幕間 誰かが呟いた独白
彼の者は、強欲にて消し去り。
彼の者は、寛大で以て再生し。
――彼の者、幼き子は、で て せり。
禁忌古文書第一章より。
誰かが言っていた。
ボクは、失敗作だと。
思い出したくもない、憎い顔は忘れられなくて。
それでも、ボクは縋っていた。
守護神だと、謳われていたものに。
そして自分の、憧れていた存在達に。
もがいて、あがいて。
戦い続けた。
けれど――その果てにあったのはただの裏切り。
姿を追っていたものが、形の無い物だったのだ。
ボクの体が、最初にバラバラに砕け散った時、それを感じていた。
あの時、今思えばボクは狂っていたのだろう。
望んでいたものが、必ず手に入るはずもないのに。
――それから、ボクは何もかもがどうでもよくなった。
さて、回想に耽るのもここまでとしよう。
これからのボクは、あいつの失敗作でもない。
ただの、破壊者だ。
例え、残酷な世界だったとしてもボクはボクであり続けるのみ。
あいつが倒れて、また奴が生き残る。
でも、もしあそこで奴が倒れてくれたら、今度はかつてと状況が全く違う。
また、やってやるとも。
都合のいい体も、手に入れた事だし。
――さて、破壊を愉しもうじゃないか。




