのは灰だけだと示すように。


「大丈夫かい君、迷子?」


 ふと快が我に返ると、目の前には警帽を被った男の顔。

 周りを見ると、倒れていた筈の電柱が元の形状に戻っており、上を見上げると流れていた流星は消滅していて、朝焼けに空を染めている。

 男の視線を躱すように、首を傾け後ろを見てみれば、喫茶店は何事も無かったかのように光を灯していた。


「いいえ、大丈夫です」


「親元まで送って行こうか?」


「タクシー代を持っているので、大丈夫」


 快がそう言うと、警察官の男は立ちあがって怪訝そうな顔を浮かべる。

 快は、軽く念じ、隻眼で警察官を捉え、警察官の胸元にそっと手を触れた。

 妖しい、桃色のオーラをまとい、警察官の顔をじっと見据えて快は言う。


「何も、問題はありません。大丈夫。それにここはあなたの管轄外の筈だ……いいね?」


「何も……問題は……ありません。ここは管轄外……」


 警察官は復唱すると、快の元からそっぽを向いて立ち去った。

 快は、それを見届けほっとした様子でその場に座り込む。


(心を操る魔術……魔神ダンタリオンの魔術を引き出したはいいけれど、疲れた。にしても、一体なんだったんだ今の景色は……)


 快の見た光景。

 それは、快がダーカーズデビルノコンの鎧を発動させた時の光景と酷似していた。

 快の脳裏で、景色を回想すればするほどに、映像は途切れ、砂嵐の雑音を彷彿とさせる――誰の物とも知らぬうめき声が聞こえてくる。

 うめき声に耳を傾ければ、ふつふつとした加虐的な感情と、吐き気を催す程の憎しみが湧きあがる。

 快は、その感覚に対し恐怖を覚え、後に思考を停止させた。


(一体これはなんなんだ? デモニルスの残骸とか言っていたけど……“デモニルス・クロウズ・シャルハルトル”だっけか……何者? それに……)


 快は、周りを再び確認する。

 遠くにはどんどんと朝日に照らされていく、赤レンガ作りの屋根に覆われた住宅達。

 正面には食事をしていた喫茶店。

 今まさに快が踏みしめているアスファルトさえ、元通りになっていた。


 快は、思わず呟く。


「訳がわからない。全部が元通りになっている……まるで世界をまるごと書き換えたような……はっ!?」


 世界を書き換える(・・・・・・・)


 思い当たる事象は一つしかなかった。


 そして――快は、飲み込んだ宝石の説明を思い出す。


 ダーカーズデビルノコン。

 触れた者の記憶と、魔力を記憶し吸収し続ける魔の宝石。


(禁忌権……発動した覚えはないのに発動して、あいつをやっつけた。だとしたら、間違いなくダーカーズデビルノコンの記憶がそうさせているに違いない。じゃあ……この記憶の正体は!?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ