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最終章 幕間 空白
「逃げろ!」
そんな声が轟く。
隊員たちは基地の前で、一人の少女を前に赴き小銃を構えた。
銃口の先には、鮮血に塗れた白外套の――極彩色の、宝石に彩られた短剣を胸に立てる少女。
「“主は求めたり。嗚呼汝は何処、来たれぬならば我が赴きてその血を浴びようぞ……”|禁忌聖書第三章五節……ふふっ」
少女が笑むと、隊員たちは空へ一発の弾丸を放つ。
「止まらなければ、撃つぞ!」
「威嚇発砲のつもり? 悪いけど、もう発砲許可はどうせ下りてるんだろ? だったらさ」
少女が言った時。
基地の入り口で、横一列に並んだ、5人の武装隊員達の首が飛ぶ。
防弾チョッキに、唯一守られていない箇所を的確に狙っていた。
一撃の、閃光。
壊滅は、時間の問題だった。




